印籠
「この紋所が目に入らぬか」は「水戸黄門」の決めぜりふですが、あればかり観ていたら「印籠」を「紋を示すためのもの」と勘違いする人が出てくるのではないか、と私は余計な心配をしてしまいます。【ただいま読書中】『印籠と薬──江戸時代の薬と包装』服部昭著、諷詠社、2010年、1429円(税別)江戸時代の文献を幅広く渉猟して「印籠」について著者は調べ上げています。たとえば川柳では「岩波文庫で刊行されている約4万4000首について調べた結果、この中に印籠を句のはじめに詠み込んだものは八句しかなく」とさらっと書いています。もちろん川柳は「文献」の一部でしかないのですが、大変な作業を著者はされています。そして「庶民に愛好された川柳にこれだけ登場しないと言うことは、印籠は庶民には縁遠いものだった」という結論を導き出しています。和服...印籠
2020/12/31 14:01