和歌メモ(雨の歌)
古今和歌集の、雨の歌を二首。 まず、大友黒主の歌。 題しらず 大伴黒主 春さめのふるは涙か桜花散るを惜しまぬ人しなければ (はるさめの ふるはなみだか さくらばな ちるをおしまぬ ひとしなければ) (古今和歌集 巻第二 春歌下 88) 【意訳?】 長雨のせいで、せっかくの花が台無しだな。 うちの連中も、柄にもなくしょぼくれてるし。 春なのに、なんだか俺まで悲しくなっちまうぜ。 こういうのを涙雨っていうんかねえ。 景気付けに、いっちょ宴会でも開くかね。 …… 大伴黒主は、近江国滋賀郡の大友郷の人で、郡の大領と言われる位置にあり、八位に叙せられた人だという。 大領は、郡司の長官のことで、中央から送…
2023/05/31 23:51