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鮎釣り情報【有田川ダム上 柴崎おとり店】 https://gggbbbaaa619.blog.jp/

和歌山県有田川ダム上にある柴崎おとり店のサイトです。 鮎釣りの遊漁券とオトリ鮎を販売しております。 皆さんお気軽にお越しください(*‘ω‘ *) 柴崎おとり店 〒643-0601 和歌山県有田川町押手770-2 ☎073-726-0413

柴崎おとり店
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2019/03/27

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  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その24

    「お若いから、雅也君パソコンにお詳しいんでしょう」 順子さんの言葉にピアノマンは笑みをつくった。「ええ、学生の時には何かの資格を取ったようです。私にはわかりませんが」「この方はガバチャさんってみんなから呼ばれてるんですけど、パソコンに詳しくてね、あ

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その23

    石川先生が口をはさんだ。「あの、ピアノマンさんもブログかなんかされているんですか?」 ピアノマンは明るい表情をつくると「雅也に七十の手習いで教えてもらってます。最近はこれ一つでいろいろな買い物も出来るので助かってます」 と答えた。  この家ではパソ

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その22

    「私の動画見て思い出されたんやね」 順子さんが目を潤ませる。 はい、とだけ返事をすると、ピアノマンは急に口を結んでコーヒーを置いた。 その表情は何か言いたいことをこらえているようにも見える。 沈黙の中、青年が小さな会釈をして一階に消えていった。 庭の木

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その21

    「若いからパソコンお詳しいんやね」 順子さんの問いに青年が口元を少し緩めたように見えた。「私の家内も歌が好きでしてね。ま、阪神大震災で亡くなりましたけど」 笑顔の順子さんが表情を一転させる。 石川先生が飲みかけたコーヒーをカチャリと置いた。「家内

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その20

    「あの左手の陸地ですね」 と石川先生が指を差す。「ええ、あれが大阪府と和歌山県の県境の和泉山地です。私の生まれたところはそこからまだ遙か遠い、那智勝浦町というところです」「へー、行ったことないけど良いところなんでしょう」 順子さんの言葉にピアノマ

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その19

    「ピアノマンさん、息子さんと二人暮らしなんやて。さ、入って」 門をくぐると、二階のバルコニーから老人の声がした。「ようこそいらっしゃいました。さぁ、上がってください」 僕と石川先生は頭を下げながら、家の中に入っていった。 洋風な作りで靴のまま広い階

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その18

    三人が家の中に消えるのを見計らって、僕らは門前に近づいた。 MIYAKEという粋な表札がかかっている。 広い庭の芝生は手入れがいきとどいており、所々に赤や黄色の花がほころんでいた。 携帯の着信音が鳴る。 石川先生がボクの胸ポケットに目を落とした。 僕が

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その17

    順子さんが吸い寄せられるように歩み始める。「まあ、あやしいやつじゃなさそうですね」 僕の言葉を無視したように、石川先生は順子さんの後を追った。 僕と石川先生は遠方から何気なく三人の様子をうかがった。 T字路の突き当たりで、車いすの老人と順子さんが笑

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その16

    察知した石川先生が動く。 僕は人混みに紛れ、早足で順子さんを追い越すと木陰に立って見下ろした。 石川先生は順子さんを追い越さず、坂の下で塀にもたれかかった。 立ち尽くす順子さんの視線の先を探す。 うろこの館と反対方向に伸びる小道は、僕の位置からは民家の

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その15

    「ここから、僕と石川先生は気づかれないよう離れて歩きましょう。うろこの館はそのバス停を左に上がったところです。少し坂がきついですがすぐですよ」 僕が言い終わるが早いか、順子さんは腕時計に目を落として歩き始めた。 石川先生はいつの間にかサングラスをかけて

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その14

    「日焼けしたら大変やろう思うて、センター街の帽子屋で買うたんや。店のお姉さんがこれがこの服に一番似合う言うて見立ててくれたんやで」 と順子さんは僕と石川先生を見上げた。「ピアノマン、びっくりすんで」 と石川先生が肩を揺する。「今朝から、頭かてセッ

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その13

    「なんかテレビドラマみたい」 順子さんが少女のようにはにかむ。「ママ、何着て行きはんのん」 ヤスコさんが笑顔で訊く。「着物がいいかしら。暖かくなったから派手なワンピースもいいかな」 はしゃぐ順子さんに石川先生が苦笑いをした。 土曜日。午前中の

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その12

    「ね、いい人だったでしょ」 と順子さんが同意を求める。石川先生は口を結んだままだ。「なんでお近くやのにお店の方にこられないんやろ」 そう言ってヤスコさんが口をとがらせる。「そんなんどうでもよろしいやん。ピアノマンに会うの楽しみやわ」 と順子さん

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その11

    「あのぉ、どちらにお住まいなんですか」「神戸の異人館の近くです」 みんながえっと声を上げそうになったが、実際声を上げたのは順子さんだけだった。「えーっ、す、すぐそばやないですか」「はい。ブログの地図を見たら店がえらく近いので私も驚きました」「じ

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その10

    翌日、メッセージでのやりとりをすることになった。 僕の予想どおり、ピアノマンは電話番号を数字ではなくひらがなで伝えてきた。 アメブロは電話番号の表示を禁止している。 その抜け道として、若い者の間では番号をひらがな表示で伝え合っている。 僕は、ヘン

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その9

    やがて閉店間近となり、客は誰もいなくなった。コメントのことを話すと、「じゃあ、電話番号訊いてよ」と順子さんは目を輝かせた。 酔っているのか頬が赤い。 いつの間にかカウンターの中にいる石川先生が口を挟んだ。「ガバチャさん、順子ママのやりたいようにやらせ

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その8

    「わ、わかりました。ちょっと文章考えてみます」 順子さんの手がすーっと引っ込む。 僕は順子さんの言うとおりのコメントを返すことにした。ピアノマンの方に関心を向かせないと、何か変なことになるような気がした。 早速、ヘンリーで会えませんか、とのコメントを

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その7

    「あたしの動画見てるから婆さんやいうのはわかってるわなあ。同年代ぐらいかな。それとも年下かしら」 順子さんは口元を緩めた。「順子ママ七十三やろ。年下でも六十後半、年上なら八十前のじじいやで。心臓によろしいないわ」 端っこの石川先生が、水割りのグラス

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その6

    一月ほど経った頃、歌うヘンリーのじゅんちゃんにコメントが入った。初めてのコメントだった。『こんにちは。すてきな歌声ですね。いつも楽しく見させていただいてます』 ハンドルネームはピアノマンだった。僕は順子さんに成り代わりブログ運営をしている。 さてど

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その5

    翌日、僕はつくったホームページを見せるためにヘンリーを訪れた。アメーバーブログなのだが、十分に質は高い。カウンターに置いたノートパソコンに順子さんとヤスコさんが食い入る。石川先生はカウンターの隅で、一人カラコロと水割りのグラスを傾けていた。「す、すごい

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その4

    「なんやドメインやらホームページの更新代やら言うてて、ただホームページもいっこも更新されてないし、ほんまに一万円も払わなあかんのやろか思うてしばらく振り込んでないんよ」 順子さんは立ち上がると、僕の隣に座った。「騙されてたんやって」 石川先生の言葉に順子

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その3

    「それなんかおかしいって。詳しい人に相談してみた方がええよ」 そう言って、石川先生はヤスコさんに水割りを頼んだ。「このドメインてなんやの?」 順子さんは石川先生に携帯を渡した。「よくわからん。お客さん詳しくないですか」 石川先生は僕に携帯を渡しながら話を

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その2

    「あら石川先生、おはようございます」 初老の男性が現れた。背はそれほど高くないが、肩幅が広くてがっしりした体躯だ。健康的な褐色の肌を備えている。石川先生は、僕にちらりと目を合わせただけでピアノに向かった。 演奏が始まる。どこかで耳にした曲が次々と演奏され

  • 連載小説 歌うヘンリーのじゅんちゃん その1

    行きつけのスナックに上がろうとしたら、蹴躓いて階段を踏み外した。転がり込んだのは地下にある薄暗いバーだ。着物姿の小柄な女性が、目を丸くして見上げる。「い、いらっしゃい」 あはぁ、と僕は息をついて頭をかいた。「ヤスコさん、お客さんよー」 厨房からピンクの

  • 連載小説 ごりやんくん 最終回

    ヒロムはおじいさんが去って行った方向を見た。 ぼた餅がひとつ転がっている。 近づいて見ると、ぼた餅は半分に砕け中から小石がのぞいていた。 ヒロムはアッと声を上げた。 二人組のワルに取られそうになった時、自分が入れた小石だ。 おじいさんは小石を噛ん

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