詩はなによりもさきに、人間と人間のあいだの真の生きた接触というものを、言葉にもとめてきた。C・ディ・ルイス(詩人)言葉なんかおぼえるんじゃなかつた言葉のない世界意味が意味にならない世界に生きてたらどんなによかつたかあなたが美しい言葉に復讐されてもそいつはぼくとは無関係だきみが静かな意味に血を流したところでそいつも無関係だあなたのやさしい眼のなかにある涙きみの沈黙の舌からおちてくる痛苦ぼくたちの世界にもし言葉がなかつたらぼくはただそれを眺めて立ち去るだろうあなたの涙に果実の核ほどの意味があるかきみの一滴の血にこの世界の夕暮れのふるえるような夕焼けのひびきがあるか言葉なんかおぼえるんじゃなかつた日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげでぼくはあなたの涙のなかに立ちどまるぼくはきみの血のなかにたつたひとりで...笑う詩人と笑えないシとジンと