「デ・キリコ」展@東京都美術館
デ・キリコの「形而上絵画」というキーワードを聞くと、半ば条件反射的に埴谷雄高の「形而上文学」を連想する。埴谷雄高は「死霊」において「虚体」というキーワードを提示し、実体のない、存在だけの人間について書いた。 デ・キリコもまた絵画において実体のない本質的ななにかを探し求めたのだろう。 画面の色の話をすると、デ・キリコは郷愁を描いた。それは空の色合いによくあらわれていた。テレンス・マリックの映画でよく使われている「マジック・アワー」のような美しい色彩だ。 モチーフも特徴的だ。 デ・キリコはイタリア人かと思っていたのだが、もともとはギリシアの生まれだそうだ。だからギリシア神殿やギリシア神
2024/04/29 09:12