記憶なく、欲望なく、理解なく
『普通という異常健常発達という病』(講談社現代新書・2023/1/19・兼本浩祐著)からです。「記憶なく、欲望なく、理解なく」「記憶なく、欲望なく、理解なく」という、精神分析家ビオンの有名な言葉があります。この言葉は精神療法をおこなう場合に、めざすべき姿勢を凝縮した標語のようなものです。「記憶なく」というのは、相手がこれまでに言ったことや他の人とのやり取りのなかで見知ったこと、あるいはそれまで学んできた理論などから目の前の人の気持ちを安易に類推してはいけないといった意味です。「欲望なく」というのは、相手に早くよくなって欲しいとか、私がこの人をよくしてみせるといった自分の願望を相手に押しつけてはいけないという意味です。「理解なく」というのは、記憶なくとかぶりますが、相手の気持ちを簡単にわかったと思ってしまわ...記憶なく、欲望なく、理解なく
2023/03/31 07:50