書評:常光 徹著、『しぐさの民俗学』(角川ソフィア文庫)
積読本の消化にあたり、各分野バラバラではなくなるべく同じ分野の本を続けて読もうと思い、『おじぎの日本文化』に続いて本書『しぐさの民俗学』を手に取りました。ちょっとずつしか読み進められませんでしたが、なんとか完読しました。『しぐさの民俗学』とはいっても、前編しぐさについて考察しているわけではなく、日常的な忌事やお呪いの類もテーマごとに取り上げられ、それらの根底に横たわる論理や発想が何か考察されています。表紙になっている絵は《狐の窓》と呼ばれるしぐさで、特殊な指の組み方をして、その穴から覗くと狐狸妖怪などの異界のモノの正体を見破れるのだとか。これは他にも《股のぞき》や《袖の下覗き》のしぐさとも共通し、いずれも隙間から覗くことに呪的な意味があり、それによって怪異を見る、正体を見破ることで脅威を無効化するなどの働...書評:常光徹著、『しぐさの民俗学』(角川ソフィア文庫)
2023/08/19 14:06