2-XII-4
「恐縮の至りです」と彼は言った。「結構、結構」「私がここに参りましたのは、まさに貴方の仰るとおりのことをお願いするためでした」「でしょう!これで良い、これがベストです」「ですが、私が何を意図しているか、それだけでも話させてください……」「それには及びませんよ、君」「どうか、お願いです!私の計画を推し進めるうち、貴方の御意向、お気持ち、言葉、それに行動までも引き合いに出さねばならぬ事態が生じて来るでしょう。それらを貴方は後で撤回なさることも出来ます。私を安心させるために……」男爵は、そんなことはどうでもいいことだ、という身振りをし、指をパチンと鳴らして、彼の言葉を遮った。「何も心配せず、やりたいようにやってください」と彼は言った。「かの侯爵と忠実な手下であるコラルトの正体を暴くという目的を果たすのであれば、...2-XII-4
2024/07/17 07:11