『タンパク質の一生』永田和宏(岩波新書)-生命活動の舞台裏
人体は宇宙である。解剖学者が良く使う例えだ。わたしたちの体を構成する細胞は約六十兆個の細胞で作られ、一列に並べると六十万キロメートル(1個10ミクロンと仮定した場合)となる。そして、ヒト一人のDNAをすべて一直線につなぎ合わせると一千億キロメートルになると言う。太陽と地球の間を三百往復できる長さとなるのだ。さて、この本は、そんな人体(ミクロコスモス)の重要な構成要素であるタンパク質がどのように合成され、どのように働き、どのように死に、どのように再生されるかを解説した本である。学問の世界から離れ四十年近くたつが、そのころ習った生物学の細胞の構造が、小学生の図鑑レベルのものになっていたことに驚いた。それだけ生化学が発展して、いろいろなことが解明されていたとは知らなかったのである。DNAから、RNAに転写された...『タンパク質の一生』永田和宏(岩波新書)-生命活動の舞台裏
2025/05/11 11:34