作家 川上弘美
不思議な小説を読みました。 ひとつの町を舞台に、それぞれの人が微妙に重なりつつ物語は展開していきます。 『夕つかたの水』という章では、少女のこんな台詞が心に残りました。 成長していく過程での微妙な心の動きです。 ……………………………………………………………………………… 大きくなると、自然に、色んな事がわかってしまう。 めんどくさいなあ、と、時々あたしは思う。 でもしょうがない。 時間はたつ。あたしは成長する。 あたしの目には、それまでうつらなかったものが、うつるようになる。 そしてまた反対に、うつっていたものが、うつらなくなる。 どこから行っても遠い町 (新潮文庫) 作者:弘美, 川上 発…
2021/02/27 09:09