デミアン
3度目の読書。書いていた小説がひと段落し、「共同執筆者」の夢にも促されてこの『デミアン』に手が伸びました。落ち着いたら読もうと買ってはいたのですが。3度目なのですが、だからか今回はずいぶんと細部が見えた感じがしました。今までの読書では見落としていたのではないかというような。それは新潮文庫ではなく初めて岩波文庫にしたからかもしれません。訳者が違うので、全体的な雰囲気も変わります。岩波版の方が丁寧で柔らかい印象です。例えば新潮文庫では、最後に登場する重要な人物の一人であるエヴァ夫人が主人公を呼ぶとき「シンクレール」と呼び捨てですが、岩波文庫では「ジンクレエルさん」とさん付け。名前も若干変わっていますが、ドイツ語をかじった身としては「ジンクレエル」の方が原文に近い感じがします。ジンクレエルは少年時代、クロオマア...デミアン
2024/10/23 20:49