読者サービスでエンジンの話しでもしようかと這い出てきた。 「力むな！」と言うのが中々伝わらない。 そもそも力んでいる状態に対して自覚がない。 これは身体能力の問題ではなく頭の中の、具体的に言えば小脳の中の刷り込まれた習慣の問題だ。 力んでない状態がどんなものか分からないので...

いわゆる「武」の文字が「戈を止める」という言説は実は後からのこじつけ、つまり後付でしかない。初出は「春秋左伝」だったと思う。 漢字の成り立ちは後世に作られたものなら意味の組み合わせで出来ていると言っても間違いではないが、初期に作られたものはビジュアルの転写のほうが信用度が高...

「解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯/ 原タイトル:The Knife Man (河出文庫) (文庫) / ウェンディ・ムーア/著 矢野真千子/訳」 18世紀のイギリス。 顕微鏡が世に出てきて100年足らず。 微生物は発見されていたが細菌はまだ認知度が低く消毒の概念もない時...

11月からいきなりアクセス数が増えた。 色々思うところがあるが、何かしらの化学反応が起こっているなら楽観視できる。 だが無自覚に剽窃が起こるなら慎重を要する。 そもそも「剽窃」と言う言葉を知らないだろうな、とも思うので付け焼き刃の知識がその身を滅ぼす呪いでも掛けておこうかと...

エマニュエル・トッド氏がユヴァル・ノア・ハラリ氏を批判的に扱っていた理由が良くわかった。『サピエンス全史』は『銃・病原菌・鉄』の二番煎じ感が否めない。 もちろん30年近く昔の著作なので詰めの甘い所もあるし当時から見て未知の領域だった部分もあるので、今読めば「ここは違うんでな...

お金が儲かります と言うよりも お金を損します と言ったほうが人の心は動く。 早めに動いたほうが良い と言うよりも 間に合いませんよ と言ったほうが人の心は動く。 まだ知らない事を話されるよりも すでに知っている事を話されるほうが人は安心する。 愚者は自分を大きく見せるため...

不思議でならない。 母拳たる四把を差し置いて何故五行拳がこんなに持て囃されるようになったのか？ 誰かが無意識かつ意図的に誘導したとしか思えない。 そもそも四象を表す動きがあって五行を表す動きが無いはずがなく河南の心意六合にも五行の概念があるはずだ。 河南ではそれをどう表現し...

この武術は中国大陸の遙か内陸の電気の灯りも僅かしかない片田舎で、農業を営んでいたごくごく普通のお爺さんが静かに守っていました。激動の歴史を潜り抜け、奇跡のような偶然が重なって、なぜか日本にやってきました。このたび愛媛県より北西勝海先生を講師としてお招きし貴重な講習の場を設...

たまに和食の飲食チェーン店に入ると店員が全員東南アジア系、客は半数以上が中国系と言う状況に出くわす。自分にとって"たまに”ということは、時と場合により日本人が一人もいないことも有り得るわけで、その瞬間にそのお店の切り取られた空間は日本の国の日本の食事を提供する異国に他なら...

武術が家業や人生や社会の中心になる筈がない。 戦争のための戦争は存在しないし、軍隊が中心となる国家も安定して長続きしないのは道理に照らし合わせれば当たり前すぎることだ。 もし本気でそんなものを信じているとしたら、あまりにも病的だし武術の本来の目的からかけ離れていて本末転倒じ...

古代社会において農業生産力の増大を可能にしたものは何か？それは人間の生活に規則性を持たせる精神活動に他ならない。 狩猟採集生活や騎馬遊牧生活などの移動性社会は季節の変遷に合わせて住環境ごと移動するため文字の発達がさほど必要なく代わりに身体の運動が重視され必要な道具の材料調達...

―――本日の業務はこれにて終了です。お疲れさまでした。報酬は既にお客様の指定口座に送金済みとなっております。念の為ご確認ください――― 右の手で網膜投射装置のスイッチを押して左の操作モジュールリングを嵌めた指で仮想立体映像を操作し自分の口座情報を呼び出す。くそ、面倒くさい...

感度計が扉の開閉を感知したのちに一人の男性客が店内を訪れた。都会の湿った空気が夜風とともに流れ込んできて店内の湿度が0.3％上昇した。「いらっしゃいませ」私は来客応対の定型文で迎え入れカウンターに座るように客に促した。「ジャックダニエルをロックで」カットグラスに大振りな氷...

小さなうねりが起こり そのうねりがだんだん大きくなって 陰陽がはっきりと分かれる くっきりと分かたれた陰陽の中から寒暑の別が現れ勢いよく飛び出す その飛び出した風が春を呼び 春深まって深緑の林野を燕が飛び交い やがて天を突くような酷暑の夏が訪れ 晴天は霹靂、突如滝のような雨...

体系的な系統樹を持って現存している武術諸流派はすべからく農耕文化と密接な関係を持っている。継承技術が狩猟文化の中で散発的に発生することはあっても我々現代人が認知しているような武術の形にはならなかっただろう。そのことを理解するには人類の文化の自然発生過程を考察する必要がある。...

“楚の霊王は自分の息子たちが殺されたことを聞かされると馬車から地面に体を投げ出し泣き叫んだ。「私は自分の子供を愛すること人一倍なのだ！」それを聞いた年老いた従者は応えた「王様はまだましです。私など老いて子も無く、崖の際に追い立てられている気分です」「私は多くの親の子供たちを...

未だ孵らぬ雛は卵の外を知らない 果たして君が殻の内に在る事をどうやって知るのか 閉ざされた門は主の許可なく開くことはできない 無礼な客人よ犠牲の羊を携えよ 卵殻を外より穿てば雛は死ぬ 君は己が世界の狭小を知らずに立ち去るのか 城砦はうつつのまぼろし 在り難き門扉を開け 其処...

気になって気になって兵法家伝書をもう一回見直して調べてみた。 いや何をって、私は参考文献として兵法家伝書や孫氏兵法や戦争論を用いるのだけれど、その兵法家伝書を書いた柳生の先生は書を著すにあたって何を参考にしたのかなと。 柳生の翁先生は全くの0から書いた訳では勿論ないので武術...

後輩から借用した碧巌録上・中・下をすべて読み終えた。 何故こんな難しそうな本を読みたくなったかと言うと、柳生新陰流兵法家伝書に書かれている三学円之太刀として伝わる五つの技法名が碧巌録から引かれていることで興味を持ったからだ。 一刀両断、斬釘截鉄、半開半合、右旋左転、長短一味...