桜木紫乃『家族じまい』集英社文庫
1991同じように見えて違うこと親の終活、老老介護、家族とはのテーマで北海道を舞台にした物語読みかけの途中だけれど自分のこころに引っかかった言葉に、眼が留まった。「やらなかったことと、出来なかったことって、同じなかったことでもずいぶん違うなあって、いま思った」(34頁)消えることも、あるいは消すことも、見えるところでは同じ結末だ。(34頁)自分の人生を振り返ると、その場に立ち止まって踏ん張るということをしなかった。大きな樹は、その場から逃れることもできない。その地でしっかりと根を張り大樹となった。「やらなかったこと」の連続で、それは後で後悔だけが残った。水溜まりも同じだ。水は生き物。水の流れが止まると水溜まりになり、時間が経つにつれ水は濁り腐り、水は死ぬ。生きることの意味を見失い、ただ息をしているだけでは...桜木紫乃『家族じまい』集英社文庫
2023/08/20 10:43