黒井千次「石の話」
☆大学時代の恩師が亡くなって早くも3年。コロナ禍も落ち着いてきたので11月3日に「偲ぶ会」を開くという。祝日とはいえ、私は夜の授業があるので出欠を迷ったが、この機会に会わなければ一生会えない友もいると思い、出席することにした。★師の話ということで、黒井千次さんの「石の話」(「日本文学100年の名作第7巻」新潮文庫所収)を読んだ。★主人公の大学時代の教授の出版記念パーティーが開かれる。高齢ゆえ、先生にお目にかかる機会はこれが最後かもと、主人公は出席する。教授は、相変わらず頭は明晰ながら、奥さんに支えられ、足元はおぼつかない。★教授の話はそこまでで、主人公は奥さんの指にはめられた石に目が行く。そういえばと彼は妻との約束を思い出す。★彼は20代前半に結婚した。当時は誕生石をあしらった婚約指輪が流行っていたが、薄...黒井千次「石の話」
2023/09/30 15:50