賽の河原
40年前に買った本に「死後の世界観光案内」という本が出てきたので、ちょっと遊んでみました。これはこの世のことならず死出の山路裾野なる賽の河原のものがたり聞くにつれても哀れなり二つや三つや六つ七つ十のならぬ幼児(おさなご)が賽の河原に集まりて苦しみうくるぞ悲しけれ娑婆とちがいて幼児が雨露しのぐ住家(すみか)さえなければ涙の絶え間なし西に向いて父こいし東を見ては母こいしこいしこいしと泣く声はこの世の声とはことかわり恋しさ骨身を透(す)かすなりここにあつまる幼児は小石小石を持ち運びこれにて廻向(えこう)の塔を積む手足石にて擦れただれ指より出づる死の滴身体(からだ)を朱(あけ)に染めなして一重積んでは幼児(おさな)が紅葉のような手を合わせ父上菩提と伏し拝む二重積んでは手を合し母上菩提(ぼだい)廻向(えこう)する三...賽の河原
2023/07/25 15:15