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2019/07/19

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  • 書評:松岡圭祐著、『高校事変 14』(KADOKAWA)

    『高校事変13』(電子版)が発売されたのは3月22日。この14巻は5月23日に販売開始。わずか2か月しか経っていない、驚異的な執筆スピードは相変わらずのようですが、しばらく中山七里作品を立て続けに読んでいたため、松岡圭祐作品はずいぶんと久しぶりのような気がします。『高校事変XII』をもって、結衣編が終了し、彼女の妹・凜香と13から新登場したもう一人の妹・瑠那が都立日暮里高校に入学し、凜香・瑠那編がスタート。二人はその生い立ちの特殊さから人殺しと無縁でいられない生活を余儀なくされていますが、「普通の女子高生」としての生活を夢見ている。そんな彼女らが14巻で遭遇するのは「設問Z」としてメモリーカードが届けられることから始まるネットを介した国際闇賭博。そこではなぜか日暮里高校の体育祭で生徒たちの各競技での勝負が...書評:松岡圭祐著、『高校事変14』(KADOKAWA)

  • 書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。8』(ビーズログ文庫)

    商品説明まもなく十四歳の誕生日を迎える莉杏は、暁月から「叉羅国で開かれるムラッカ国とバシュルク国の停戦会談に、仲介役として出席する」という大役を任される。赤奏国の使節団の責任者になった莉杏は、暁月に教えられた『秘密の合言葉』をお守りに叉羅国へ。道中、ワケあり王子、少女傭兵と奇妙な同行仲間が増える中、叉羅国で内乱勃発の危機が迫り!?『茉莉花官吏伝十二歳歳年年、志同じからず』で茉莉花がバシュルク国に潜入し、ムラッカ国が攻め入って来た時に無事に停戦合意を取り付けることができ、バシュルク国潜入のために協力してくれた赤奏国と叉羅国のラーナシュ司祭にそれぞれ借りを返すために、バシュルク国とムラッカ国の停戦会談の場を叉羅国に、仲介を赤奏国に依頼することになりました。それを受けて、『十三歳の誕生日、皇后になりました。8』...書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。8』(ビーズログ文庫)

  • 書評:中山七里著、『人面瘡探偵』(小学館)

    商品説明名探偵は肩にいる!?不可解連続殺人の謎。三津木六兵には秘密がある。子供の頃に負った右肩の怪我、その傷痕がある日突然しゃべりだしたのだ。人面瘡という怪異であるそれを三津木は「ジンさん」と呼び、いつしか頼れる友人となっていった。そして現在、相続鑑定人となった三津木に調査依頼が入る。信州随一の山林王である本城家の当主・蔵之助の死に際し遺産分割協議を行うという。相続人は尊大な態度の長男・武一郎、享楽主義者の次男・孝次、本城家の良心と目される三男・悦三、知的障害のある息子と出戻ってきた長女・沙夜子の四人。さらに家政婦の久瑠実、料理人の沢崎、顧問弁護士の柊など一癖ある人々が待ち構える。家父長制度が色濃く残る本城家で分割協議がすんなり進むはずがない。財産の多くを占める山林に希少な鉱物資源が眠ることが判明した夜、...書評:中山七里著、『人面瘡探偵』(小学館)

  • 書評:中山七里著、『笑え、シャイロック』(角川文庫)

    商品説明新卒行員の結城が配属されたのは日陰部署の渉外部。しかも上司は伝説の不良債権回収屋・山賀。憂鬱な結城だったが、山賀と働くうち、彼の美学に触れ憧れを抱くように。そんな中、山賀が何者かに殺され――。シャイロックとは、言わずと知れたシェイクスピアの『ベニスの商人』の登場人物で、強欲な高利貸しのユダヤ人のことです。不良債権回収は銀行業務の中では融資と表裏一体である陰に隠れた業務で、なんとしても貸した金を取り戻そうとするシャイロックの姿に重なります。回収業務一筋の山賀はシャイロックと評されるやり手ですが、業務上のトラブルがこじれたらしく、殺されてしまう。回収業務ではまだ新米の結城は、山賀がこれまで一人で担当していた難しい案件を一手に引き受けることに。ひとつづつ案件に当たっていくうちに、過去のおかしな事実に行き...書評:中山七里著、『笑え、シャイロック』(角川文庫)

  • 書評:中山七里著、『さよならドビュッシー』 『さよならドビュッシー 前奏曲』 『おやすみラフマニノフ』(宝島社文庫)

    Amazonで購入する。Hontoで購入する。商品説明祖父と従姉妹とともに火事に遭い、全身大火傷の大怪我を負いながらも、ピアニストになることを誓う遥。コンクール優勝を目指して猛レッスンに励むが、不吉な出来事が次々と起こり、ついに殺人事件まで発生する……。ドビュッシーの調べも美しい、第8回『このミス』大賞・大賞受賞作。香月玄太郎は一代で莫大な資産を築き上げた立志伝中の人で、地元では名士ですが、脳梗塞の後遺症で車椅子生活を余儀なくされたため、自宅の敷地にバリアフリーの離れを作り、趣味のプラモデルを作りながら元気に生活しています。長女の娘・ルシアはインドネシア生まれで、毎年香月家に遊びに来ていましたが、その年に限り両親の仕事の都合で一人だけ日本に来ているときにスマトラ島沖地震が起こり、一度に両親を失くしてしまい...書評:中山七里著、『さよならドビュッシー』『さよならドビュッシー前奏曲』『おやすみラフマニノフ』(宝島社文庫)

  • 書評:中山七里著、『逃亡刑事』 (PHP文芸文庫)

    商品説明県警内部、全員敵⁉「どんでん返しの帝王」が贈る、息をもつかせぬノンストップ・ミステリー。単独で麻薬密売ルートを探っていた刑事が、銃で殺された。千葉県警刑事部捜査一課の高頭班が捜査にあたるが、事件の真相にたどり着いた警部・高頭冴子は真犯人に陥れられ、警官殺しの濡れ衣を着せられる。自分の無実を証明できるのは、事件の目撃者である八歳の少年のみ。少年ともども警察組織に追われることになった冴子が逃げ込んだ場所とは⁉そして彼女に反撃の手段はあるのか⁉施設で日常的に虐待を受けている8歳の少年・猛が、麻薬中毒の治療中である母の入院先の病院を目指して夜中に家出することで、警官殺しの現場を目撃してしまいます。高頭冴子警部は少年に事情を聴き、似顔絵を作成しようとしますがうまくいかず、少年が帰ろうとするときに警察署の廊下...書評:中山七里著、『逃亡刑事』(PHP文芸文庫)

  • 書評:中山七里著、『連続殺人鬼カエル男』&『連続殺人鬼カエル男ふたたび』 (宝島社文庫)

    Amazonで購入する。Hontoで購入する。商品説明マンションの13階からフックでぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。これが近隣住民を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに……。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の正体とは?どんでん返しにつぐどんでん返し。最後の一行まで目が離せない。『さよならドビュッシー』と同時に新人賞予選に残り、入選は逃したものの評判が良かったために出版された作品が、猟奇連続殺人を描く『連続殺人鬼カエル男』です。埼玉県飯能市内の殺人現場に今日はカエルをどうしたかというひらがなで書かれた日記のようなものが残されていたことから〈カエル男〉と命名された...書評:中山七里著、『連続殺人鬼カエル男』&『連続殺人鬼カエル男ふたたび』(宝島社文庫)

  • 書評:中山七里著、『いまこそガーシュウィン』vol. 1~3 (宝島社)

    『いまこそガーシュウィン』はデジタル限定配信の4回連載であるため、一話が短く、少々物足りない感じがします。音楽モチーフのストーリーは、デビュー作『さよならドビュッシー』以来の岬洋介シリーズの系譜に連なる作品です。ショパン・コンクールで6位入賞という微妙な成績のピアニストのエドワードが、次のコンサートツアーにやる曲に悩みつつ、全米に広がる「Blacklivesmatter」運動と、それに対する差別主義的発言を繰り返すトランプ大統領候補という世情にも憂えています。差別が先鋭化する空気を音楽で吹き飛ばそうと、エドワードは文化融合的なガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」を演目に入れることを思いつきます。2台のピアノで弾く相手は、かつて戦場で5分間の演奏で人命を救ったという伝説の男・岬洋介。こちらが表のス...書評:中山七里著、『いまこそガーシュウィン』vol.1~3(宝島社)

  • 書評:中山七里著、『夜がどれほど暗くても』(ハルキ文庫)

    商品説明志賀倫成(しがみちなり)は、大手出版社の雑誌『週刊春潮』の副編集長で、その売上は会社の大黒柱だった。志賀は、スキャンダル記事こそが他の部門も支えているという自負を持ち、充実した編集者生活を送っていた。だが大学生の息子・健輔(けんすけ)が、ストーカー殺人を犯した上で自殺したという疑いがかかったことで、幸福だった生活は崩れ去る。スキャンダルを追う立場から追われる立場に転落、社の問題雑誌である『春潮48』へと左遷。取材対象のみならず同僚からも罵倒される日々に精神をすりつぶしていく。一人生き残った被害者の娘・奈々美から襲われ、妻も家出してしまった。奈々美と触れ合ううちに、新たな光が見え始めるのだが……。日本では、加害者家族はもちろんのこと、犯罪被害者の家族も正義の皮をかぶった匿名の誹謗中傷に晒され、野次馬...書評:中山七里著、『夜がどれほど暗くても』(ハルキ文庫)

  • 書評:中山七里著、『帝都地下迷宮』(PHP文芸文庫)

    商品説明鉄道マニアの公務員・小日向巧はある日、廃駅で立ち入り禁止となっている地下鉄銀座線萬世橋駅へと潜り込む。そこで出会ったのは、政府の“ある事情”により地下で生活する謎の集団「エクスプローラー」だった。その集団内で起こった殺人事件をきっかけに、小日向は捜査一課と公安の対立も絡む大事件に巻き込まれていき・・・・・・。エクスプローラーが抱える秘密とは?殺人犯は誰か?東京の地下で縦横に展開するノンストップミステリー!「ひょっとすると僕は死体愛好家なのかもしれない」という主人公・小日向巧の独白から始まる本作は、一体どんな偏執狂的殺人犯の話なのかと戸惑いますが、どうやらそれも著者の策略のひとつのようです。小日向は鉄道マニアの中でも珍しい廃駅マニアで、廃駅の寂れた侘しい様子が死体を連想させるため、「死体愛好家」とい...書評:中山七里著、『帝都地下迷宮』(PHP文芸文庫)

  • 書評:中山七里著、『月光のスティグマ』(新潮文庫)

    商品説明幼馴染の美人双子、優衣(ゆい)と麻衣(まい)。僕達は三人で一つだった。あの夜、どちらかが兄を殺すまでは――。十五年後、特捜検事となった淳平は優衣と再会を果たすが、蠱惑(こわく)的な政治家秘書へと羽化した彼女は幾多の疑惑に塗(まみ)れていた。騙し、傷つけ合いながらも愛欲に溺れる二人が熱砂の国に囚われるとき、あまりにも悲しい真実が明らかになる。運命の雪崩に窒息する!激愛サバイバル・サスペンス。1995年の阪神・淡路大震災以前の淳平と隣の双子姉妹・優衣と麻衣の三人の思い出語りから物語は始まります。双子に振り回されつつまんざらでもなかった淳平は、将来2人のうちのどちらかと結婚することを約束させられますが、思春期の頃になると、積極的な麻衣よりも少し控えめな優衣に惹かれ、お互いの思いを確認し合う。一方、淳平の...書評:中山七里著、『月光のスティグマ』(新潮文庫)

  • 書評:中山七里著、『総理にされた男』(NHK出版)

    商品説明人気作家・中山七里が描くポリティカル・エンターテインメント小説!売れない舞台役者・加納慎策は、内閣総理大臣・真垣統一郎に瓜二つの容姿とそ精緻なものまね芸で、ファンの間やネット上で密かに話題を集めていた。ある日、官房長官・樽見正純から秘密裏に呼び出された慎策は「国家の大事」を告げられ、総理の“替え玉”の密命を受ける。慎策は得意のものまね芸で欺きつつ、役者の才能を発揮して演説で周囲を圧倒・魅了する。だが、直面する現実は、政治や経済の重要課題とは別次元で繰り広げられる派閥抗争や野党との駆け引き、官僚との軋轢ばかり。政治に無関心だった慎策も、国民の切実な願いを置き去りにした不条理な状況にショックを受ける。義憤に駆られた慎策はその純粋で実直な思いを形にするため、国民の声を代弁すべく、演説で政治家たちの心を動...書評:中山七里著、『総理にされた男』(NHK出版)

  • 書評:中山七里著、『能面検事の奮迅』(光文社)

    商品説明学校法人荻山学園に対する大阪・岸和田の国有地払い下げに関し、近畿財務局職員の収賄疑惑が持ち上がり、大阪地検特捜部が捜査を開始。ところがその特捜部内の担当検事による決裁文書改竄疑惑が浮上。最高検から調査チームが派遣され、大阪地検一級検事の不破俊太郎は惣領美晴事務官と調査に乗り出し、信じがたいものを発見する……。「能面検事」再び!現実の事件を彷彿させる物語に、能面検事・不破の鋭いメスが冴えわたる!「能面検事」シリーズ第2弾。文庫化はされていないものの、続編となれば気になるので、単行本のまま購入しました。本作の事件のあらましは、財務省近畿財務局が、大阪府豊中市の国有地を大幅値引きして森友へ売るまでの一連の土地取引と、この取引をめぐる決裁文書を財務省が改ざんしたいわゆる「森友学園問題」に着想を得ています。...書評:中山七里著、『能面検事の奮迅』(光文社)

  • 書評:中山七里著、『嗤う淑女』『ふたたび嗤う淑女』(実業之日本社文庫)&『嗤う淑女 二人』(実業之日本社)

    この『嗤う淑女』シリーズは、不幸な生い立ちの美女・蒲生美智留が次々と人を不幸に陥れていく話で、〈傾国の美女〉もかくや、という感じです。自分を性的虐待し続けた父親を殺したことを除けば、自ら手を汚すことなく、巧みに犯罪を教唆するため、捜査の手も及ばず、たとえ捕まってもどんでん返しで無罪釈放。事件解明はされても、古典的な意味での解決、すなわち逮捕・起訴・有罪判決とはならず、「最後に笑うのは私」とばかりに美智留はまんまと逃げおおせるところが興味深いミステリーです。シリーズ3作目で笑う淑女が二人に増えますが、二人目の悪女・有働さゆりは、『連続殺人鬼カエル男』で登場するキャラクター。彼女のしたたかさは、蒲生美智留の悪知恵も結局及ばず、「共犯者は始末するもの」という美智留のポリシーをまんまと免れて逃走。こうして悪女が二...書評:中山七里著、『嗤う淑女』『ふたたび嗤う淑女』(実業之日本社文庫)&『嗤う淑女二人』(実業之日本社)

  • 書評:中山七里著、『闘う君の唄を』(朝日文庫)

    商品説明埼玉県の片田舎・神室町に幼稚園教諭として赴任した喜多嶋凛。あらゆることに口出しをしてくるモンスターペアレンツと対立しながらも、自らの理想を貫き、少しずつ周囲からも認められていくのだが……。どんでん返しの帝王が贈る驚愕のミステリ。〈驚愕のミステリー〉と何度も煽られるといささか興醒めなのですが、『闘う君の唄を』も安定の面白さです。先に第2弾の『騒がしい楽園』を読んでしまったので、幼稚園教諭が主人公となっていることに違和感はありませんが、本作品の前半は、お仕事小説?と思えるくらい喜多嶋凛の神室幼稚園での奮闘ぶりが描写されています。神室幼稚園では、異常に保護者会の力が強く、園側は唯々諾々とその要求を受け入れるばかり。そうなるきっかけとなったのが、15年前に起きた園児連続殺人事件。犯人が幼稚園の送迎バスの運...書評:中山七里著、『闘う君の唄を』(朝日文庫)

  • 読書メモ:村端五郎・村端良子著、『第2言語ユーザのことばと心 マルチコンピテンスからの提言』(開拓社 言語・文化選書57)

    『第2言語ユーザのことばと心マルチコンピテンスからの提言』を読み出したのは3月半ば。内容が小難しいために、なかなか読み通すことが叶わず、5月になってようやく完読できました。目次はしがき第1章マルチコンピテンス(複合的言語能力)とは?第2章第2言語ユーザの「ことば」第3章第2言語ユーザの「心」第4章マルチコンピテンスの研究課題と研究方法第5章マルチコンピテンスの英語教育への示唆あとがき参考文献索引マルチコンピテンスの考え方とは、従来の「母語」と「外国語」を独立した別存在として捉える考え方に異議を唱えるものです。現代において、純粋なモノリンガル(単言語使用者)はほとんど存在しておらず、程度の差こそあれ、母語以外の外国語に接し、その影響を受けているため、外国語学習において目指すべき理想の〈母語話者〉も空虚である...読書メモ:村端五郎・村端良子著、『第2言語ユーザのことばと心マルチコンピテンスからの提言』(開拓社言語・文化選書57)

  • 書評:中山七里著、刑事犬養隼人シリーズ1~5(角川文庫)

    刑事犬養隼人シリーズは、警視庁捜査一課の犬養隼人警部を主人公とした警察小説ですが、臓器移植や子宮頸がんワクチン、安楽死、臓器売買と貧困問題など、社会的・倫理的に非常に難しい問題を扱っており、様々な立場の人間の様々な言い分を浮き彫りにさせた上で、あえて結論を出さないままストーリーを締めくくるところが魅力です。犬養隼人はバツ2の1人暮らしですが、腎不全を患う娘がいるため、警察官として違法行為を取り締まるのは自明の理と考える一方で、常に、娘の場合だったら、自分は父親として遵法精神から娘の命を諦められるのか、娘の命を救うために脱法・違法行為もやむを得ないと考えるのか、そのたびに悩み惑います。非常にセンシティブな倫理問題を背景に、法の不備や文化による死生観の違いを浮き彫りにしていく中、犬養親子の関係の変化も物語の味...書評:中山七里著、刑事犬養隼人シリーズ1~5(角川文庫)

  • 書評:中山七里著、『騒がしい楽園』(朝日文庫)

    商品説明都内の幼稚園へ赴任してきた神尾舞子。騒音や待機児童など様々な問題への対応を迫られる中、園の生き物が何者かに惨殺される事件が立て続けに起き、やがて事態は最悪の方向へ──。『闘う君の唄を』に連なる、シリーズ第2弾。《解説・藤田香織》これが第2弾だとは知らずに読んでしまいましたが、特に違和感はありませんでした。主人公の幼稚園教諭・神尾舞子は理性的・論理的で、自らの就学前教育の技術に自信を持っている〈デジタルウーマン〉で、あまり「保母さん」のイメージに当てはまらないキャラクターです。都内の幼稚園に赴任早々、幼稚園の騒音が許せない町内会会長の苦情の相手をさせられ、幼稚園の見学日では待機児童を抱える母親から入園の便宜を図るよう賄賂を持ちかけられる。園児たちのお迎えの時間になると、母親たちの派閥争い。前途多難な...書評:中山七里著、『騒がしい楽園』(朝日文庫)

  • 書評:中山七里著、『能面検事』(光文社文庫)

    商品説明大阪地検一級検事の不破俊太郎はどんな圧力にも屈せず、微塵も表情を変えないことから、陰で〈能面〉と呼ばれている。新米事務官の総領美晴と西成ストーカー殺人事件の調べを進めるなかで、容疑者のアリバイを証明し、捜査資料が一部なくなっていることに気付いた。これが大阪府警を揺るがす一大スキャンダルに発展して――。一気読み必至の検察ミステリー!この作品で、著者は検察に切り込みます。能面検事と呼ばれる不破俊太郎。能面のように表情を変えない、誰にも破られないから〈不破〉という名前なのかと思えるような命名ですね。この不破氏は、誰に対しても、いついかなる時でも、無表情で、余計なことは一切口にしないという態度を貫きます。この徹底した態度に新米事務官の総領美晴は戸惑い、反発しますが、それでもその徹底ぶりに畏敬の念を抱き、で...書評:中山七里著、『能面検事』(光文社文庫)

  • 書評:中山七里著、『死にゆく者の祈り』(新潮文庫)

    商品説明死刑執行直前からの大どんでん返し!?絞首台へ向かう友の魂を救えるか――。究極のタイムリミット・サスペンス!!何故、お前が死刑囚に――。教誨師の高輪顕真が拘置所で出会った男、関根要一。それはかつて、雪山で遭難した彼を命懸けで救ってくれた友だった。本当に彼が殺人を犯したのか。若い男女二人を無残に刺殺したのか……。調べれば調べるほど浮かび上がる、不可解な謎。無実の罪で絞首台に向かう友が、護りたいものとは――。無情にも迫る死刑執行の刻、果たして教誨師の執念は友の魂を救えるのか。人気沸騰中の“どんでん返しの帝王"による、予測不能・急転直下のタイムリミット・サスペンス‼『死にゆく者の祈り』は、死刑囚のために説教をする教誨師が探偵役を務める一風変わったミステリーですが、上の商品説明にあるように、刻々と迫る死刑執...書評:中山七里著、『死にゆく者の祈り』(新潮文庫)

  • 書評:中山七里著、『テミスの剣』&『ネメシスの使者』(文春文庫)

    『テミスの剣』商品説明若手時代に逮捕した男は無実だったのか?鳴海刑事は孤独な捜査を始めたが…社会派ミステリーに驚愕の真実を仕掛けた傑作。豪雨の夜の不動産業者殺し。強引な取調べで自白した青年は死刑判決を受け、自殺を遂げた。だが5年後、刑事・渡瀬は真犯人がいたことを知る。隠蔽を図る警察組織の妨害の中、渡瀬はひとり事件を追うが、最後に待ち受ける真相は予想を超えるものだった!どんでん返しの帝王が司法の闇に挑む渾身のミステリ。ギリシャ神話の法と掟の女神テミスの振るう『テミスの剣』は、常に冷厳で公平なのか?裁く者が人間である以上、過ちは避けられない。裁判官とは、神の領域の任務を畏れ多くも請け負っている。しかし、現実は検察と警察が癒着し、警察が功を焦って容疑者の自白を取って送検すれば、検察はこれをほとんど検証することな...書評:中山七里著、『テミスの剣』&『ネメシスの使者』(文春文庫)

  • 書評:中山七里著、『魔女は甦る』&『ヒートアップ』(幻冬舎文庫)

    『魔女は甦る』商品説明元薬物研究員が勤務地の近くで肉と骨の姿で発見された。埼玉県警の槇畑は捜査を開始。だが会社は二ヶ月前に閉鎖され、社員も行方が知れない。同時に嬰児誘拐と、繁華街での日本刀による無差別殺人が起こった。真面目な研究員は何故、無惨な姿に成り果てたのか。それぞれの事件は繋がりを見せながら、恐怖と驚愕のラストへなだれ込んでいく……。『魔女は甦る』はヒッチコックの『鳥』を連想させるようなホラーっぽいストーリー展開です。文庫の表紙絵でもそのことが暗示されています。無残な死体を晒していた薬物研究員・桐生隆は、ドイツのスタンバーグ製薬会社の日本支社に勤めていたのですが、閉鎖後も研究所に行こうとしたらしく、その付近で絶命。渋谷の繁華街で起こった何件かの暴行・無差別殺人事件では、犯人たちの血中に『ヒート』が検...書評:中山七里著、『魔女は甦る』&『ヒートアップ』(幻冬舎文庫)

  • 書評:中山七里著、『ワルツを踊ろう』(幻冬舎文庫)

    商品説明容疑者は村人全員!?20年ぶりに帰郷した了衛を迎えたのは、閉鎖的な村人たちの好奇の目だった。愛するワルツの名曲〈美しく青きドナウ〉を通じ、荒廃した村を立て直そうとするが……。雄大な調べがもたらすのは、天啓か、厄災か!?都会で金融関係の仕事をしていた溝端了衛は、リーマンショックの煽りを受けて失職し、その上、父親も病死したため、七戸9人しか住民のいない限界集落・東京都西多摩郡依田村竜川地区にある実家に移住します。移住して1週間経った朝、隣の地区長に改めて引っ越しの挨拶に行き、そこで住民全員に挨拶がてら回覧板を回すように指示され、村人たちと初めてまともに話す機会を得ます。この主人公は30代も後半でありながら、人の機微というものが分からない不器用で、少々独り善がりな人物で、村を立て直そうという試みが悉く空...書評:中山七里著、『ワルツを踊ろう』(幻冬舎文庫)

  • 書評:中山七里著、『セイレーンの懺悔』(小学館文庫)

    商品説明マスコミは人の不幸を娯楽にする怪物なのか。葛飾区で女子高生誘拐事件が発生し、不祥事により番組存続の危機にさらされた帝都テレビ「アフタヌーンJAPAN」の里谷太一と朝倉多香美は、起死回生のスクープを狙って奔走する。しかし、多香美が廃工場で目撃したのは、暴行を受け、無惨にも顔を焼かれた被害者・東良綾香の遺体だった。綾香が“いじめられていた”という証言から浮かび上がる、少年少女のグループ。主犯格と思われる少女は、6年前の小学生連続レイプ事件の犠牲者だった……。マスコミは、被害者の哀しみを娯楽にし、不幸を拡大再生産する怪物なのか。多香美が辿り着く、警察が公表できない、法律が裁けない真実とは――「報道」のタブーに切り込む、怒濤のノンストップ・ミステリ。帝都テレビの「アフタヌーンJAPAN」というニュース番組...書評:中山七里著、『セイレーンの懺悔』(小学館文庫)

  • 書評:中山七里著、宮城県警シリーズ『護られなかった者たちへ』&『境界線』(NHK出版)

    東京や埼玉・千葉など、関東圏を舞台とすることが多い中山七里作品の中で、本シリーズは珍しく宮城県が舞台となっています。東日本大震災の爪痕がまだ生々しく残る特殊事情。誰もが家族や親族や友人を失い、震災前と同じではいられない。これが『護られなかった者たちへ』と『境界線』のドラマの素地となっています。宮城県警捜査一課警部・笘篠誠一郎は、震災の時も公務に出ており、その間に妻子が自宅と共に津波に流されてしまい、遺体はまだ発見されないまま7年の歳月が流れた。気持ちに区切りが付けられず、いまだに「行方不明」扱いのままにしてある。『護られなかった者たちへ』では、そんな笘篠が、仙台市の保健福祉事務所課長・三雲忠勝が手足や口の自由を奪われた状態で餓死させられた事件を負います。三雲は職場でも家庭でも善良で人格者と評判で、怨恨の線...書評:中山七里著、宮城県警シリーズ『護られなかった者たちへ』&『境界線』(NHK出版)

  • 書評:中山七里著、『鑑定人 氏家京太郎』(双葉社)

    商品説明民間の科学捜査鑑定所〈氏家鑑定センター〉。所長の氏家は、女子大生3人を惨殺したとされる猟奇殺人犯の弁護士から再鑑定の依頼を受ける。容疑者の男は、2人の殺害は認めるが、もう1人への犯行は否認している。相対する警視庁科捜研との火花が散る中、裁判の行く末は――驚愕の結末が待ち受ける、圧巻の鑑定サスペンス!氏家鑑定センターの所長・氏家京太郎は、中山七里の他シリーズ(『作家刑事毒島』や『御子柴礼司』など)にちょくちょく登場していますが、本作では題名の通り氏家鑑定センターを中心にドラマが繰り広げられます。氏家は以前、警視庁科捜研に所属していたが、同僚や上司とそりが合わず、ある事件をきっかけに辞職して、民間の鑑定センターを立ち上げます。すると、彼を慕う科捜研のスタッフがごっそり科捜研を抜けて、氏家鑑定センターに...書評:中山七里著、『鑑定人氏家京太郎』(双葉社)

  • 書評:中山七里著、『特殊清掃人』(朝日新聞出版)

    『特殊清掃人』は、特殊清掃業者〈エンドクリーナー〉に舞い込む清掃依頼案件を主人公・秋廣香澄の視点から描いた短編集で、『祈りと呪い』『腐蝕と還元』『絶望と希望』『正の遺産と負の遺産』の4編が収録されています。死者が出た家・アパート・マンションは、同居人が居なければ、特殊清掃業者に依頼して後処理をしてもらうことになります。死後どのくらいの時間が経過しているかによって、清掃内容が変わってきます。まず、ありとあらゆるゴミを出し、ウジ・ハエなどの害虫を駆除し、床や壁などを消毒。遺体から流れ出た体液の浸潤具合によって、床材や根太、大引きまで交換する必要が生じる。体液は感染症の温床であるため、消毒が済むまでは防護服を着て作業するため、気温が高い日は拷問に近い過酷な仕事になります。しかし、体力以上に精神力が奪われます。あ...書評:中山七里著、『特殊清掃人』(朝日新聞出版)

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