歌う風抄~すれ違う風~
角折れて入ったこの道人影の無くて私とすれ違う風聞き耳を立てれば再び聞こえずに静まっている無人の部屋は鴉らの忙しく交わしている声を聞きつつ覚めて雪の積む朝一片の窓から入ってきた雪の静かに消える雫残してあの頃はラジオで共に楽しんだオールデイズを聴くイアホンで聴いているオールデイズのこの歌も既にこの世に無き人の声雀らはいつも四、五羽で連れ立ってあちらの屋根へこちらの屋根へ夢に来て顕つ面影は晩年のものより常に若き日のもの昼過ぎて一度響いた雷鳴を記して今日の日記を閉じるヘッドホンに満ち満ちていた音楽の終って音無く冷えている夜歌う風抄~すれ違う風~
2023/03/12 19:07