そろそろこの街から移動する。旅を終えて、そのキラキラした部分だけを飾るインスタグラムのための写真を撮って1日を終えようと思ったが、別にいいやと考えて、またぞろ本を読んでスーパーで買い物をしていた。 ニュージーランドで初のコロナウイルス感染者が出たそうだ。10日ほどのちに訪れる予定の都市の出来事なので、一応記憶に留めておく。 しかしそんな名前も知らない1人の感染者より、消えてしまった卒業コンパや新歓活動が気にかかる。会えるはずの人と会えなくなってしまった。 昨日の夜、どうにも寝付けなくてツイッターを眺めていた。「ロンドンで差別された日本人」の話が流れてきた。「キラキラの街、ロンドンで差別なんて……
今日は無風の曇天で、宿を一歩出た途端にむわりとした熱気に包まれる。そういえば今は夏だった、と1人で納得する。 ちょうど古傷が疼くような空気の街を、トヨタの自動車が掻き回している。 ふと空を見ると、遠く離れた向こうに雲の境界線が見えた。この分ならどこかで日が差すこともあるだろう。 『スクラップアンドビルド』を読んだ。 この街は9年前に大地震に襲われ、シンボルであった教会やタワーなどは今なお崩れたままフェンスに囲まれている。生々しいスクラップ、そしてその上に成り立つ生き生きとしたビルドを感じるので、日本ではなくこの場所で読むことが出来て良かった。 スーパーでは「サチエ's テリヤキチキン(写真3枚…
このところ毎日足繁く図書館に通っている。 昼前に起き出しシリアルと塩っ気の少ないサラダをマンゴージュースで流し込む。歯を念入りに磨く。 15分ほど歩いて図書館へ。途中何度もトラムとすれ違う。この滞在中、自分が乗ることはきっとない。 日本書コーナーの前、日当たりの良いソファに陣取る。今日は麻耶雄嵩の『さよなら神様』を読んだ。前に読んだ『あぶないおじさん』のほうが好みであった。 妙にミステリの品揃えがいいのは何故だろう。売れ筋ではない本も取り揃えられており、疑問が残る。 今日は牛乳とピーナッツバターを買った。一昨日買ったパンがどうにも臭く、飲み下そうにも時間がかかり、なおかつ美味くない。その打開策…
昨日は入場無料のカンタベリー博物館に行った。 趣のある館内に所狭しと並ぶ展示品。ジャンルも多彩で幻の巨鳥モアの化石からダースベイダーのお面まで。ごった煮と称せばそれまでだが、不思議な統一感で結ばれている気がする。多分、仄暗い照明のせいだろう。 館内は広く迷路のようになっており、2回ほど出口がわからなくなった。延々とショーケースの前を歩き回らされたので、そういう作戦に違いない。 物販を流し見て併設の植物園に足を運ぶ。広大な園内を走る川には小舟が流れており、ゆっくりとした午後を感じた。 その後はまた図書館へ。まさか『どんどん橋、落ちた』をこんな場所で読むとは。 一つ気付いたことがある。それは、この…
多少体調が改善したので、市街を観光。新設された図書館は規模も大きく、また蔵書数も多い。日本の雑誌や小説も数多くあった。 知らない言語に飽き飽きしていたので、しばし読み耽る。予想だが、この街での暇つぶしは主にここで行うことになるだろう。 目についたスーパーでヨーグルトとシリアルとパンを購入。これで朝と夜に出かけずに済む。 夕方、宿に戻りシリアルにヨーグルトをかけてモサモサと掻き込む。結果的にこれは大失敗であり、シリアルの硬さに顎が疲れて頭が痛くなった。牛乳前提なのであった。 何もしていないが、疲れたので寝る。帰る日程を少し前倒ししてもいいなぁ。
目を覚ますたびに時計を確認するも、たいていの場合は1時間しか経過しておらず良くて1時間10分。 空港の硬い椅子は、どうやら断続的な浅い眠りに適しているようで、何度も目を覚まし時計を見遣り絶望する夜を過ごした。 昼過ぎにようやく空港から這い出し、市内へ向かうバスに乗り込む。左側通行のこの国は、日本よりも多くの日本車が走っていた。 停留所で乗り込んで来て隣に座ったおじいさんが前に座る人に何かを囁いている。 と思ったら俺にも何かを囁いてきた。何も聞き取れなかったので、前に座る人と同様に「OK」と返す。 宿のチェックイン時間まで少し間があったが何のやる気も起きず、道端のベンチでボケッと過ごす。 部屋は…
空港に降り立ったのは深夜1時を回る頃だった。 シドニーからクライストチャーチに向かう便は当然のことながら東洋人が少なかった。同じように不安を感じていたのだろう、話しかけてきた韓国人のカップルと拙い英語でコミュニケーションを図ろうとするも、お互いに何も伝えられず、曖昧に笑い合ってテキトーに飽きた。 長時間の移動を終えた身体は想像より疲れ果てており、更に今日は空港泊である。たまらず一泊目の宿の延泊を決意。 シドニーでは空港の調査員に話しかけられ、聞き取れない部分を「うん?」と訊き返していたら肯定と認識されたようで、気付けば私は30万円をかけて4週間クライストチャーチに留学するYuga(フルネーム)…
「え、じゃあ乗れないんですか?」と聞くと、受付のお姉さんは笑みを絶やさぬまま「申請が間に合えば問題ないですよ」と言い、URLが書かれた紙を手渡してくれた。 羽田空港国際ターミナル。荷物を預けようとオンラインチェックインを試みたところ「エラー 係員にお尋ねください」の文字が画面にデカデカと表示された。 原因はどうやら自分の渡航経路にあったらしく、それはシドニーで10時間のトランジットを行うものであった。オーストラリア政府は8時間以上の滞在を「入国」と見做すらしく、その入国ビザの取得が必要だという。 調査不足を悔やみながら渡された紙に記されたリンクに飛んで手続きを進める。最後に4000円ほどの観光…
思春期、春を思う季節。忘れたい過去はだいたいこの季節、春の日差しでボケた頭が為した出来事だ。全員ベロベロに酔っ払っていた。しょうがない。春って芽吹きますし。性とか。 愛すべき過去である。楽しかったこともたくさん。記憶を掘り起こして墓標を立てたい。 覗きと罰 もう時効なんですけど中学一年生の出来事。入学してすぐに交友を深めるために林間学校を長野の山奥にある校舎で行うんですけど。二階が女子エリア、三階が男子エリアと割り振られていて。一部屋5〜6人くらいに別れて共同生活。 んでウチの部屋はまあ、なんというかその、場所がよくて。こう、覗き的なイミで。すんげえ遠いけど女子の部屋の窓が見えるんですね。それ…
本とイヤホンを忘れて電車に乗ったとき、窓から見える屋根伝いにマリオを走らせるのに飽きると目的地までの時間をカットする妄想にふける。できたら便利だろうな。でもきっとやらない。効率だけを求めることがかえって非効率になる場合は多いし、生きることに効率はないと信じたいし。 あと半年ほどで20歳になる。お酒を飲めること以外で大きな変化はないと思うけれど、自分に残された時間がきになって電卓アプリを起動する。今日は2020年2月5日。大学生は2023年3月31日まで。計算があっていれば残り1150日。砂時計の寿命は164週間。最後は必ず一粒残らず滑り落ちる。 存外に短い。焦る。「えー」声が出た。パソコンをぱ…
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