種吉版「おくのほそ道」
月日は百代の過客にして行きかふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ馬の口とらえて老いをむかふるものは日々旅にして旅をすみかとす。「おくのほそ道」(元禄15年刊)の巻頭である。元禄文化期に活躍した俳人松尾芭蕉の紀行および俳諧。1689年春に江戸深川を舟で出発、千手から陸路を北上。当時芭蕉は46歳。弟子で6歳年下の曾良を伴ってのふたり旅だった。最大の目的地は、松島と平泉それに象潟であった。「月日というものは、永遠の時間を旅する旅人みたいなもので、やって来ては去っていく年月も、やはり旅人のようなものなのだ。舟の上で一生はたらく船頭さんも、馬をひいて年をとっていく馬方さんも、毎日の生活そのものが旅なわけで、旅を自分の家にしているようなものなのである」芭蕉は、門人曾良ただひとりを連れ、てくてくと歩きに歩いた。東北から...種吉版「おくのほそ道」
2024/06/30 03:12