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霜次郎
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2017/06/13

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  • 真間川、国府台、矢切りの渡し

    市川という地が歴史に登場するのはかなり以前のことになる。万葉時代にすでにその名があらわれ、そこを訪れる人がいたということである。そんな市川の地を、晩秋の、暖かい一日訪れた。この地は、作家の永井荷風が、戦後の一時期住んだことのある町で、荷風は、当時のありさまを随筆に詳しく書き残している。実を言うと、この地を訪れたのは、はじめてでない。たしか、中学生時代に、クラブの担当教師と訪ねたことがある。それと、高校時代の、これも同じクラブ活動の一環として、貝塚発掘調査でここを訪れている。いずれも半世紀ほど前の、気の遠くなる昔の記憶である。「市川の町を歩いている時、わたしは折々、四、五十年前、電車や自動車も走ってなかった東京の町を思出すことがある。杉、柾木、槙などを植えつらねた生垣つづきの小道を、夏の朝早く鰯を売りにあるく男の...真間川、国府台、矢切りの渡し

  • 宵闇祭り

    宵宮の闇が訪れると、各町内から引き出された神輿が勢揃いする。神輿はあやしくも美しく飾られて、それを担ぐ担ぎ手たちが群れ集まる。若い女の声も入りまじり、「そいや、そいや」の掛け声も勇ましく、高く、低く、ある時は大きく傾き、神輿はハレの装いで町中を練り歩いてゆく。担ぎ手たちの連帯の意気込みに支えられて、神輿は重々しく、かつ、神々しく輝いて見える。神輿はそれぞれに独自の顔をもっている。それはその町の歴史を現してもいるのである。狭い町並みを六基の神輿は互いに見えぬ糸でつながれているかのように、ほどよい間隔をたもちながら、ゆるゆると進んでゆく。そんな中で、突然、神輿を取り囲む人の群れが、大きく揺らめいたかと思うと、野太い声が飛びかい、女の悲鳴がわきおこる。「喧嘩だ、喧嘩だ」の声。祭りに喧嘩はつきものとはいえ、その勢いは尋...宵闇祭り

  • 懐かしのおばけ煙突

    それはずっしりとした存在感があった。子供心に恐ろしいものに見えた。お化け煙突と呼ばれた、高さ八三メートルもある四本の黒い煙突は、町のどこからも遠望できた。その高さは尋常ではなかった。鉱物的なその煙突のかもしだす風貌は、つねに威圧的であった。お化け煙突と呼ばれる、その煙突は、じつは、火力発電所であった。四本の煙突が、ちょうどひし形に立ち並んでいるために、眺める場所によって、その本数をさまざまに変えた。お化け煙突の名はそこから銘々されたものだと、最近まで思っていたら、本当はそうではないらしい。お化けの真相は、それらの煙突から立ちのぼる煙が、ときおり出たり、出なかったりで、それが不思議に思えたためにつけられたというのが本当のところであるらしい。とはいえ、お化け煙突の銘々の由来は、今や俗説のほうが一般化している。つねに...懐かしのおばけ煙突

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