やはりSNS・スマホ決済・オンライン広告など熱い領域のテック企業への投資は避けるべき
ICT総研が「2018年 SNS利用動向に関する調査」を発表しました。2017年末の国内ネットユーザーのうち、72.1%がSNSを利用しており、2020年には78.7%に達する見込みとされています。 その中でも、LINEの利用率が圧倒的に高く、日本では実にネットユーザーの80.8%がLINEを利用しています。昨年との比較では、Instagram、LINE、Twitterの利用率が向上しているのに対して、Facebookは伸び悩んでいます。(以下は日本における2017年末の各SNS利用率です。) 出典 ICT総研 とはいえ、日本で圧倒的な地位を築いたLINEも盤石ではありません。ITジャーナリストの高橋暁子さんによれば、数年前から「リア充自慢」に嫌気がさした若者の「Facebook(フェイスブック)離れ」が指摘されるようになったのと同じく、延々と相手からのメッセージに返信し続けなければならないLINEに嫌気がさす若者も増加しているといいます。 SNSにはネットワーク外部性(製品やサービスの価値が利用者数に応じて増減する性質)があるため、いったん流行が始まると皆一斉にそのSNSを使い始めますが、飽きられるとユーザーの利用量は一気に減少します。SNSのアカウントを持ち続けるだけであれば固定的なコストが発生する訳ではないので、アカウント数は減少しませんが、実はアカウントを持っているだけで実際には使っていない人も多いのです。 現状、Facebookなど多くのSNSの収益はユーザーの端末に表示されるオンライン広告に依存しているため、たとえアカウント数を維持できても、全体の利用量・閲覧量が減少すれば、それに応じてSNSの収益も減少します。多くのSNSはそのことを十分認識しているため、SNSとして一定の成功を収めると、人気があるうちにスマホ決済など他の分野への展開を図りますが、他分野での競争も熾烈であり、容易ではありません。 LINEはスマホ決済への進出のため、消費者に20%還元する「Payトクキャンペーン」など積極的なキャンペーンを展開し、2018年のLINE Payのグローバルな売上高はグローバルで1兆円を超えました。消費者への還元キャンペーンだけでなく、店舗は3年無料という破格の条件もあって、国内の幅広い店舗が同社のサービスを利用するようになりました。
働き方改革の一環として厚生労働省が昨年1月、指針作成など副業解禁に向けて舵を切ってから約1年が経過しました。最近では徐々に取り入れる企業も現れていると報道されています。 しかし、大部分の企業は、政府の副業解禁の方針など関係なく、今でも副業を認めていないのが現状です。2019年1月22日に経団連が発表した「2018年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」によれば、副業・兼業を「現在認めていない」とする企業が78.1%、「現在認めている」企業は21.9%でした。 昨年1月、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をまとめ、同省が示していた「モデル就業規則」から副業禁止の規定を削除しました。現在は以下のように定められています。 (副業・兼業) 第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。 2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。 3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。 ① 労務提供上の支障がある場合 ② 企業秘密が漏洩する場合 ③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合 ④ 競業により、企業の利益を害する場合 そもそも、我が国で積み重ねられてきた判例では、新しいモデル就業規則によるまでもなく、上記に掲げられているような明確な理由が無ければ、労働者が他の手段を通じて収入を得ることを制限できないことになっていました。 しかし、実際には、雇用者側は実質的な判断を行うことを嫌い、一方的に副業を禁止する就業規則を設けて、労働者がそれに従うことを強制してきました。また、労働者の側も、形式的な違反を関係者から雇用者に密告されて余計なトラブルになることを避けるため、仮に裁判に持ち込めば勝てるような案件であっても、本来可能である筈の副業にすら萎縮して手を出せませんでした。 政府は、こうした状況を打破しようとして、モデル就業規則を改定することにより雇用者が労働者の副業を解禁することをソフトな形で促そうとしたのですが、引き続き状況が変わらないことが明らかになりました。 ソフトな形で促すことができないことが明らかになった以上、より踏み込んだ措置が必要になります。
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