立つということ
物を立てる場合は大抵真っ直ぐを目指すわけだが、諸般の事情で垂直に立ったままでいられることは少ない。インフラで1番身近に目立つ設備の電柱は、電線が支え合うので少しくらい傾いていても不安を感じることはなく当たり前のものとしてある。電線を張る時は気温による伸び縮みを計算して、その土地とちの工事時の温度に合わせた張り方(弛ませ方)が決められているのだろう。車窓から観る電線が電柱を過ぎると下がっていき、また上がっていき、電柱で最高点に達すると同時にまた下がっていく波を、飽くことなくぼんやり観続けることがよくあった。そのはずが、ベトナムのハノイから南下する列車の旅では、電線がぴんと張られていて少しも上下しないのが驚異的だった。冬だったから縮んでいたのだろうけれど、戦争からの復興途中だったから、遊びをもたせることもなく...立つということ
2025/01/31 11:20