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  • 古さと新しさ/中華ドラマ『金庸武侠世界・鉄血丹心』

    〇『金庸武侠世界・鉄血丹心』全30集(騰訊視頻)仰々しいタイトルになっているが、原作は永遠の名作『射鵰英雄伝』である。私は2003年(李亜鵬)版で中国ドラマ・武侠ドラマの世界に足を踏み入れ、2008年(胡哥)版、2017年(楊旭文)版を見てきたので、これが4作目になるが、やっぱり面白いと思う。南宋末年、江南の牛家村に暮らす郭嘯天と楊鉄心の両家は金兵に襲われる。郭嘯天は命を落とし、身重の妻は草原に流れ着いて郭靖を生む。楊鉄心は行方知れず、身重の妻は金の六王爺・完顔洪烈に見初められ、その庇護の下で楊康を生む。そして18年後、郭靖と楊康の物語が始まる。…というのが導入のあらましなのだが、このドラマは、初回から郭靖と楊康が成年の姿で登場し、さらにそれぞれの伴侶となる黄蓉、穆念慈との出会いまで描いてしまう。二人の両...古さと新しさ/中華ドラマ『金庸武侠世界・鉄血丹心』

  • 関東大震災に先立つ経験/災害の日本近代史(土田宏成)

    〇土田宏成『災害の日本近代史:大凶作、風水害、噴火、関東大震災と国際関係』(中公新書)中央公論新社2023.720世紀初頭は、世界的に大規模な自然災害が相次いだ時期だった。災害は他国にも報道され、国境を超えた義援、救援、調査研究などが整備されていった。本書は、まず序章で1902年のプレー山噴火(カリブ海フランス領)を簡単に紹介する。約3万人の死者を出した大災害で、フランス公使の本野一郎から、主要国はフランス政府に弔辞と義援金を送っているので我が国も送るべき、という連絡が入り、外相の小村寿太郎は天皇に意見を具申した。こうやって日本は文明国の外交を実地に一歩ずつ学んでいったわけである。本書に取り上げられている国内外の災害は以下のとおり(◆=日本)◆1905年秋、日本の東北地方で大凶作◇1906年4月、アメリカ...関東大震災に先立つ経験/災害の日本近代史(土田宏成)

  • 掘れば化石の宝庫/恐竜大国 中国(安田峰俊)

    〇安田峰俊著;田中康平監修『恐竜大国中国』(角川新書)角川書店2024.6まるで縁のなかった分野の著書だが面白かった。現在、世界で最も多くの恐竜が見つかっているのは中国なのだという。中国国内で骨格の化石が見つかり、2020年12月までに学名がついた恐竜は合計322種、近年はおおむね10種の新種が毎年報告されている。私は、そもそも恐竜学という学問の対象が、ある程度、固定化した段階にあると思っていたので、中国に限らず、毎年、そんなに多くの新発見が相次いでいるということが新鮮な驚きだった。私が頻繁に中国旅行に出かけていたのは、1990年代から2000年代なのだが、あるとき、ツアー参加者の中に「私は恐竜のタマゴに興味があって、中国ツアーに申し込みました」というおじさん(おじいちゃん?)がいた記憶がある。変わったお...掘れば化石の宝庫/恐竜大国中国(安田峰俊)

  • 2024年7月関西旅行:和歌山県立博物館、和歌山市立博物館

    前日は大阪・堺駅前のホテルに宿泊。朝イチに南海電車で和歌山へ。■和歌山県立博物館世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年記念特別展『聖地巡礼-熊野と高野-.第I期:那智山・那智瀧の神仏-熊野那智大社と青岸渡寺-』(2024年6月15日〜7月21日)同館は、2004年7月に世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」が登録されてから、20周年の節目を迎えることを記念し、今年は5期にわたって熊野・高野の文化財をテーマとした展示を行う。第1期は、熊野三山のうち今なお神仏習合の景観を留める那智山、熊野那智大社と青岸渡寺を取り上げる。5期全部見たいなあ…と思いながら、とりあえず第1期を見に来た。展示規模は小さめ(全43件、企画展示室のみ)だが、熊野那智大社に伝来する最古の神像=女神坐像(平安時代)など、興味深いものを見...2024年7月関西旅行:和歌山県立博物館、和歌山市立博物館

  • 2024年7月関西旅行:東洋陶磁美術館、大阪歴史博物館

    ■大阪市立東洋陶磁美術館リニューアルオープン記念特別展『シン・東洋陶磁-MOCOコレクション』(2024年4月12日~9月29日)4月のリニューアルオープンからずっと気になっていた記念特別展をやっと見に来ることができた。基本的には以前の構造を残しながら、現代的なエントランスホールが増築され、展示ケースや照明も整備された。ウェブページに「自然光に近く陶磁器本来の魅力が最もよく引き出せるとされる『紫』励起LED照明を導入」という説明があるが、確かに青磁は青磁らしい、粉青は粉青らしい色味の美しさを感じることができて感激した。美術館の「リニューアル」って必ずしも成功しない例を見てきたので、これは本当にうれしい。大阪市、ありがとう。施工業者はどこなんだろう?なお、この朝鮮陶磁のネコちゃんがキャラクターに採用されたら...2024年7月関西旅行:東洋陶磁美術館、大阪歴史博物館

  • 2024年7月関西旅行:大山崎山荘、大阪中之島美術館ほか

    関西旅行、初日の夜は京都市内に適当な宿が見つけられなくて、JR山崎駅前のホテルに泊まった。まわりは静かな住宅街だったが、駅前にコンビニもあって不自由はしなかった。■水無瀬神宮(大阪府三島郡島本町)2日目は、せっかく山崎に泊まったので、朝の散歩がてら、後鳥羽院に敬意を表して水無瀬神宮に参拝に行く。ちなみに山崎駅は京都府だが、水無瀬神宮は大阪府なので、知らないうちに県境を越えていた。境内では多数の風鈴を吊るした「招福の風」行事が行われていたが、全く風が無くて、チリンとも鳴っていなかった。■大山崎山荘美術館愛知県陶磁美術館コレクション『中国やきもの7000年の旅-大山崎山荘でめぐる陶磁器ヒストリー』(2024年6月1日~9月1日)これも予定になかったのだが、せっかくなので大山崎山荘美術館を初訪問。阪急大山崎駅が...2024年7月関西旅行:大山崎山荘、大阪中之島美術館ほか

  • 2024年7月関西旅行:京博、龍谷ミュージアム、京都文博

    ■京都国立博物館常設展示三連休初日の土曜日は、まず京博へ。特別展の間(はざま)なので、常設展が見られると思うと楽しみでわくわくする。3階の「陶磁」は茶入がミニ特集らしかった。乾山の『色絵氷裂文角皿』を久しぶりに見た。隣りの「考古」には埴輪がたくさん。この秋、東博の特別展にも来てくれるのかな?と思って眺める。兵庫県たつの市出土の須恵器の壺には、小さな人物(相撲をとっている)や動物がたくさん貼り付けられていて、中国の土器みたいだった。2階「絵巻」の『法然上人絵伝』は「あまり公開される機会のない巻をご紹介します」というだけあって、記憶にないものだった。巻2は出家のため上京した法然(勢至丸)が忠通の一行に出会って問答するところ。巻18は女人往生を説いた法然のもとに女性たちが集うところ。巻38は法然の死去に臨んで、...2024年7月関西旅行:京博、龍谷ミュージアム、京都文博

  • 2024祇園祭・新町通曳き初め

    三連休は関西で遊んできた。初日の13日は京都の博物館巡りを予定していたが、調べたら新町通りで山鉾の惹き初めがあるというので行ってみた。少し早めに山鉾町エリアに入って、うろうろする。大きな鉾は既に姿を現しているが、まさに設営中の山も多かった。私の好きな蟷螂山。昨年、前祭の宵々山に訪ねたら、Tシャツも扇子も完売だったことを思い出して、今年こそはと期待して行ってみたら「祭礼授与品の頒布は14日10時からです」の貼り紙。うう、今年もご縁がなくて残念。四条通りの函谷鉾で「タペストリー」だか「ゴブラン織り」だかの文字を見つけて立ち止まる。そうだ、16世紀の西洋風の図柄の毛織物を懸装品に使っている鉾だったな、と思い出して、久しぶりに鉾に上がっていくことにする。見学料金1,000円は諸物価値上がりの折、かえってお手頃に感...2024祇園祭・新町通曳き初め

  • 謎解きは半歩ずつ/中華ドラマ『慶余年2』

    〇『慶余年』第2季:全36集(上海騰訊企鵝影視文化伝播有限公司他、2024年)2019年の第1季から待つこと5年、ようやく続編が公開された。私は配信開始から少し遅れて視聴を始めたので、第1季と比べて評価を受けていることは、漏れ聞こえていた。しかしそれは期待値が上がり過ぎた結果で、公平に見れば、十分おもしろかったと思う。南慶国の勅使として北斉国に送られた范閑は、その帰路、二皇子の使者・謝必安から二皇子の謀略の次第を聴かされ、同僚・言冰雲の刃を受けて倒れる(ここまでが第1季)。范閑死すの報せは、たちまち南慶国に伝わるが、これは范閑と言冰雲が仕組んだ芝居だった。范閑はひそかに南慶国に潜入し、二皇子に捕えられたと思しい、亡き滕梓荊の妻子を探すが見つからない。范閑は再び勅使の列に戻り、生きていたことを明らかにして堂...謎解きは半歩ずつ/中華ドラマ『慶余年2』

  • 2024夏の花

    暑い暑い。東京の夏は長いが、夏の始まりの7月が一番暑い気がする。先々週(かな?)東中野の黎明アートルームに行ったときに路地裏で見かけたノウゼンカズラ(凌霄花)。たぶん夏の花の中で、私がいちばん好きな品種。漢字表記も美しい。そういえば、途中まで見て中断してしまった中国ドラマ『以家人之名(家族の名において)』の男性主人公の名前が凌霄だった。「霄(そら)を凌(しの)ぐ」の意味になるのだな。これは東中野の山手通りの歩道の道端に咲いていた芙蓉。こんな道端に堂々と咲いているのを見たのは初めてで、ちょっとびっくりした。これは我が家の近くの小さな緑地で、毎年、花をつける大輪の黄色いユリ。詳しい名前はよく分からないのだが、コンカドール(イエローカサブランカ)だろうか?※昨年の様子。2024夏の花

  • 政治的分断の構造/ネットはなぜいつも揉めているのか(津田正太郎)

    〇津田正太郎『ネットはなぜいつも揉めているのか』(ちくまプリマ―新書)筑摩書房2024.5著者は、2020年9月、アニメ『銀河英雄伝説』のリメイクについて「男女役割分業の描き方は変更せざるをえない気がする」云々とツイートしたところ、批判的なリプライが次々に押し寄せる事態になってしまった。しかし、2、3日もすると次第に鎮静化した。この「炎上」体験談をマクラに、アニメや漫画の表現に対する批判と「表現の自由」をめぐる対立について、著者はメディア論の立場から考察する。広告などのメディアがそれを見た人にどのような影響をもたらすかは分からないし、誰か(たとえば女性、マイノリティ)が不安を引き起こす表現はないほうがよいとしても、万人が納得できるラインは存在しない。だが、これだけソーシャルメディアが普及した時代に「表現の...政治的分断の構造/ネットはなぜいつも揉めているのか(津田正太郎)

  • アメリカ式に学ぶ/台湾のデモクラシー(渡辺将人)

    〇渡辺将人『台湾のデモクラシー:メディア、選挙、アメリカ』(中公新書)中央公論新社2024.51996年に総統の直接選挙が始まり、2000年には国民党から民進党への政権交代を実現させた台湾は、英国エコノミスト誌の調査部門が主催する「民主主義指数(DemocracyIndex)」の2022年度版では、アジア首位の評価を得ているという。最近の台湾を見る限り、この評価に全く異論はない。しかしこの国では、戦後長きにわたって国民党統治による権威主義体制が続いていた。台湾の民主化の歩みは序章に簡単にまとめられているが、まず地方政治において非国民党の政治勢力が勃興し、野党・民進党が誕生し、国民党非主流派の李登輝がレールを敷いた民主的な選挙によって政権交代が起きた。民主化勢力が選挙キャンペーンに工夫を凝らすことで、国民党...アメリカ式に学ぶ/台湾のデモクラシー(渡辺将人)

  • 2024年6月展覧会拾遺

    ■府中市美術館『BeautifulJapan吉田初三郎の世界』(2024年5月18日~7月7日)大正から昭和にかけて、空高く飛ぶ鳥や飛行機から見下ろした視点による鳥瞰図のスタイルで数多くの名所案内を描いた吉田初三郎(よしだはつさぶろう、1884-1955)の世界の魅力に迫る。吉田初三郎の名前は、2005年の江戸博『美しき日本』、2016年の近美『ようこそ日本へ』など、ツーリズムをテーマとした展覧会で何度か見てきた。本展は総合的な回顧展ということで、鹿子木孟郎に学んだ油彩の風景画なども展示されているが、本領はやはり鳥瞰図スタイルの名所案内図である。明るく楽しい雰囲気を演出するため、かなり大胆なデフォルメを施したものが多い。子供の頃の学習雑誌に載っていたSF的な未来都市図に通じるところもあるように思った。京王...2024年6月展覧会拾遺

  • 東京都知事選挙2024

    東京都知事選挙が始まっている。今度こそ小池都政を終わらせたいので、投票するなら蓮舫候補だろうと思っていたが、1回くらい演説を聞いてから投票しようと思って、日曜日、銀座四丁目交差点の街頭演説を聴きに行った。はじめに立憲民主党の福山参議院議員、枝野衆議院議員が応援演説。福山さんも悪くないけど、枝野さんの演説には、いつも惚れ惚れする。滑舌がよくて聞きやすく、内容もある。枝野さん、大学卒業後は銀座四丁目の弁護士事務所で働いていたのか。枝野さんの演説中、曇り空から小雨がパラつき始め、傘を差すほどではなかったものの、壇を下りるとき、司会から「日本一の雨男とも言われています」と突っ込まれていた。蓮舫候補は、若者支援を政策の第一に掲げている。それは正しい判断だと思うけれど、「もう少し高齢者支援にも言及したほうがよい」とい...東京都知事選挙2024

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