心のタネが芽吹く…幸田文の場合
幸田文(あや)と言えば露伴の娘で家事や暮らしや女の人生を丁寧かつ新鮮に描く作品が多い。それが72歳になってから突然思い立って、富士山の大沢崩れや富山の鳶山・常願寺川、有珠山、桜島等々に出かけた。慣れないズボンを履き、時には現地管轄職員に背負われ、山体崩壊や土石流、噴火など地殻の弱みが暴露された跡をたどり、知識と見聞を広めつつまとめた。それが『崩れ』という本だ(1991) 「人ばかりが切なかったわけでもあるまい.川だって可哀想だ.好んで暴れるわけではないのに,災害が残って,人に嫌われ疎んじられ,もてあまされる」という自然への寄り添いかたが彼女らしい。 この本のことは先の能登地震や投稿動画で検索し…
2024/05/18 14:04