梅の実に恵まれました。
二年ぶりに梅の木がたわわに実をつけたので、この十日ほど忙しかった。「忙しくて、漬けている暇がないわ」「ああ、そうなんだね」悔しさをこころのうちに秘めた。うちの山の神さまに、「どうする。ひろってこようか」そう問いかけた際の返事であった。昭和三十年代に子ども時代をすごした者としては、梅の実が摘んでくださいとばかりにぼとぼと音立てて地面に落ちるのを座して見過ごせないのである。他人さまはいかがお考えだろう。そう思い、むかし昔、うちの塾に来てくださっていたご家庭を訪問。「もしもごいり用でしたら」と問いかけてみた。結果は、二件中二件とも、「お願いします」とのことで、一俵あまりの実をむだにしないで済んだ。その旨を、正直に、家内に告げると、「そんなあ……、だったらやっぱり欲しいわ。暇を見つけて漬けてみる」(これ以上身体に...梅の実に恵まれました。
2025/06/27 21:25