【ベスト本】 ●『ナチュラルボーンチキン』(金原ひとみ) 金原ひとみがドライブする文章世界が好きすぎる。ルーティン人間の、ルーティンが形成されたその道筋をたどる中で漂うすごみ。個人的に、マッチングアプリにも疲れ新しい交友関係の開拓にも恋愛的な広がりの難しさを感じている最近の中で、この小説を読んで、「え、恋愛したいかも……」みたいに思ってしまった。何周か回っての原始的なときめきに着地した読後感が最高でした。 ●『調査する人生』(岸政彦) 岸先生が対談のホストとなり、仲のいい社会学の先生6人が代わる代わる対談相手となってざっくばらんに語っていく対談集。個人の語りからいかにして社会を捉えるか、その難…