半導体は多くの工業製品にも欠かせないものであり、東アジアにその製造業者が集中している。台湾をめぐり米中が対立しているのはそこにTSMCが立地しているからでもある。科学者や技術者やCEOのインタビューに基づき、国際政治や世界経済の構造や軍事力のバランスに半導体産業がどう絡んだかを明かしてくれる歴史書が出ている。 Chip War: The Fight for the World's Most Critical Technology , Chris Miller著 https://amzn.to/3iysNh9 第二次大戦では精密な爆撃が必要となり、計算は人間が行っていた。真空..
広報活動で偏った報告を巧みに行う者はスピンドクターと呼ばれる。ロシアや中国など多くの国の体制は「スピン独裁」であるというのが本書の主張だ。独裁制に興味がある人にオススメの一冊。 Spin Dictators, Sergei Guriev and Daniel Treisman https://amzn.to/3PVDCph 20世紀の古典的な独裁は反対派を抑圧し、全ての情報のやり取りを統制し、批判を封じ、思想を課し、民主主義という理想を攻撃し、人や情報が国際的に行き来するのを妨害していた。恐怖による統治という共通点があった。これに対しベネズエラやシンガポールといった現在の独裁で..
人類はその歴史のほとんどの期間を生存にギリギリの水準で暮らしていた。でもある頃から飛躍的に生活水準を伸ばし、不平等が生じるようになった。本書はこれを統一的に説明する枠組みを提供している。 “The Journey of Humanity”, Oded Galor https://amzn.to/3IZ1JPO 人類の脳は他のどの動物より大きく、この器官はエネルギーを大量に消費するし大きすぎて誕生後に育てる必要があるという欠陥がある。食料を見つけたり戦略を組むのに適していたという生態的仮説と、協力するのに適していたという社会仮説と、学習に適しているという文化仮説とが提唱されている。..
「倉庫で若いプログラマーが仕事をして、陽気な共同創業者が投資家に対して営業トークをする」という起業にまつわる単一神話がある。でもこういうイメージはFacebookやTeslaやMicrosoftといった一部のスターに引きずられているにすぎない。起業研究のデータをよく見ていこうというのがこの本。 The Unicorn's Shadow, Ethan Mollick https://amzn.to/3wiD0Tx 若い方が賢いなどと言われることがある。確かに野心的な決断は下せるから特殊な分野に関してはそうかもしれない。でもちゃんと寝てオンオフを切り替えているような人はよりクリエイテ..
実を言うとアメリカはもうだめです。突然こんなこと言ってごめんね。 でも本当です。2、3日後にものすごく赤い爆発があります。 それが終わりの合図です。程なく大きめの内乱が来るので気をつけて。 それがやんだら、少しだけ間をおいて専制国家がきます。 How Civil Wars Start, Barbara F. Walter著 https://amzn.to/3u6c070 民主化の波は常に内乱を伴って起きた。政治体制について-10から+10までの民主化指標を見てみると、専制国家でも民主史主義でもない中間の国がある。これをアノクラシーと呼ぶことにすると、不平等や貧困や民族の多様性や汚..
自己変革は難しい。忘れること、後回し、怠惰などに取り組んでも何度も失敗することだろう。でもそれは正しい戦略を見つけていないからだ。解決のためにはどんな力が働いているのか理解する必要がある。全てを解決する一つの方策というものはない。行動科学の力を借り問題に沿った策を採ろうというのが本書の主張だ。変化したい人にオススメ。何度も読み返してほしいとのこと。 How to Change, Katy Milkman https://amzn.to/3vYIeny 変化を始めるのに理想的なのは何かで再出発したときだ。失敗は過去のもの、楽観的になれる。また悪癖から逃れる可能性もある。新年や..
遺伝学の知識は決して社会変化を妨げるものではないと主張する本が出ている。 The Genetic Lottery, Kathryn Paige Harden https://amzn.to/3tGwLpH ゲノムワイド関連分析(GWAS)が何をやっているのかを簡潔に説明してくれるし、反実仮想を重視する現代の統計学の入門にもなるし、遺伝にまつわる色々な誤解を解いてくれるとてもお得な本だ。 米国で高卒者と大卒者の生活の差は非常に大きい。前者は低賃金で未婚で鬱で幸福度が低い。また貧者は貧者と結婚する。この社会格差は環境からだけでなく遺伝からも来るのだ。リベラルは遺伝学の研究に疑問..
The Invention of Power: Popes, Kings, and the Birth of the West, Bruce Bueno de Mesquita https://amzn.to/3vtbeU9 現在、西洋はその他の地域に比べてずっと繁栄している。本書はこの例外主義を生んだ理由がヴォルムス協約にあると主張する。叙任権闘争の背景を描写し、ゲーム理論的分析を行い差の差の統計的分析で様々な証拠を見せてくれる。説明責任を果たす政府のもとで構造的に経済競争がなされるとその場所は繁栄するもので、何も不思議なことはない。どこの場所でもこの教訓を学べるとしている。社会..
The Voltage Effect, John A. List https://amzn.to/3uFbi2P 経済学で30年にわたりフィールド実験を行なっている著者は、ビジネスとその研究に共通点があるという。それは「スケールできるか」ということだ。小さい教室で上手くいく方針も全国の教室では上手くいかないかもしれない。事業もまた然り。本書は規模を拡大するにあたり注意すべき5つの点をまとめ、そして上手く拡大するために重要な点を示している。大統領府やリフトやウーバーでの著者の経験もあり、標準的な価格理論と行動経済学の最新の知見もありと盛りだくさんな内容でお勧め。 まずは、偽陽性..
男女の賃金格差がなぜ生じているかを歴史的なデータを使って考察している本が出ている。 Career and Family, Claudia Goldin著 https://amzn.to/3I3jRc0 1940年代にはあからさまな差別があったが、女性の地位は向上し続けてきた。とはいえ今でも男女の賃金には格差がある。これは両者が違う職に就いているからではない。たとえ職業分布が同じでも格差は1/3程度しか縮まらない。原因は、「貪欲な仕事」にある。それは24時間不測の事態に備えることが要求される管理職や、ずっと頭を働かせていることが必要となる研究職のような時間のかかる業種のことを指して..
感染症に直面する米国の都市が抱える問題点を示している本が出ている。 “Survival of the City”, Edward Glaeser and David Cutler著 Survival of the City: Living and Thriving in an Age of Isolation - Glaeser, Edward, Cutler, David 都市は創造性の塊だ。でも、内部の人を守り外部の人を放棄する傾向がある。コロナの影響でリモートワークが広まり社交も減ってしまった。本書は都市生活の存続と繁栄に必要な条件を探っていく。重要なのは説明責任を果た..
Daniel Kahneman, Olivier Sibony, Cass R. Sunstein, “Noise: A Flaw in Human Judgment” https://amzn.to/307X1Pa 人間の判断にはバイアスとノイズが混ざりがちだ。本書は後者に焦点を当て、解決策を探る。 図で、Bチームは狙いが左下に寄りすぎている。これはバイアスであり、カーネマンの前著のファスト&スローが取り扱っている。Cチームは概ね真ん中を狙っているけど、ばらつきが大きい。著者たちはこれをなんとかしようとしている。 (要約) 判決はその日の温度や贔屓チームの試..
教育方針の経済学 子育ての経済学 愛情・お金・育児スタイル マティアス・ドゥプケ&ファブリツィオ・ジリボッティ著 子育ての経済学:愛情・お金・育児スタイル - マティアス・ドゥプケ, Matthias Doepke, ファブリツィオ・ジリボッティ, Fabrizio Zilibotti, 大垣 昌夫, 鹿田 昌美 1970年代の親は反権威主義的でリラックスした子育てをしていたが、現代の親は習い事をさせ学校成績を気にするようになっている。教育方針は国や階級ごとに異なる。過去に人気だった体罰はここ数十年で忌避されるようになった。親の経済的動機に着目すればこれらの現象を解明できる..
西洋という奇妙な社会の起源とその帰結,The fool is lonely
米国の人種の不平等の議論を整理する古典,The fool is lonely
平和構築のためには民族を認めよう!,The fool is lonely
宗教の経済学,The fool is lonely
監獄の比較制度分析,The fool is lonely
アメリカの監獄はギャングにより統治されている,The fool is lonely
フィールド実験と経済学実践,The fool is lonely
米国大学における所得分離と再配分の可能性,The fool is lonely
インターネットとソーシャルメディアの政治経済学,The fool is lonely
最近の差別の経済学,The fool is lonely
困難な時期にこそ良質な経済学的分析をしよう!,The fool is lonely
課税と移住の関係,The fool is lonely
歴史と経済発展,The fool is lonely
資本とイデオロギー(ノーカット版),The fool is lonely
より良い税制を作ろうではないか!,The fool is lonely
民主主義という狭き回廊,The fool is lonely
貧困のはかりかた,The fool is lonely
固定観念、犯罪、そして法執行,The fool is lonely
キブツの興亡史,The fool is lonely
告発の構造,The fool is lonely
ロックの経済学,The fool is lonely
なぜの本ーー観察研究の復権,The fool is lonely
市場を根本的に見直そう,The fool is lonely
人類と真社交性,The fool is lonely
ネットワークの重要性,The fool is lonely
研究投資でアメリカを豊かにしよう!,The fool is lonely
国難について,The fool is lonely
経済学者の育児日記,The fool is lonely
応分理論,The fool is lonely
新しい金ぴか時代,The fool is lonely
途上国に学ぶ経済政策,The fool is lonely
単純化,The fool is lonely
うつるんです,The fool is lonely
幼児に投資しよう,The fool is lonely
すごいおばちゃん,The fool is lonely
伝統社会から学べること,The fool is lonely
オーストラリアの繁栄,The fool is lonely
組織,The fool is lonely
女性の開発,The fool is lonely
経済発展とか,The fool is lonely
コスト病,The fool is lonely
王様は裸だ,The fool is lonely
「ブログリーダー」を活用して、Charkidさんをフォローしませんか?