こころは存在するか(48)
鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」(「文藝春秋」2025年3月号)を読んだ。そのなかに「ジャムとサラダ」という「比喩」が出てくる。ジャムは混淆、サラダは渾然という概念に相当する。混淆は混沌とも言い換えられている。曼陀羅や万有ということばも出てくる。ストーリーを概念で彩りながら、ティーバッグのタグに書かれていた「名言」がほんとうにゲーテの書いたものが(言ったものか)を追いかける一種のミステリーである。ミステリーであるから、まあ、それでいいのかもしれないが、人間が描かれていない。「あ、こういう人間がいる」という感じで「肉体」が見えてこない。というのは、きょうの「枕」。鈴木が書いている「ジャムとサラダ」=「混淆と渾然」から、私は「無と空」ということばを思い出してしまった。「ジャム=混淆(混沌)=無」「サラダ=渾...こころは存在するか(48)
2025/03/31 16:21