第157話 落日
8月某日吾輩は、主人が水槽の掃除を行っている間、いつものようにベランダを探索していた。 すると突然、吾輩の目の前にトングで挟まれたカメ輔が現れた。 この光景は、いつかどこかで見たことがあるような光景だった。 そして、主人は、カメ輔を吾輩の目の前に置き、睨めっこさせるように置いたのである。 「首を天空に伸ばしたカメ輔を見ると、しばらく見ないうちに随分大きくなったなぁ」と思った。 吾輩は、一瞬ハッとし、カメ輔に対して恐怖心を抱き、無意識に身を低く構え、口を大きく開き、カメ輔を睨むやいなや、突如右方向に向かって逃げたのである。 すると、それを見ていた主人は、慌ててトングで吾輩を掴み、水槽に入れたので…
2022/08/26 01:03