万葉集をわかりやすく解説
作者舎人娘子(とねりのおとめ)巻八一六三六番歌大口(ほおくち)の真神(まがみ)が原に降る雪はいたくな降りそ家もあらなくに訳:大口の真神の原に降る雪はひどく降るな。家もないことだのに。解説日本で最後にニホンオオカミが捕獲されたのは、奈良県の東吉野村です。現在の日本では野生のオオカミは姿を消してしまいましたが、古代の人々はオオカミを神として畏(おそ)れていたようです。今回の歌は、このオオカミにまつわる一首です。この歌には、「真神が原」という地名が詠まれています。「真神の原」は、「明日香の真神の原」(巻二・一九九)とも詠まれており、現在の明日香村にある飛鳥寺や万葉文化館付近の一帯を指す呼称と推定されています。そもそも、古代では恐ろしい動物を神と呼ぶことがあり、この「真神」という言葉はオオカミを指すと考えられています。...万葉集をわかりやすく解説
2019/08/31 07:46