家に帰りたい
2022戦争を知る老人たちの思い冬の厳しさを知っているものほど、春を待ち焦がれている。それと同じように、さまざまな事情で家族から離れて老人保健施設などで生活している老人ほど、家庭復帰を待ち焦がれている者はない。「家なき老人」にしてみれば、「春」という言葉と「家族(家)」という言葉は同義語なのかもしれない。平成2(1990)年4月に入所した関かねさん(86歳、頚椎症による歩行障害、脳血栓、糖尿病)もいつ来るともしれない春に思いを寄せている一人である。一度、こんなことがあった。その年の12月、正月の外泊をひかえ、面会に来た長男(56歳)に対して、1泊でもいいから外泊したいという強い気持ちがありながらも、とうとう言えずじまいに終わった。なぜ、率直に外泊したいと言わなかったのか。家族に気兼ねしている理由はなんなの...家に帰りたい
2024/01/31 21:21