夏(かこ)に抱かれて 1

夏(かこ)に抱かれて 1

ウィンドウチャイムが午後の風に揺られ、優しい音を奏でる。カラン、カラン、カラン・・・懐かしい記憶、太陽の陽射し、風の匂い。夏の終わりは、部屋を通り抜ける風ですら私の心を癒す。あれは夏だ。毎年訪れる避暑地と、私の心を揺さぶる人。夏にしか逢えないあの人。夏、過去、想い出。もう二度とあの日には帰れない・・・夏になると毎年、私は叔母のゲストハウスの手伝いに行くのが常だった。普段は地方都市部で働いていたが、...