昨26日から29日迄、築地本願寺において「親鸞聖人誕生850年、立教開宗850年記念慶讃法要」です。昨日、10人で団体参拝、庭儀があり荘厳さな法要でした。満堂で700人といった参会者でした。記念冊子が無料で配られましたが、その冊子の中に、当日、ライブ配信されているE映像を参拝しながら見られるようにQRコードでも印刷してあれば、ラジオを聴きながら野球観戦するように楽しめたと思いました。築地の慶讃法要
29日、木曽福島へ一泊で、ヒノキの倹品へ行って来ました。本堂の檜を購入し、その木材の点検です。節のない見事な檜でした。雨が降っていましたが赤沢自然休養林の案内して頂きました。が伐採され、その切り株の上で発芽してから1~5年程の幼樹です。(写真)伐採後、切り倒朽ち果てた根株が孫木にとって絶好の寝床となり、根株は孫木のために自分の命がなくなった後も必死になって地中より水を運んできます。そして一人前になると、切り株は朽ちて、その部分は空洞になります。(写真)木曽檜は生長が遅い分、しっかりとした幹として育ちます。見ごたえのある檜でした。木曽檜
『進化心理学から考えるホモサピエンス一万年変化しない価値観』(2019/1/25、アラン・S・ミラー著)、なぜ女性は男性よりも信心深いのか宗教はあらゆる文化に普遍的にみられるが、信仰の性差もあらゆる文化に共通する現象である。ほぼあらゆる社会で、女性は男性より信心深い。70ヵ国・地域で、一10万人を対象に次のようなアンケート調査が実施された。質問A「神の存在を信じますか」、質問B「教会に通っているかどうかは別として、あなたは次のどれにあてはまりますか。(1)信仰心がある。(2)そうでもない。(3)確信をもった無神論者」。その結果、ごくわずかな例外を除いて、すべての国―地域で女性のほうが男性よりも信心深かっか。アメリカなど信仰心の性差が比較的小さい国もあれば、ロシアのように比較的大きい国もあるが、いずれにせよ...なぜ女性は男性よりも信心深いのか
『進化心理学から考えるホモサピエンス一万年変化しない価値観』(2019/1/25、アラン・S・ミラー著)、なぜ売春は世界最古の職業で、ポルノ産業は10億ドルの市場規模を誇るのかよく言われることだが、娼婦は男の客をとるが、男娼も男の客をとる。同性愛者であれ異性愛者であれ、売春サービスの客はすべて男であり、セックスを全て買う女性はきわめて少ない。この性差は何に起因するのか。そして売春はなぜ最古の職業なのか。繁殖の生物学的な条件の違い(異形配偶と受精卵が母胎内で育つこと)から、男はできるだけ多くの女に性的に接近するほうが繁殖成功度が上がるが、女は性的に接近した相手の数がそのまま繁殖の成功につながるわけではない。男は年同1000人の女と関係をもてば、可能性としては1000人、実際のところは年間30人程度の子供をつ...進化心理学から考えるホモサピエンス②
『進化心理学から考えるホモサピエンス一万年変化しない価値観』(2019/1/25、アラン・S・ミラー著)、進化心理学の前提となるのが、全ての生物は自分の遺伝子を後世に残すように本能的に動機づけられているということで、これが男女の違いを生み、私たちの意志決定にも影響しているという。・生殖が可能であるかどうかを示す価値=繁殖価が女性では重視されるため妊娠可能性を示す見た目(若さの特徴)が重視される。・雌が複数の雄と交配する種ほど雄の生殖器は大きい傾向がある。・離婚したカップルの父親が母親ほど子育てに熱心ではないのは、その子供が本当に自分の遺伝子を受け継いだ子か分からないため。母親からすれば自分の子供は100%自分の遺伝子を受け継ぐ子供だと分かるから熱心に子育てする。・家庭内の子殺しは継母、継父による事例がほと...進化心理学から考えるホモサピエンス
(3)【感動する話】「お母さん、なんであの人は手ないんの?」小さな子供の声が電車内に響き渡った・・・-YouTubeよりの転載です私はいつも同じ電車、同じ車両に乗って通勤する。始発から乗る私は、だいたい座ることではできる。他の乗客もだいたい同じ顔ぶれで、みな朝の貴重な時間をそ同じ時間を眠ったり、ゲームをしたり自分の時間に没頭している。そんな朝の車両にいつからか、片腕のない女性が乗りこむようになった。彼女は腕のない肩に大きなバックを下げている。女性は座るとすぐに鞄の中から教科書を取り出して集中して読んでいる。私は彼女の教科書を見て彼女が学生だと知った。たしかこの沿線にはインターナショナルスクールが一つだけあって彼女の鞄のマークは正にその学校のものだった。私は妹と同じ年頃のその女性が気になって、毎朝彼女が乗り...お母さん、なんであの人は手ないんの?
『自閉症ガールひまわりさんの日常:彼女に見えている世界』(2016/5/24・成沢真介・坂井聡著)、~見えてる世界です。マンガでエピソードがとやり取りが説かれ、ひまわりさんの見えてる(聞こえている)世界がしめされ、専門家の解説が説かれる。形式で綴られています。最初の物語の専門職の意見です。自閉症のある人は視覚的な情報理解は得意ですが、聴覚から入っか尉報を処理して理解することが苦手であることがわかっています。ここでは、バスから降りて先生からかけられたことばの意味が理解できなかったということです。ここで「おはよう」の声掛けに「おはよう」と返しだのは、理解できないときによくみられる「エコラリア(オウム返し)」かもしれ圭せん。自閉症のある人は、言われたことばをそのまま返すことかおりますが、伝えられたことがわからな...自閉症ガールひまわりさんに見えている世界
『マンガでわかる!認知症の人が見ている世界』(健康実用・2021/4/15、川畑智・遠藤英俊著)。良く法話で「界はたもつものという意味、私の世界は、私の認識によって保たれている世界。仏の世界は、仏様のお覚りの認識によって保たれている世界。人はそれぞれ見えている世界が違う」と話します。上記の本は、認知症の人に見えている世界を記した本です。奈良へ行くとき購入して、法話で話題にしました。著者の理学療法士である川畑智氏の言葉です。【家族やケアをする人が見ている世界】娘が認知症のお母さんからデイサービスはいつかと尋ねられ、明後日だと答えます。娘はそのあとも何度も同じことを尋ねられます。とうとう娘は怒り出してしまいました。次に、同じ話を【認知症の人が見ている世界】から見てみましょう。認知症のお母さんは、最近、忘れっぽ...認知症の人が見ている世界
『祖国地球〈新装版〉:人類はどこへ向うのか』(2022/12/26・E・モラン、アンヌ・ブリジッド・ケルン著),1993年出版の再版です。2点だけ転載。お金の匿名支配がさらに進む。刺激剤は、分解作用ももっている。競争心、成功願望はエゴイズムを育て、連帯心を滅ぼすのだ。メディアが伝える想像の世界も、1968年を転機にして、この病的症状を取り上げるようにかっか。それ以前は、開業映画はすべてが、ハッピ-エンドで終り、大衆文学のヒーローは小説の最後でかならず成功と恋を勝ち得た。女性雑誌は幸福の処方箋を振りまいていた。1968年以降、輝かしい幸福の神話から幸福の疑問視へと転調が起こる。かならずハッピーエンドが来ることはもうなくなった。女性雑誌は読者に対して、別れ、孤独、病気、老いなどの問題を勇気をもって考えるようす...成功願望はエゴイズムを育てる
中外日報【ニュース速報】石上総長が辞意を表明浄土真宗本願寺派浄土真宗本願寺派の石上智康総長(86)は21日、総長の職を辞任する考えを総局や宗会関係者に伝えた。理由として、慶讃法要の円成を機縁として人心を一新し、宗門のさらなる活性化に道を開きたいということ、また体調不良により医師の診断に従って当面、安静療養と健康の回復に努めたいことを挙げた。(以上)領解文の問題が、これで終わりとは思えません。石上総長が辞意を表明
土曜の喉の違和が、昨日は、朝から声がでない。でも午前中、ご法事を2年、何とか振り絞ってのお粗末な声。午後、青梅市で1時間のお話、マイクがあるので、ペットボトルの水を含み含み、役割を当たりました。寺に帰って、5時~ご法事、いつもは一緒に読むのですが、「私だけで読経を」とことわって、蚊が鳴くような声で、何とか『無量寿経』を15分読みました。さて本日はどうなるか。クリニックへ行って11時からのご法事が一軒、お朝事で「讃仏偈」を読んで見ましたが、低音で蚊の鳴くような声ならば、何とかなるかと思っています。5年ぶりの不自由
19.20日と、奈良市の淨教寺さまの永代経法要出向でした。先に紹介した「ちひろ」さんのお母さんが奈良女子大出身で、淨教寺さまで東昇先生との結婚式を挙げたとのことで、ちひろさんにも、コンサートで来て頂いた事があるとのことでした。御馳走を頂戴しました。御礼。18日、新幹線で京都まで来ましたが、半袖のシャツだったので「寒い」と寒さを感じました。それが喉に来て微熱と喉の痛みを感じながらの二日間でした。今日も、法事が二件と午後は青梅市行って永代経の法話、果たして声が出るか、不安です。でもマイクがあるから助かります。本日の講題は「南無阿弥陀仏の声の仏さま」、皆さまも、冷房の寒さと外気温の差は配慮してご慈愛ください。淨教寺さまの永代経法要出向
死線をさまよって東昇(昭和57年10月26日『大乗』掲載)今年の四月二十四日、わたしはいつものように元気よく京都大学ウイルス研究所の自分の研究室へ出かけました。研究所へつきまして、自分の部屋のドアをひらいたとたんに、わたしは倒れてしまったのです。午前十時のこと、それはまったく突然のことで、倒れた直後はしばらく意識がはっきりしておりました。冷い脂汗、ねばっこい脂汗がとめどもなく吹き出て、キリキリと刺すような、剔られるような、いいようのない胸の痛み、はり裂けるような背中の痛み、今にも息が止まりそうな苦しさでした。医学をおさめたものとして、わたしは直感したのです。これはしまった、これは循環系の中枢部の突発的な変化からきた痛みにちがいない。間髪を入れずに、わたしの周囲の人たちはわたくしをすぐ隣の京大病院へ運びこみ...東昇先生の逸話
今月11.12日は、京都国際会議場で、世界仏教婦人世界大会、そのことは先に記しました。ゲストのシングソングライターの「ちひろ」さん、この大会の為に作曲した九条武子さんの曲を披露されました。コンサートの折、ご本人も紹介されていましたが、京都国際会議場は昭和41年、国立の会議施設として開設された施設で、そのこけら落しの会議が「ウイルス」の世界会議で、その記念講演で、ちひろさんの祖父である東昇先生が記念講演をさらたとのこと。その会場で、世界大会での記念コンサート、ご本人の感激しているとのことでした。そのちひろさんのコンサートを6月24日、柏市で開催します。つづくちひろコンサート
『ルポ日本の土葬――99.97%の遺体が火葬されるこの国の0.03%の世界』(2023/1/20・鈴木貫太郎著)、知識として知っておきたい部分だけ転載します。火葬普及の背景日本における火葬の歴史について、NPO法人日本環境斎苑協会が刊行した「火葬概論」には、次のように記されている。遣唐使に随行して653年に人唐した後、三蔵法師の弟子となり、帰国後、社会事業とし尽くした高僧の道昭が、遺言により700年に大和の栗原(桜井市郊外)で火葬に付された・これをもって火葬の始原だと「続日本紀」に記載されていることが、昔から多くの人々により信じられてきた。しかし、道昭よりも早い600年前後には、すでに火葬が行われていたことを示す火葬遺跡(大阪府堺市陶器千塚古墳群)が、1956年(昭和31年)に考古学者の森浩一教授(同志社...ルポ日本の土葬③
『ルポ日本の土葬――99.97%の遺体が火葬されるこの国の0.03%の世界』(2023/1/20・鈴木貫太郎著)、知識として知っておきたい部分だけ転載します。厚生労働省が発表した衛生行政報告例によると、2020年度に日本で行われた葬送の総数は143万233件-そのうち142万984件が火葬で99・97%。土葬は全体の約O・03%にあたる、393件しかない。そのうち300件は死産の胎児で、成人の土葬となると、わずか93件だ。こうした統計を見ただけでも、一般的な日本人にとって土葬の選択肢はなきに等しいと伝わってくる。一般的に「アブラハムの宗教」とも呼ばれるユダヤ教、キリスト教、イスラム教の各一神教は、大地の創造主である神の力による死後の復活と、来世の存在を信じていることに共通点がある。それゆえ遺体を焼いてしま...ルポ日本の土葬②
『ルポ日本の土葬―99.97%の遺体が火葬されるこの国の0.03%の世界』(2023/1/20・鈴木貫太郎著)、「日本にまだ土葬ってあったの?」という疑問から借りてきました。自分の認識の甘さを理解しました。ブック紹介に次の様にあります。亡くなった遺体の99.97%が火葬される現代日本。しかし、その日本にも「土葬」を求める人々がいる。2020年に大分県で起きた、土葬墓地建設を目指すイスラム移民と地域住民の対立をきっかけに、今の日本で「土葬」を求める人々をたずね、全国を徹底取材。イスラム移民、伝統的神葬祭、そして新しい形の葬送を求める人々など、そんな0.03%の世界の、「いま」を追う。戦後の衛生行政が切り捨てていった土葬文化。国際化の陰で急増する、宗教的事情から土葬を求める移民たち。そして独自の死生観のなか新...ルポ日本の土葬①
『生きづらさはどこから来るか―進化心理学で考える』(石川幹人著)に「人類は約七万年前に服を着た」ということが出来ていました。以下、転載します。人類がいつ服を着たかが、驚くべきことに、ビフミの遺伝情報を解析して推定されました。(コラス・ウェイド『5万年前』イーストープレス)。人間にとりついて生きるシラミには、頭につくシラミ(アタスビフミ)と、服につくシレミ(コロモジラミ)があります。アタマジラミは毛につくので、原始的な哺乳類の時代から伝統があったとみるこしかできます。繊維につく特有の体形をしているコロモジラミは、服が使われ出してから繁栄したと思われます。歴史的に言って、アタマジラミの一部が変化してコロナジラミになったと推測できます。当然ながら、アタマジラミとコロモジラミの遺伝情報はよく似ています。その小さな...人類がいつ服を着たか
11.12日は、京都、国際会議場で仏教婦人会世界大会、2400人参加の集いでした。私は連盟講師なので主催者側の人間で誘導係。会場が広いので、大部歩きました。10日京都入りでしたので。京都2泊、知った人に多く会いました。ゲストのシングソングライターのちひろさん、祖父が細胞学の権威で妙好人でもある東昇先生、この国際会議場のこけら落としの講演で記念講演をされたとのことで、ご本人も感激していました。6月24日に柏に来て頂き、歌って頂くのでご挨拶でき良かったです。仏教婦人会世界大会
『逆襲する宗教パンデミックと原理主義』(2023/2/9・小川忠著)からの転載です。そして新型コロナウイルスのパンデミックは、国境をこえた人や物の流れを抑制するだけではなく、自宅待機や都市ロックダウンによって国内でも人と人との交流を阻むという危機でもある。このような長期的な「共同体消失」、突発的な「パンデミック」という二重に危機的な状況におかれて、あらためて人と人がつながっていることの意味合いに気づく。評論家の松本健一(1946-2014)は、21世紀の世界において、人為的、近代的な要素が強い「ナショナリズム」に代わり、近代以前から存在した「パトリオティズム」が復活していく可能性に言及している(松本健一『民族と国家』)。パトリオティズムは、自然な郷土愛やそれに根ざした感情である。「近代化」とは、人々の心の...逆襲する宗教②
『逆襲する宗教パンデミックと原理主義』(2023/2/9・小川忠著)本の紹介文イランのイスラム革命に象徴されるように、世界は1970年代から宗教の季節を迎える。それはイスラム教に限ったことではなく、アメリカやロシアなどの大国をも含む複数の国で「宗教復興」とでも言うべき現象が起こり、その勢いはいまなお衰えをみせない。イスラム教においては、その一部がジハード主義者たちのテロ行為へとつながっていくが、そこで標的となったアメリカもまた、「宗教復興」と無縁ではない。それを示すのが、1980年の大統領選におけるロナルド・レーガンの逆転勝利である。このときアメリカが直面したキリスト教保守主義vs.世俗リベラルの図式は、今日いっそう深刻な分断となって我々の前に立ち現れている。宗教が各地で影響力を強めていくなかで突然訪れた...逆襲する宗教①
昨日に続きですが、傷ついた心がより豊かなものを生み出す。阿弥陀仏の慈悲が思われます。2013年11月01日のブログで次の記事を紹介しています。読売新聞(25.10.31朝刊)でよい話に出会いました。まずは新聞記事から。(以下転載)薬物中毒を克服歌手ライブに140人10代で薬物中毒に陥り、立ち直った経験を持つ歌手の杉山裕太郎さん(39)(さいたま市)の講演とライブが30日、松戸市民劇場で開かれた。約140人が聞き入った。杉山さんは、中学生時代にシンナーや万引きなどの非行に走り、高校中退や暴走族のリーダーを経て19歳の時、覚醒剤に手を出した。薬を打つ回数が増えて食減少。「このまま死ぬかも」と思った23歳の時、脳裏に一両親の顔が浮かび、実家に戻った。「仕事を探せ」と諭す父に「おめえらのせいでこうなったんや」と、...傷ついた心がより豊かなものを生み出す
『動物の心人間の心-科学はまだ心をとらえていない』(戸川達夫著)からの転載です。人間の心が傷つきやすいことは、心を傷つける要因を避けるための防衛機構として進化したと考えられることを前に指摘しましたが、その一方で、傷つきやすい心の出現が思いがけないところで、心を満たす手段をもたらしたのではないかと考えられます。心の傷は当事者にとっては大きな苦痛であり、傷が癒やされることを切望することは体の傷と同様ですが、体の傷と心の傷では周囲の人に与える影響が違っているように思われます。体の傷も心の傷も感受性の高い人に共感を起こさせますが、体の傷に対してはひたすら傷の回復を求めるのに対して、心の傷に対しては、傷の痛みを共有して心にとどめ、それが心の充足につながる事柄に結びつくように思われるのです。それは、心の痛みが共感によ...心を浄化する作用
『動物の心人間の心-科学はまだ心をとらえていない』(戸川達夫著)からの転載です。言語によって心の内容を共有し合える動物でも、高度の脳機能を持つ動物は、経験の蓄積によってさまざまなことを学習し、それだけ豊富な心の内容を持つと考えられます。したがって、高齢の個体は、渡り鳥の渡りのルートを先導したり、捕食者に見つからないように群れを移動させるような知恵を発揮することができます。しかし、言語を持たないなら一個体が獲得した知恵は一代限りで消滅し、子孫に伝えることができません。ところが、言語の獲得によって、自分の体験を他の個体に伝えることができるようになり、一個体の経験によって得た知恵を多くの個体が共有できるようになりました。ことに、経験の浅い若い個体と経験の豊富な高齢の個体とが、生きる知恵を共有できるようになったわ...動物の心人間の心
『物語がこころを癒す―メルヘンの深層心理』(1998/6/1・森省二・森恭子著)、随分以前、子ども向け物語、いじめや悪い描写が改変されていることを紹介したことがあります。桃太郎だと「鬼退治」が、「鬼が悪さをしている」と言った具合に、鬼=悪だと、鬼塚さんや鬼頭さんが傷つくからと言った塩梅でした。標記の本には、悪態や殺す、やっつけるというメルヘンの中に説かれる悪い描写の意味について言及しています。以下転載します。ネガティヴな感情の解放メルヘンの多くは、きれいごとでお茶を濁すような物語にはなっていなくて、嘘やペテンや裏切りといった悪行、怠けや喧嘩や無鉄砲といった愚行、盗みや虐待や殺害などの犯罪なども包み隠さず描いています。中には、『さるかに合戦』や『カチカチ山』のように、残酷すぎて目を逸らしたくなるようなストー...ネガティヴな感情の解放
『未来の年表業界大変化瀬戸際の日本で起きること』(講談社現代新書・2022/12/15・河合雅司著)、「寺院―多死社会なのに寺院消滅」という寺院のことが記されていたので購入しました。でも参考になる部分はなかったです。私にとってですが。知っている情報の羅列だったからで、一般の人にとっては、寺院の現状を知る手がかりになるかも知れません。ただ今後、宗派との包括を結ばない単立法人が増えていくという記述は興味がありました。現在、寺院活動で岐路に立っているのは、寺院と共に包括法人の役割だからです。その部分だけ転載します。増加する「単立宗教法人」宗教法人の経営データというのは人手が困難である。宗派ごとに調査を行ってはいるか、公表は断片的である。だが、文化庁の「宗教年鎰」を確認すると、寺院経営の苦悩ぶりが浮かび上がってく...増加する「単立宗教法人」
『中外日報』(2023.4.26日号)に「本願寺派・宗勢基本調査」の報告記事で出ていました。まとめてあるので一部紹介します。第11回調査は21年7月に実施され、所属寺院1万101ヵ寺のうち約7割の7086ヵ寺から回答を得た。(中略)宗門全体の門徒戸数は、人口の減少が門往戸数減少に直結していない面かおるため、緩やかに減少している。しかし、教区別で見ると大阪、石川、大分教区は厳しい状況にあり、過疎化が深刻な山陰、国府教区については「下げ止まり」との見方もある。また、半数以上の寺院で「新しい門徒が増えておらず、増えている寺院でも数戸程度と厳しい現状が明らかになった。寺院の護持運営と門徒戸数の関係性について、200戸を下回ると急激に護持運営が厳しくなり、50戸未満では半数以上が「護持運営が困難と回答している。一方...本願寺派・宗勢基本調査
「新しい領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する声明(三)このたびご消息として発布された「新しい領解文(浄土真宗のみ教え)」(以下、「新しい領解文」)について、勧学・司教有志の会は、まず「声明(一)」では、特にその第一段落について、宗祖親鸞聖人のご法義に重大な誤解をもたらすおそれのあることを指摘した。続く「声明(二)」では、「新しい領解文」という名称そのものや、この文章を聖教として扱うことの問題性について指摘した。この「声明(三)」では、第二段落〈師徳〉について、「ご門主さま」というお立場を傷つけかねないことを指摘しておきたい。これもひとえに宗祖親鸞聖人と法灯を伝承された歴代宗主の尊いお導きによるものですこの一段は二〇二一年四月一五日に発表された「ご親教(浄土真宗のみ教え)」には存在しなかった部分であり、「新...「新しい領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する声明(三)
『「ココロ」の経済学:行動経済学から読み解く人間のふしぎ』(依田高典著)からの転載です。 ナッジでココロを変える 行動経済学では、人々の理性は限定的であり、どの選択肢を選ぶかは、選択肢の与えられ方によって左右されます。これを「フレーミング効果」と呼びます。例えば、確率50%で賞金がもらえると説明されるか、同じ碓率で何ももらえないと説明されるかによって内容は同じであるにもかかわらず、人々の選択が変わってくるのです。選択が選択肢の与えられ方に依存する以上、為政者は人間の選択の自由を認めつつも、彼らが後悔しない選択肢を選ぶように選択肢の与え方を工夫すべきであるといういが、セイラーたちの言う「ナッジ(気づき)」です。ナッジとして、よく用いられる例を紹介しましょう。オランダのアムステルダムの国際空港では、男子トイレ...ナッジでココロを変える
本願寺派第321回定期宗会で、「ご消息の位置付けについて」総長の回答が「第6号宗会便り」(2023.3月発行)に掲載されていました。・2008年4月1日施行の現行「宗制」は、1947年4月1日施行の「宗制」を全文改正したものです旧「宗制」には、「宗祖の撰述」に続いて、「御文章その他歴代宗主の撰述及び宗祖又は歴代宗主の尊重された聖教は、宗祖の撰述に準ずる」と規定されていました。2004年5月に、宗門の戦時問題への対応として、「宗門が1931(昭和6)年から1945(昭和20)年まで、先の戦争に関して発布した消息や直諭・親示・教示・教諭・垂示などは、これを依用しない」旨を当時の即如門主が「宗令」で明らかにされ、また、これに関連する当時の宗務的措置が、政治の軍国主義化のもと、国策としての戦争や国体護持に協力する...ご消息の位置付けについて
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昨26日から29日迄、築地本願寺において「親鸞聖人誕生850年、立教開宗850年記念慶讃法要」です。昨日、10人で団体参拝、庭儀があり荘厳さな法要でした。満堂で700人といった参会者でした。記念冊子が無料で配られましたが、その冊子の中に、当日、ライブ配信されているE映像を参拝しながら見られるようにQRコードでも印刷してあれば、ラジオを聴きながら野球観戦するように楽しめたと思いました。築地の慶讃法要
『思考停止という病理:もはや「お任せ」の姿勢は通用しない』(平凡社新書・023/5/17・榎本博明著)からの転載です。アメリカの教科書の209篇、日本の教科書の211篇を分析の対象としているが、「強い個人」というテーマはアメリカでは53篇もあるのに対して、日本ではわずか7篇にすぎなかった。細かく見ていくと、「自己主張」というテーマはアメリカの7篇に対して日本では皆無、「自立心・独立心」というテーマもアメリカの7篇に対して日本では皆無、「強い意志」というテーマはアメリカの15篇に対して日本ではわずか1扁であった。アメリカの教科書で多く取り上げられている「自己主張」というテーマが、日本の教科書ではまったく取り上げられていない。このように、「自己主張」をよしとするアメリカ文化と「自己主張は慎むべし」:とする日本...思考停止という病理②
『思考停止という病理:もはや「お任せ」の姿勢は通用しない』(平凡社新書・023/5/17・榎本博明著)からの転載です。相手を信頼すぺきで疑うのは失礼だ、と思う心理日本で生まれ育つと、当たり前のようになっており、とくに意識しなしことも、海外の人と接すると強烈に意識せざるを得なくなるということがある。その一つが、人を疑ざず信頼しようとする心理傾向だ。私たちは、生まれ落ちた社会の文化にふさわしい人間につくら行く。これを社会化と言うが、日本に生まれれば日本人らしく自己主張を慎み、謙虚さを身につけ、相手を尊重し、思いやりをもって相手の気持ちを汲み取ろうとするようになるとともに、信頼すれば相手ば必ずこちらの気持ちに応えてくれるはずと信じ、人を疑うのは失礼だといった感覚を身につけてしく。アメリカに生まれれば、アメリカ人...思考停止という病理①
『パラサイト難婚社会』(朝日新書・2024/2/13・山田昌弘著)からの転載です。古くを振り返れば、平安時代の貴族階級は紫式部の『源氏物語』に見られるように、女性は親元に住み続け、そこに夫が通ってくる「妻問」、いわゆる「通い婚」が一般的でした。男性が3日問続けて女性のもとに通い続けると、4日口に女性の両親も含めて会食をし、それで「結婚が成立した」とみなされる時代だったのです。実際に、『源氏物証』のストーリーの核ともなる男女の恋愛模様は、(主に貴族階級に限ってですが)1人の夫に複数の妻という「一夫多妻」の慣習があったればこそ。あの時代に現代的一夫一婦制が確立されていれば、日本文学の革たる名作もこの世には生まれなかったはずです。光源氏は、葵の上という正妻がいながら父の後妻と関係を持ち、のちに正妻格となる紫の上...パラサイト難婚社会
本日、午前11時から西方寺本堂・庫裏建設の起工式です。設計は長野県の中村建築研究所、施工は松井建設です。設計に3年かけて、本日に至りました。表白(起工式)敬(うやま)って光(ひか)りといのちきわみなき、阿弥陀(あみだ)如来(にょらい)のご尊前(そんぜん)に申(もう)し上(あ)げます。如来(にょらい)は、われら凡夫(ぼんぶ)を、無量(むりょう)の智慧(ちえ)と慈悲(じひ)とをもって育(はぐく)み、金剛(こんごう)不壊(ふえ)の信(しん)を恵(めぐ)んで無明(むみょう)の長夜(ちょうや)に、無碍(むげ)の一道(いちどう)をお示(しめ)しくださいました。いまここ柏市(かしわし)布施(ふせ)の地(ち)に、諸(しょ)縁(えん)ととのい、法(ほっ)照山(しょうざん)西方寺(さいほうじ)、本堂(ほんどう)建設(けんせつ...西方寺本堂・庫裏建設の起工式
この3月まで「本願寺派仏教婦人会総連盟講師」でしたが、定年です。この2年間は、各教区への研修会出講が、コロナのため少なく、西方寺にとってが、助かりましたが、個人的には、燃焼不足でした。この4月からは「本願寺監事」に就任しています。本日が、初会合で京都出張です。本願寺派の監事は、「宗派監事2名」「本願寺監事2名」「築地本願寺監事2名」おり、指名されて初めて、そのような事後とがあることを知りました。本願寺監事
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。鎌倉での一切経校合に参加する関東時代の親鸞の行実としては、鎌介での一切経校合もしばしば注目される。覚如撰述の『囗伝鈔』によると、北条時氏が鎌倉で政治を執っていた頃、北条氏が願主となって一切経(大賊経)の書写が行われた。このときテキストの校合のために学僧を招請することになったが、そこで親鸞が尋ね出されて推挙され、親鸞は招請に応じて一切経の校合を行ったのだという。『親鸞正明伝』には、親鸞は六十余歳のとき相模国江津(神奈川県小川原市出府津)にしばらく滞在したが、ちょうどこのとき北条泰時(時氏の父)が鎌介で一切経書写の校合慶讚の怯要を催していて、優れた利者ということで親鸞はその法要に招かれ、校合の責任者(京匠)になった、と書かれている。『親鸞伝絵』...鎌倉での一切経校合
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。坊守のモデルとされた玉日姫親鸞と玉日姫の結婚については、あくまで伝説とみて、そもそも玉日姫の実在を疑う研究者も多い。たしかに、法然が親燃の六角堂夢告のことをあらかじめ知っていたというくだりなどは、できすぎた話であるように思える。また、下級貴族出身の遁世僧と摂関家の娘では身分が違いすぎて結婚することなどありえない、という見方もある。江戸時代には、玉日姫の法名が恵信尼だとされて、両者が同一人物と考えられたこともあった。だが、親鸞と玉日姫の結婚譚は、関東門徒系の親鴬伝である『親鸞因縁』にも、『親鸞正明伝』とほぼ同じような内容をもって書かれている。しかし結局、『親鸞正明伝』が語る親鸞とに玉姫の結婚譚がなによりも興味深いのは、親鸞がなぜ妻帯に踏み切っ...坊守のモデルとされた玉日姫
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。『親鸞正明伝』が記す九条兼実の娘玉日姫との結婚譚現代では親鸞の妻というと忠信尼のイメージが根強いだろうが、「親鸞は恵信尼と一緒になる前に別の女性と結婚していた」とする伝承も真宗教団では古くからみられた。その女性というのが、第1章でも言及した、関白九条兼実の娘とされる玉日姫だ。親鸞と玉日姫の結婚について詳述するのはり「親鸞正明伝」である。親鸞は法然の門下に入っておよそ半年後の建仁元年(1201)十月、すなわち二十九歳のとき、法然の指示によって玉日姫と結婚したのだという。同書のそのくだりを、要約して記してみよう。〈建仁元年十月上旬、九条兼実が法然の吉水の禅房を訪ね、仏法談義をかわした。そのとき、兼実が「出家の念仏と、私のような在家の念仏とでは、...玉日姫との結婚譚
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。親鸞の師、慈円次は親鸞出家の師となった天台憎慈円である。慈円は摂政・関白を務めた藤原忠通の子で、久寿二年(1155)の生まれ。源平合戦期に政界の中枢に身を置いて摂政(1186~91)・関白(1191~96)を歴任し、かつ政界引退後は法然に深く帰依した九条兼実は、同母兄である。慈円は永万元年(1165)、十一歳のときに比叡山延暦寺に入り(入室)、覚快法親王(鳥羽天皇皇子)の弟子となる。仁安二年1167)に出家し、当初は道快と袮して密教を学んだ。養和元年(1181)に慈円と改名。建久三年(1192)、三十八歳のときに天台座主(延暦寺のトップ)に就任し、後鳥羽都連の優の護持僧となった。関白兼実の後押しもあったのだろう。この後にも、慈円は三度、天台...親鸞の師、慈円
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。日野範綱は親鸞の父有範の兄、つまり親鸞の伯父であった。後白河法皇の近臣であったので、平清盛が後白河を制して覇権を握っていた時期は苫渋をなめたとみられるが、治承五年閏二月、つまりちょうど親鸞が出家した「春」(旧暦で1~3月)に含まれる時期に清盛が没し、後白河の院政が再開されている。この時期の範綱の眼前には久々に光がさしていたのではないだろうか。その範綱が親鸞の養父となっていたのはなぜか。かつては、「親鸞の実父有範が早世したため、範綱が父親代わりとなっていたのだ」と考えられていて、『親鸞正明伝』は有範だけでなく親鸞の母親も早世したと記している。しかし、近年ではこの見方は支持されていない。昭和戦後に、親鸞の弟で、僧侶になっていた兼有が有範の中陰の...有範の中陰の供養
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)執筆者は古川順弘氏、小本ながら内容のある本です。からの転載です。たとえば、西本願寺が所蔵する親鷺自筆の六字名に、「康元元年十月二十八日」という揮毫した年月日と、「八十四歳」という当時の年齢(数え年)が明記されたものがある。六字名号とは「南無阿弥陀仏」と書かれた掛軸のことで、真宗教団ではこれが本尊となる。康元元年は西暦一一五六年にあたるので、ここから逆算すると、承安三年(一一七三)という生誕年が導かかる。誕生日を四月一目とする伝承があり、現在の西本願寺はこの日を新暦に換算した五月二十一日に親鷺降誕会を行っているが、四月一口生誕は江戸時代に広まったものであり、確たる根拠があるわけではない。(以上)(つづく)親鸞聖人の誤誕生日は、歴史的には定かではありません。親鸞聖人の誕生日
本願寺出版社刊『大乗』に、この4月号から「なるほど仏教ライフ」を、署名入れで連載することとなりました。2024.4月号連載原稿です。能登半島地震から三か月が経過した。「今日、交通事故で死ぬかもしれない命」。法座で良く聞く言葉だが、聴衆に、災害で肉親を失った方がおられたら、その言葉は重すぎて説くことができないだろう。本来、諸行無常は、自分を安全な場所におきて語ることできないみ教でもある。元本願寺派総長で故豊原大成氏(2022.1.23亡)は、阪神・淡路大震災(H7.1.17)で三人の肉親を失われる体験をされた。その豊原氏がNHKテレビ『宗教の時間』(「この命を未来につないで。阪神・淡路大震災から22年」)に出演され、次のように語っておられた。「諸行無常はいわば建前、涙こそ本音。私は今もこの建前の無常と本音の...なるほど仏教ライフ①
本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』に2022年4月号から毎月、執筆者無記名のコラムに執筆しています。出版社から三か月は掲載しないでとのことで、期限切れから掲載しています。24年12月号掲載文です。現状維持バイアス言葉には、人間の性質や情念、社会のあり様などを可視化するはたらきがある。三十数年前、幼稚園の講演会に児童精神科医の佐々木正美(1935~2017)先生をお招きしてお話を伺ったことがある。講演の中で、文化人類学者の我妻洋氏(1985年没)の話を引用しておられた。それは「他罰化」のことで、地球上、どのような民族であっても、経済的、物理的に豊かな地域や文化圏に住んでいる人間ほど、外罰性とか他罰性という感情を強くもつ。豊かさと外罰性、他罰性、貧しさと内罰、自己罰という感情は結びつきやすい。これは、人類として...現状維持バイアス
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。ウォーミングアップのためにまず、紀元後第二千年紀にヨーロッパで確立された公式制度に多大な影響を及ぼした可能性の高い、WEIKD心理の四つの側面について考えよう。①分析的思考密接な社会的つながりを欠いた個々人からなる世界をうまく渡っていくために、人々はしだいに、関係性を重視して包括的に考えるのではなく、もっと分析的に世界を捉えるようになっていった。分析的にものを考える人は、個人と個人、あるいは事例と事例などの関連性に焦点を当てるのではなく、個人、事例、状況、あるいは物体をそれぞれ別個のカテゴリー(たいてい独特の性質をもっている)に割り振ること...WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源④
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。これは、次のような三要素をもつ宗教団体の出現をほのめかすものだ。①互助を提供する相互依存ネットワーク、➁聖なる規範への献身の共有、そして③実存的不安や人生の無常に対処しやすくしてくれる儀式や超自然的信念。戦争やその他の災難が絶えない世界では、集団間競争の作用を受けて、この三要素を備えた宗教パッケージが普及していく。なぜなら、こうした宗教こそが、この重要な特質を欠く宗教との競争に勝利するからである(こうした宗教が「真実」だからではない。実際に、自然災害や戦争はいずれも、人々の宗教的信仰心を深め、儀式への参加を促すことを示す多数の証拠が得られて...『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』③
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。一例を挙げよう。ネパール内戦が終結してから10年後に実施された調査では、多くの戦争関連の暴力にさらされた共同体ほど、(共同体の成員同士で行なう)公共財ゲームで協力行動が多く認められた。また、選挙で投票する人達、地域団体に加入している人の割合も高かっか。実際のところ、戦争の被害を受けていない共同体には、任意団体が全くなかったのに対し、戦争の被害を受けた共同体の七〇%に、農業協同組合、婦人会、青年団のような組織が設立されていた。ここでもやはり、戦争が、任意・体に加入しようとする人々の動賺づけを高めていた。戦争がなぜ、ヒトの心理にこのような効果を...『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』➁
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)、英語タイトルの『WEIRD』は、「奇妙な」という意味であるとともに、W:Western(西洋の)/E:Educated(教育水準の高い)/I:Industrialized(工業化された)/R:Rich(裕福な)/D:Democratic(民主主義の)次の言葉の頭文字を取ったものとあります。世界16ヵ国で刊行されているそうです。以下転載です。翻訳者のあとがきからの転載です。ヒトにはもともと、他の霊長類と同様に、子どもを養い、配偶者と絆を形成し、近親個体を助けようとする本能が備わっており、人類社会の最も基本的な諸制度は、はるか昔からずっと、血縁関係やその拡大...WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源
『ホモ・サピエンスの宗教史-宗教は人類になにをもたらしたのか』(中公選書・2023/10/10・竹沢尚一郞著)からの転載です。ところで、集団規模を拡大することは、危険な敵からの防御や食物獲得の観点では有利だが、集団内の緊張を増加させるという点ではマイナスに作用する。そのことは、うまく対処できなかったなら集団の分裂につながる危険かあるだけに重大な課題といえる。ヒトの先祖とおなじように集団で生きる類人猿はそれに対処する手段を講じており、チニパンジーの場合には、緊張緩和の手段は複数の個体が接触しておこなう毛づくろいであり、これによって脳内に「脳内麻薬」と呼ばれるエンドルフィンが分泌され、幸福感が増大ことが確認されている。しかし、ヒトの先祖のように集団規模がさらに拡大されたケースでは、これだけでは緊張緩和の手段と...ホモ・サピエンスの宗教史③
『ホモ・サピエンスの宗教史-宗教は人類になにをもたらしたのか』(中公選書・2023/10/10・竹沢尚一郞著)からの転載です。ヒトのつかい、つまり婚姻関係の形成についてのモリスの解釈が妥当か否かは不明だが、チンパンジーは雑婚をするのに対し、すべての人間社会は婚姻制度をもつことが確認されているので、社会が生物学的な適応の過程で生じたことは確実だろう。つがいの形成の問いは別にして、ここで確認しておきたいことは、ヒトの固有の特徴である乳幼児期の引き延ばしと母親や周囲の人間に対する依存関係の延長が、ヒトが進化する過程で生じた生物学的適応にほかならないということだ。私たちは先に、二足歩行を始めたヒトの先祖が、ぶざまで、脆弱で、無防備な身体をもっていたことを見てきた。そして、ヒトがそれほど脆弱で無防備な身体をもつ存在...ホモ・サピエンスの宗教史➁
『「ココロ」の経済学:行動経済学から読み解く人間のふしぎ』(依田高典著)からの転載です。内的動機の持続性人間の内的動機に訴えかけて、節電のような、社会的行動を促進させることが、行動経済学の分野ではよく知られています。しかし、どの程度、その効果が長続きするものか、完全には分かっていません。そこで、私と共同研究者は、1012年夏、東日本大震災後の京都府南部で、経済産業省プロジェクトの一環として、一般家庭に、節電をお願いする介入と電気料金を1㌗あたり25円から最大100円程度まで時間帯別に変動させる介入の2種類を導入して、その持続効果を比較検討しました。その結果は、とても興味深いものでした。平均的な節電効果は、節電要求が3%、変動型電気料金が20%と大きく開きましたが、最初の数日に限れば、節電要求も8%とそれな...内的動機の持続性
『「ココロ」の経済学:行動経済学から読み解く人間のふしぎ』(依田高典著)からの転載です。幸福度研究の可能性経済的富と幸福の直接的関係に対する興味関心が高まったからでしょう。幸福調査で観察される定型的事実があります。国のなかでは所得と幸福の間で相関関係が見られますが、異なる国の間の比較では所得と幸福の間に相関関係がみられません。これを発見者の名をとって、「イースタリン・パラドックス」と呼びます。イースタリン・パラドックスを考えてみると、2つの説明が可能です。第一に、人間が気にするのは自分の絶対所得ではなく、他人との相対所得である。第二に、所得が上がれば、一時的に幸福度は増すが、すぐに慣れて幸福は元に戻る。そのように考えると、パラドックスをうまく説明できます。幸福調査で得られたデータをつぶさに検討することで、...イースタリン・パラドックス
『中外日報』(2023.4.19日号)新しい「領解文」の続報です。新しい「頷解文」本願寺派新しい「領解文」の問題点下新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に関する多岐にわたる問題点について、今回は拝読・唱和の問題と背景にある組織的課題について取り上げる。(渡部梨里)総局は2023年度宗務の基本方針にのっとり、新しい「領解文」の拝読・唱和を進めている。第321回定期宗会で「理解か深まるまで拝読・唱和を待ってほしい」との請願書が提出されたり、これまで関係諸会議で出席者から現場の拝読・唱和に対する違和感や再検討を求める声が幾度も直接総局に伝えられたりしてきたが、施策に反映されていない。新年度を待たず早急に拝読・唱和を進めた背景には3月29日から始まった親鷺聖入御誕生850年・立教開宗800年慶讚法要での全体唱和を...新しい「領解文」の問題点下
『格差という虚構』(ちくま新書・2021/11/10・小坂井敏晶著)、一点だけ転載します。労働による収入を資本収益が上回り、金持ちがどんどんと富む。一方で庶民はますます貧しくなる。だから累進課税・富裕税・相続税などを通して富を財配分する必要があると論じる。だがメリトクラシーは正しいのか。米田の政治哲学者マイケル・サンデルが指摘する。メリトクラシーの思想は社会移動に関するのであり、平等ではない。それにます気づくべきだ。富者と貧者の深い溝が悪いとは言わない。金持ちの子も貧乏人の子も時問の経過とともに、能力に応じて地位が変わる、つまり彼らの努力と才能の結果て上昇下降も可能でなければならない。偏見や特権により底辺に折り付けられたり、頂上に安住できたりしてはならないと主張するだけだ。[……]メリトクラシーの究極の目...格差という虚構
21日、未明、深夜便「明日へのことば」を聴きながら、「やっぱりそうか」と思ったことがあります。ゲストは脚本家・東京芸術大学大学院映像研究科客員教授の大石みちこさん、「マダム・バタフライの「声」に耳をすませて」というテーマでのインタビュー形式のお話でした。大石さんは、映画が好きなこともあって39歳で受験、合格して映像研究科脚本構成一期生となり、2010年の映画「ゲゲゲの女房」の脚本を手掛けるなど、理論と実践を同時に学びながら後進に育成れている方のようです。お話の中で、次のような話がありました。大学に新しい映像研究科が設立されるという事を知って、入ることを決意しました。監督コース、脚本コース、プロデュースコース、技術パートがあり、撮影、照明、サウンドデザイン、美術、編集など7つのコース、7つの領域があって、監...結論から始まる物語
昨21日は京都、本願寺、前日から入りました。仏教婦人会総連盟の総会でしたが、私の仕事は、2時間、ひな壇の上で座っているだけでした。あたらめて「こんな仕事もあるよなー」と思いました。連盟講師は7名ですが5人参加で、一緒にひな壇の上に坐っていて、連盟講師○○さんと紹介されたとき、立って頭を下げる。それが唯一の役割でした。ネット配信での総会なので、現地参加者はほとんどが役員の人だけです。仕事としては、講師がひな壇にすらることによって「総会の権威付け」と、何か突発的な質問があったときに受け答えることです。無駄なようにも思えますが、考えてみると、自分の人生は大方、無駄なことに喜びを感じたり生き甲斐を感じたりしているので、これも良いかなと思った一日でした。無駄なこと?
『ポジティブ病の国、アメリカ』(バーバラ・エーレンライク著)、「ポジティブシンキングについては、アメリカ独特の無邪気な考え方だと思われがちだが、アメリカ独特とはいえないし、無邪気などという可愛らしいものでもない。アメリカとは大きく異なる環境でも、ポジティブシンキングはさまざまな国で政治的抑圧の道具になっている。」(本文より)本書は、19世紀からキリスト教の一別派として生まれ、20世紀にじょじょに浸透し、大衆化し、今やアメリカ合衆国の国民的強迫観念になり、現在の経済恐慌の要因のひとつでもあるpositivethinkingの弊害を論じています。ポジティブシンキングという心的態度が、人々に期待され押し付けられる「規範」となると、それは抑圧となり、現実把握の失敗、現実遊離、現実逃避へと導かれていく。本書の最初に...ポジティブ病の国、アメリカ
『中外日報』(2023.4.14日号)に「新しい領解文」問題をまとめています。その「上」です以下転載。本願寺派新しい「領解文」の問題点を探る上浄土真京本願寺派で1月16囗に発布された「新しい『領解文』(浄土真宗のみ教え)についての消息」に対し、これまで勧学や司教、宗会議員や布教使、一般寺院僧侶、門信徒らから様々な声が上げられてきた。それらの声から、教学面、制定の経緯・手続き、拝読・唱和の推進など多岐にわたる問題点と、背景にある組織的な課題が浮かび上がってきた。上下2回の連載で今回は教学面と制定経緯について取り上げる。(渡部梨陽)法義大きく誤る懸念石上総長は発布経緯を説明新しい「領解文」は、2021年4月に大谷光淳門主が示した親教「浄土真宗のみ教え」に師徳の内容を加えた形で発布された。当初から教学面で疑問視...新しい「領解文」の問題点を探る上
「新しい領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する声明(二)過日、勧学・司教有志の会は、このたび「ご消息」として発布された「新しい領解文(浄土真宗のみ教え)」(以下、「新しい領解文」)について、その文言全般を通じて、宗祖親鸞聖人のご法義に重大な誤解を生じかねないものであることを「声明(一)」において指摘した。この「新しい領解文」の文章表現について、石上智康総長の著書のなかに酷似する表現が多数見出されることは、すでに宗会等で指摘されているように周知の事実であるが、制定の経緯についても、宗会の質疑その他を聞く限り、極めて透明性を欠いている。そして総局の強引な方針によって、全国の僧侶・門信徒は困惑し、混乱は広がり続けている。ことに三月二九日から始まった親鸞聖人御誕生八五〇年・立教開宗八〇〇年慶讃法要では、「新しい領解...「新しい領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する声明(二)
『中外日報』(2023.4.12日号)に「本願寺派聖教に基づく伝道をー新しい領解文勧学.司教ら声明第2弾」という記事が掲載されていました。以下転載します。浄土真宗本願寺派の学階最高位の勧学とそれに次ぐ司教ら19人が8日、新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する第2の声明を発表した。総局が、伝統的に定められた「聖教」ではない新しい「領解文」に基づく法話や唱和を要請していることや、現代版「領解文」制定方法検討委員会の答申と反する名称を定めたことなどに対して「宗門の根幹を突き崩すもの」と強く批判し、新しい「領解文」の取り下げと、聖教に基づく伝道に立ち戻るよう求めた。声明は「勧学・司教有志の会」から出され、深川宣暢勧学を代表に、森田眞円氏、普賢保之氏、宇野恵教氏の4人の勧学と15人の司教か名を連ねる。(勧学と...勧学.司教ら声明第2弾
金の価格が高騰しているという。金Ⅰグラム9,406円とあり、1970年代以前における金の価格は、現在価格の7分の1程度とある。先般、たまに線香を購入する京都のお香の老舗から、「特価販売」というカタログが届いたので、拙寺報恩講導師用、また正月に供える線香を頼みました。30年前に伽羅を購入したときは、1グラム何千円だったかと思います。この度、購入したら品は伽羅1グラム30.000円、2グラム届きました。伽羅の線香は10本27.000円、線香は1本で充分、本堂を香りで満たします。沈香でもピンキリで、最近は法事に行った折、そのお宅にある抹香ではなく、自分で持参した沈香を使っていただいています。伽羅が高くなった
『アニミズム時代』(法蔵館文庫・岩田慶治著)、は、ほとんど読んでいませんが、ふとアニミズムと一切草木悉皆成仏は似ていると思いました。一切悉有仏性でもそうですが、「仏」という理想的世界によって統一されているが、アニミズムは、いのちのありようがバラバラになっているので、そのいのちに接する人の情念によって、悪になった善になったりするのかも知れません。以下、少しですが本から転載します。朝、庭におりたって木々にあいさつする。「今口は、木蓮さん」、「今日は、泰山木さん」。もちろん、木は返事をしない。しかし、泰山木の枝にぶらさがり、木蓮の肌に触れていると、ゴツゴツした、ザラザラした肌ざわりをとおして、木々の返事がかえってくる。自然のなかの応答、感覚のやりとり、そこにアニミズムの出発点があるのではなかろうか。あの枝にカミ...アニミズム時代
宗派から『新時代の浄土真宗』(浄土真宗本願寺派総合研究所編集、浄土真宗本願寺派情報メディアセンター本部編集)が送られてきました。PHPからの発刊です。ざっと目を通しましたが、みな宗報に掲載されていたことで、そう目新しいものがありませんでした。目新しいと言えば、読者「この商品をレビュー」つ次のようにありました。言い得ています。有難い指摘です。本願寺派は歴史と信用のある組織。ゆえに、親鸞の説く教義をもとに、時代に合う理念や行動が語られる本だと想像して、購入。しかし、読んでみると、社会経験が少ない教団のトップが、時代に合うわけでもない、仏教でもない事を語っている内容だと感じました。教団としては、行動理念を大谷光淳門主説かれる各言葉とし、念仏者の社会活動を模索したいようです。社会活動の内容として、地球温暖化、孤独...新時代の浄土真宗
土門拳の埋葬されている八柱霊園のお墓にご縁を頂いている。墓碑に「昭和22年8月土門真菜」とあり、それから浄土真宗とのご縁が出来たのではないかという話を書いた。土門拳は滅多にわが子のことを記していない。そのような興味から図書館から『土門拳のこどもたち』という写真集を借りてきた。以下、二つのことが記されていた。土門拳と「こども」の写真岸哲男(写真評論家、二松学舎大学名誉教授)の最後に、次の様にある。終戦直後の昭和21年-もう遠いむかしのことになったから、書いてもよかろう。当時6歳のかわいいさかりだった上門拳の次女の真菜ちゃんが、築地明石町の自宅近くの防火川水池で、あやまっておぼれ死んだ。その忘れようにも忘れられない不幸な思い出が、こどもにカメラを向けずにはいられない土門拳の深層意識下にきっとあるにちがいない。...土門拳のこどもたち
引き続き『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。子どもの攻撃性を肯定的行動につなげるそれでは、子どもの攻撃性を肯定的行動につなげていくためには、親や教師の関わりとして何か求められるのでしょうか。子どもの攻撃性の肯定的側面をもっとも強調したストー「『人間の攻撃心』は、親は子どもが外界の危険や内部の攻撃的感情を適切に処理することができるという確信を持って養育すべしと述べています。つまり、子どもを「信じている」かどうかということです。これらの学説を一言でくくれば、家裁調査官と非行少年との関わりをテーマにしたNHKドラマ『少年たち3』(2002年8月放送)で上川隆也演じる家裁調査官が語った、゛”信じること、希望を持つこと、人間はつながっている”という台詞に集約...悪さをしない子は悪人になります④
4月9日(日)、中仏通信の講義で築地本願寺へ行くと「今日は花まつりで駐車できません」とのこと。何とか入れて貰いましたが、境内は1000位の人がいて、出店も「広島お好み焼き」など、屋台の出店と違って、本格的な店が20店舗くらい出店していました。大型の消防車も2台来ていて、お子さんを運転席に乗せて写真を撮るコーナーが人気でした。30年前の築地本願寺の「花まつり」は、銀座三越から築地本願寺まで、作り物の像を引いてのパレードと、子ども向けイベントをしていましたが、人を集めるのには、今の様な飲食を提供することが一番効果的なようです。「やっぱり人は、飲食など煩悩を満たしてくれるものが流行る」と思いながら境内をウロウロしてきました。築地本願寺の花まつり
引き続き『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。「悪」と攻撃性子どもの「悪」は、やんちゃ、いたずら、わるさ、反発、反抗などの攻撃性として表れます。ここで、「悪」と攻撃性について説明します。「攻撃」は意図的になされる危害行為で観察可能であり、「攻撃性」はその行動が生じる心理的な過程であると説明されることがあります。このように定義する限り、攻撃性は「悪い行為を生じさせる心的過程または心的エネルギー」となります。値かに、凶悪事件、粗暴事件などの反社会的非行は他者に危害を及ぼす攻撃行動であり、自傷、薬物乱用、援助交際などの非社会的非行は自分を傷つける攻撃行動です。非行、犯罪やいじめなどの問題行動のほとんどは、攻撃性の歪んだ発動によるものです。そして、それぞれの...悪さをしない子は悪人になります③
『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。悪理学「悪」について説明します。動物行動学、生態学をもとにしながらさまざまな観点から「善」と「悪」について考察したL・ワトソン(『ダーク・ネイチャー悪の博物誌』は、善良なものが腐敗して邪悪なものに転じる契機を「悪理学の三原理」として次のように提示しています。第1原理一よいものは、場所を移されたり、周囲の文脈からはずされたり、本来の生息環境からはずされりすると悪いものになりやすい。どのようなことであれ、もっともよく生きられる場所から移動させられたり切り離されたり遠ざけられたりすると、よいものの安定性が乱され悪くなりやすいのです。そし、元の場所にも移された場所にも問題が生じてきます。ものにはそれぞれに応じた「居場所」...悪さをしない子は悪人になります②
『中外日報』(2023.3.31日号)に本願寺前執行長の武田昭英しが「新しい領解文」について、問題点を投稿していた。新しい「領解文」が全の僧侶・門信徒の間で念が沸き起こっています。宗会でも議論になったようですが、将来の本願寺教団の法義相続に大きな禍根を残すことに気いていたのは、一部の議員のみだったようです。いや、気付いていても、人事権を持った総長の気配りがあったのでないかと思われます。しかし、宗祖親鸞聖人のみ教えが捻じ曲げられることこそが一大事であり、浄土真宗にとって致命的なことです。宗会がこれを座視したことは今後の宗門の衰退に拍車をかけることになる可能性を危惧します。新しい「領解文」の問題点を簡潔に指摘してみます。「後生の一大事」という響きがない。「後生の一大事」は浄土真宗の要です。る。②機の深信が欠如...「新しい領解文」について、問題点
『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)、興味深いタイトルの本です。図書案内に次の様にあります。「悪」は排除するべきものではない。悪と善は相対的なものに過ぎない。大事なのは、総体としての生身の人間の中に「悪」を正しく位置づけることだ。罪を犯し、非行に走った少年であっても、「悪」を正しくその子の中に位置づけてやれば、それは人生をプラスの方向に導くためのエネルギーともなるのだ以前、このブログで〝ハトの喧嘩〟について紹介したことがあります。http://satukirou.hatenablog.jp/entry/2013/10/03/202215転載。鳩を籠に入れて喧嘩させると、際限なく殺し合う。相手が無様に倒れ伏してもその皮を剥ぎ続け、容赦のない追撃を加える。これが平和の...悪さをしない子は悪人になります①