『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ著・三浦みどり訳・岩波書店)
ソ連(ロシア)では、第2次世界大戦でヒトラー率いるドイツ軍と戦ったことを「大祖国戦争」というのだそうだ。これは偉大な祖国を侵略から守ったという矜持を込めての事だろう。その戦争の記憶や記録となれば、「公式」なものしか許されない。人々は、政府や世論(そして、日本風に言えば世間)が許容するそれに関する見解や記憶を語るしかないのだ。それは往々、指導的男性たちの、男どもの作り上げた勇ましくて英雄的で無味乾燥の「神話」だ。
2022/11/20 10:47