前回の、雨嫌いの恋人を待つ大伴女郎の歌に共感したらしい別人が、連作のような内容の歌を詠んでいる。 後の人の追同せし歌一首 ひさかたの雨も降らぬか雨づつみ君に副ひてこの日暮らさむ (ひさかたの あめもふらぬか あまづつみ きみにたぐいて このひくらさむ) 万葉集 巻四 520 【語釈】 たぐふ…同じものが二つ並んでいる。並んでいく。共に行く。 …… 大伴女郎の歌では、雨嫌いの恋人が、前の晩の雨に嫌気がさしたのか、逢瀬を延期したようだった。 今回の歌の作者の恋人も雨嫌いで、どうやら晴れた日を選んで会いにきたらしい。 このまま晴天が続けば、恋人はあっさり帰ってしまうだろうけれど、帰る前に雨が降れば、…