水兵の個人武勇について
航行中の軍艦で、甲板はまま(・・)運動場の用を成す。 帝国の海の防人たちは、あの場を使って相撲も取れば、 弓も射ったし、 剣道もした、 サメを用いた日本刀の「生き試し」なぞも偶にした。 そのようにして日々の無聊を慰めて、且つ筋骨を錬磨した。 従って当時の水兵どもは、個人の武勇もなかなか以上であったのだ。 当たり前だが、どいつもこいつも「強い」のである。 それゆえに、こんな景色が具現する。 以下に示すは、日本海海戦決着直後、艦を藻屑に変えられて、アワレ波間を漂うばかりの小枝の運命に陥ったロシア兵らを救助中、竹内重利──当時少佐──が目撃した光景だ。 「救助された露兵の大部分は裸体で、いづれも十字…
2025/07/16 17:08