谷中に住む谷中ハチ助が週末登山と日々の読書、谷根千での日々を中心に、新しいこと、刺激を求めて現代社会を彷徨っています。
コミカルでキッチュ、へえこんな作品もあるんだ。代表作「楽園のカンヴァス」に引き続いて読んだ印象は軽やかだった。 政権与党政治家の長男美智之輔は、乙女心を持った大学生。政治家としての将来の嘱望から逃れ、芸術に生きる彼はパリ留学の機会を得る。そこで次々に思わぬ展開が待ち受ける。 文体は不真面目といえば失礼だが、それがかえって実直さを生み出している。 マハさんのこの作品にも美術の底流があり、また一つ賢くなった気になるのもよい。 さらに賢くなるために、違う作品を読み進めたい。
【ラグビーW杯】横浜観戦 準決勝 イングランド19-7ニュージーランド
まさかだった。3連覇を目指すニュージーランド代表、愛称オールブラックスが敗れる、試合を見ることになるとは。 序盤からおかしかった。開始1分でイングランドが先制トライ。そこから歯車が狂っていた。見えない重圧に屈するように黒のブラックスがことごとく白の壁に跳ね返される。信じられない光景が広がっていた。 私が観戦した席はスタジアムの四隅に当たる位置。たまたまなのか、熱狂的なイングランドサポーターの大声援にハカのリズムさえかき消された。「C'mon England」「swing low ,sweet chariot」の大合唱。普段日本では聞くことのできない、熱い魂の叫びがずいずいと響き渡った。 イング…
【登山】榛名山 日本二百名山/高崎市 2019年10月23日
プッチンプリンのような山塊に、秋の紅葉が点描画みたいに映える。榛名湖は静かな水面を湛え、まもなくやってくる冬に備えていた。紅葉八分頃、榛名富士はそんなお茶目で美しい容態を見せていた。 榛名山という名の山は無い。榛名湖を囲む一帯の山域を指すらしい。それからすると、私は今回、榛名湖を半周もしていないので、踏破したことにはならない。幸い、湖南を東に行けば伊香保温泉へ通ずることを知った。次回の旅路が早くも決まった。 今回の山行だが、全体としていつにも増して土壌が水分を含んでいた。これもやはり台風の当たり年だったが故。ルート自体に難所は無く、初心者向けだったといえる。 がしかし、昭文社の50,000分の…
美術鑑賞を嗜むなら原田マハさんは外せない。先輩や友人に何度も勧められておきながら、ためらっていた。今回、ようやく重い腰を上げて本書を手に取り、ああ、もっと早く手に取れば良かったと後悔しているところだ。 物語は大原美術館の監視員、早川織絵が同館に閲覧に訪れた学生のマナーを注意するところから始まる。 織絵は遠い過去、アンリ・ルソー研究に成果を上げた気鋭の研究者として躍動した経歴がある。同じ頃ルソー研究に血道を上げていたニューヨーク近代美術館のアシスタントキュレーター、ティム・ブラウンとひょんなことからバーゼルにおいて、ルソー作品の真贋鑑定を争うことになる。 鑑定が主眼のストーリーだが、そこには作品…
連休最終日の冷たい雨がふるさ中、上野の森美術館には長蛇の列ができようとしていた。9時半の開門からまもなく、入場15分待ちの札が上がる。想定内といえば想定内。逸る気持ちを抑え、心穏やかに入場ゲートをくぐった。 展示は地味な印象から始まった。リトグラフ、水彩、チョーク。およそゴッホのイメージとはかけ離れたオランダでの日々。ハーグ派と親交のあったゴッホは、才知ある彼らを学び、模倣することで基礎を築いていったらしい。今回はそれら親交のあったイスラエルスやマウフェらの作品を展示していたので、初期のゴッホがどのような作品から影響を受けていたかがよくわかった。 次に、農民画家として。この時期のゴッホはじゃが…
晴天に恵まれた二日目は昨日の風雨が嘘のような好天。朝7時前に薬師岳小屋を出発して、3つの山を目指した。 急登を上り詰めると、わずか30分もせずにまず薬師岳山頂に到着。 水分を補給しただけで、次の観音岳を目指す。観音岳を望むここからの眺望が今回の登山で最も優美だったように思う。 薬師岳から45分ほどで観音岳山頂のゴツゴツした岩肌の集合体に至る。 小屋で隣の寝床になった方から、甲斐駒ヶ岳をバックに撮影していただく。 ここからの見晴らしが最も開けていた。登山においてやはり天気は重要なファクターだ。 名前はわからないけど、小さな鳥も。 そして、赤抜沢ノ頭を経由して地蔵岳へ。 オベリスクに取り付いている…
【登山】鳳凰三山③初日の上りは初心者には甘くないルート/南アルプス
自家用車を持たない私は、電車やバスを利用するしかない。 前2回の南アルプス山行と同様甲府発のバスに乗り、今回は夜叉神峠登山口で降りた。ここですでに10時半を回っていた。小屋からは16時までに入ってくれと予め釘を差されていたが、地図によれば、標準タイムは休憩無しでおよそ7時間。苦手ではない上りでハイペースを目論んだ。 ところが、そうは問屋が卸さない。標高1,380mの夜叉神峠登山口から同2,780mの薬師岳小屋までの落差1,400mをひたすら上り詰める。ところどころに尾根や踊り場のような窪地があるが、それらは全体の1割にも満たず、ただただかかとから足先への着地を繰り返した。序盤雨も小雨も断続的に…
【ベイスターズ】ハマスタ観戦 ◯6-4タイガース 2019年10月6日
タイガース王手で迎えたクライマックスシリーズファーストステージ第2戦。 ベイスターズは初回ロペスのツーランで先制、3回に神里のタイムリーで加点し、今日こそはの流れができつつあった。 しかし、4回北じょう、福留の連続タイムリーで先発濱口がノックアウトされる。 5回も1点ずつを取り合い、緊迫したゲーム。 最後は回跨ぎの山﨑康晃が締めるかと思いきや、9回ツーアウト、あとひとりのところで福留に同点弾を浴びてしまう。 もうだめだと思いかけていたそのとき、代打乙坂のサヨナラツーランで劇的幕切れとなった。 何はともあれ、明日に望みをつないだ。東京ドームへ行くと信じて明日も応援したい。
居心地最高! 布団はふわふわで、敷パッド、アクリル毛布、掛け布団、そば殻枕が新品で用意されていた。寝床は、共用ではなかったし、ふたりごとにカーテンで敷きられていた。共有スペースでゆっくりほんをよむこともできたし、荷物スペースや更衣室までかくほされていた。 建物は木の匂いに満ち、食堂にはBS放送が入っていて、リラックスできた。トイレはバイオマス対応はもちろん、暖房便座まで! 欲を言えば、飲料水の確保ができなかったこと、朝食が6時からで遅かったことくらいか。ぐっすり眠れたし、早起きした3時には満天の星空が見られた。温泉のあった三条の湯をのぞけば、ナンバーワンにあげたいところだ。 鳳凰三山に登るとき…
台風一過の金曜日、ラグビーW杯、プロ野球クライマックスシリーズとスポーツ真っ盛りの秋、観てばかりじゃ体もなまるということで今季3度目の南アルプスへ。 甲府からのバスは平日増発なしのため、立ち乗りありの満席。座席を確保すべく、早めに到着しておいてよかった。車掌さんの話によると、今年は10月の今日も真夏日予想なくらいのため、紅葉が遅れていてまだらしい。 鳳凰三山は白砂の景観が美しく、岩礁が有名。宿泊予定の薬師岳小屋は、最近建て替えたばかりで快適に過ごせそうだ。 信玄公が出発を見送ってくれた。行ってきます。
髙村薫さん最新作にして、警察モノの最高峰。 本書はハードカバー500ページを越える超大作で、約一年間毎日新聞に連載された。 警察モノいうと血なまぐさい殺しのシーンだとか、諍いや怨恨といったマイナスイメージが想起されるが、高村作品はショッキングな描写などはほとんどなく、朴訥、実直なまでに登場人物の内心を描き切るところに真骨頂がある。 作者も御年66であるが、作者と並走するかのように、主人公の合田刑事もあの事件から12年の時を経て、57歳になっている。作者にせよ、主人公にせよ、心境の変化著しいが、本作はデジタルの隆盛やテレビゲームの定着が大人ひいては刑事や判事にまでもに、趣味として娯楽として、そし…
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