『華麗なる一族』
前にテレビでは見たはずだが、山本薩夫監督版は初めて見たが、実に面白い。関西の万表財閥の当主大介の佐分利信の、ある種強欲ぶりがすごく、まさにこういうのを骨太の人間と言うのだろう。そして、息子鉄平の仲代達矢との確執がすごい。その根源は、鉄平が、大介の子ではなく、もしかしたら祖父と母の月丘夢路との間の子ではないかとの疑問からくるというのがすごい。まるで志賀直哉の『暗夜行路』の主人公の疑問のようだが、明治、大正時代の日本の家にはあったことなのだろうかとあらためて思う。月丘は、貧乏華族のお姫様で、鼓や刺繡をするだけで、家事の一切、息子や娘の婚姻、それはすべて閨閥作りの政略結婚なのだが、秘書で、実は大介の愛人でもある京マチ子が取り仕切っている。この妻妾同衾というのを日本のメジャーの映画会社で描いたのは、きわめて珍しい...『華麗なる一族』
2023/08/30 14:59