箱根・底倉温泉 函嶺(神奈川県)p.165
湯治場としての歴史のある箱根が大衆化したのは江戸後期の「箱根七湯」といわれた頃で安藤広重の浮世絵にも描かれています。そして明治時代には日本初の本格的リゾートホテルとして箱根・宮ノ下に富士屋ホテルが誕生します。 今回紹介する温泉は、富士屋ホテルより西へ300m、早川の支流 蛇骨川(じゃこつがわ)を八千代橋で渡ったところにある箱根七湯のひとつ、底倉温泉であります。深い谷を流れる蛇骨川沿いの湧泉群を源泉とする温泉で上流には豊臣秀吉が入湯したという「太閤の岩風呂」があります。 箱根初の医療施設には入院患者のために引かれていた温泉があった為、閉院後は日帰り入浴施設へと生まれ変わりました。大正時代に建てられたという木造二階建ての洋館からは以前病院だったという面影を色濃く残す佇まいであります。 張り出した玄関からは、往時の左官職人の技が光ります。人造石洗い出しと白壁のコントラストに気品を感じます。 館内も病院の名残りを感じる漆喰の白壁が美しい空間であります。 二階に続く階段には意匠の凝った垂れ壁のアーチが施されています。(二階部は住居) そして名残りの極めつけは受付の左側にある調整されたお薬を出す小
2021/12/22 20:20