企業再生経営者、山田修の戦略ブログ。6社で社長を務め再生させた戦略を日々語る。
MBA社長などの異名を取りながら、20年以上にわたりプロフェッショナル経営者として活動してきた。 企業再生や業績回復には、「やり方を変えろ」つまり一にも二にも「戦略の立案とその実践」が必要となる。 経営学的な立場からその要諦を解説する。日々の実践を書き連ねている。
LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊(3)
株主総会では、議案ごとに採決が取られるのが通常だ。よって、上記3つの議案は個別に採決が取られるものと思われていた。つまり8名、2名、6名がそれぞれグループとしてまとまって採決されると見られていた。 ところが今回の株主総会では、前代未聞のマークシート方式による選任投票が採...
LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊(2)
異例のマークシート方式個別選出 今回の株主総会には、会社側から提案されていた取締役候補8名(以下、「会社側」)と、瀬戸氏を盟主とした株主提案による取締役候補の8名(以下、「瀬戸氏側」)の計16名が、候補として挙げられていた。LIXILの取締役の定員は16名だったので...
LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊(1)
LIXIL新CEOの瀬戸欣哉氏(写真:日刊現代/アフロ) 注目されていたLIXILグループ(以下、LIXIL)の株主総会が6月25日に行われた。 復帰なるか、世間の耳目を集めていた瀬戸欣哉前CEO(最高経営責任者)は取締役に選任されただけでなく、総会後の取締役会でCE...
LIXIL、元CEO・瀬戸氏側が不利な情勢…議決権行使会社、会社側を概ね支持へ(2)
同ペーパーはLIXILの株主総会に向けて20ページにわたる詳細なものだが、取締役候補関連の議案に関する結論だけを報告する。 1.会社側提案候補について 鈴木氏と鬼丸氏を含む全員に対して選出投票を勧める。 2.株主提案候補について 濱口大輔氏(前企業年金連合...
LIXIL、元CEO・瀬戸氏側が不利な情勢…議決権行使会社、会社側を概ね支持へ(1)
LIXILグループ(以下、LIXIL)の株主総会が開かれる6月25日が近づいてきた。今回の総会で注目されているのは、会社側の指名委員会が提案している取締役選任議案と、元CEOである瀬戸欣哉氏側が株主提案している取締役選任議案が対抗していることだろう。 そんななか、大手議決...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(16)
しかも、瀬戸氏解任に当たり指名委員会の委員長だった潮田氏は、瀬戸氏には「委員会の総意だから」と告げ、取締役会では「瀬戸氏から辞任の申し出があった」と、両者を愚弄するような対応をしたとされている。ここで両者を愚弄した、というのは株主をも愚弄したというに等しい。 となれば、...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(15)
今回、LIXILの指名委員会で取締役候補の選出を主導し、発表したのは菊地義信取締役だった。同委員会で唯一の社内取締役で、潮田氏と近いと評されている。指名委員会による候補者のなかには、瀬戸氏側の候補者からの選抜がなかった(鈴木輝夫氏と鬼丸かおる氏は会社側候補となることを拒否)こ...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(13)
瀬戸氏をCEOに復帰させるのがスジ 瀬戸氏側と会社の指名委員会側と、2つの取締役候補案が提案された状況を受けて、執行役などのLIXIL幹部が指名委員会に「意見書」を2回にわたり提出した。幹部たちが自発的に、自社の重要人事を差配する委員会に意見書を提出するということ...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(12)
潮田氏が昨年11月にCEOに復帰してから、LIXILの株価は急落した。昨年12月25日は昨年来安値となる1,270円となり、昨年高値3255円(1月23日)より60%も下落した。現在も1,359円のまま(5月24日)である。潮田氏への評価を市場も共有していると見ることができる...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(11)
また、潮田氏はそもそもLIXILの株式を3%程度しか保有していない。これらの事実から、同氏はLIXILのオーナーではない。資本持ち分的には経営支配権を有しないし、指名委員会議長や取締役会議長でもなくなったので、機能的な支配権も失った。6月の株主総会で取締役も辞任すれば、一般株...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(10)
それが経営の不調ということでもなく、あるいは経営路線の乖離という真摯な議論の結末でもなく、オーナーもどきの気まぐれから更迭され、そのトラック・レコードに理由なく傷を付けられていく――。 藤森氏と瀬戸氏に起きたのは、そのような不条理といってよいハプニングだった。経営人材とし...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(9)
つを指摘した。本記事はその3つ目から始まる。 プロ経営者を道具扱いするな 日本GE会長だった藤森義明氏と、瀬戸氏のCEO招聘は、趣味人である潮田氏にとっては、茶道の名茶器をコレクションするような感覚だったのではないだろうか。世間で名器として評価されているお...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(8)
潮田氏のそんな側面と絡めて、同氏の経営への関与を“趣味人経営”と評する報道もあった。そう評されるとき、それは潮田氏の文化的趣味を“道楽・数寄(風流の道)”ととらえ、同氏のLIXIL経営への取り組みもしょせんは同氏の道楽の一つと断ずる見方だったであろう。 確かに潮田氏は2...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(7)
2世経営者の趣味の広がりが 潮田氏は瀬戸氏の前には、日本GE会長だった藤森義明氏をCEOとして招聘し、これも短期かつ唐突に解任している。潮田氏は藤森氏を招請した2011年以降は、LIXILで指名委員会議長だったが、創業2代目として実質的にオーナーが意思を行使したのと同...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(6)
洋一郎氏が日本の税制に疑問を感じたことは自らも明言してきたことである。シンガポールは住民税がなく、所得税の最高税率は22%でしかない。日本人の富裕層が多く移住していることで知られる。 しかし、日本の税制では「10年ルール」というのがあり、海外に10年以上居住を続けないと...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(5)
創業者の息子として、社内では独裁者的に振る舞ってきたのだろうか。誰からも指弾・意見されるようなこともなかったのだろう。それが欧米の機関投資家などが仕掛けてくるであろう直截な議論や難詰に直面する可能性が見えると、すぐさま辞任してしまうという経緯となった。 私は、このような...
LIXIL、元CEO・瀬戸氏側が不利な情勢…議決権行使会社、会社側を概ね支持へ
LIXIL前CEOの瀬戸欣哉氏(写真:日刊現代/アフロ) LIXILグループ(以下、LIXIL)の株主総会が開かれる6月25日が近づいてきた。今回の総会で注目されているのは、会社側の指名委員会が提案している取締役選任議案と、元CEOである瀬戸欣哉氏側が株主提案している取...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(4)
逃亡と言われるか、潮田氏の唐突辞任 瀬戸氏は「元」CEOである。同氏を実質解任したといわれる潮田氏が瀬戸氏の後任としてCEOに就任したのは、昨年11月のことだった。ところがその潮田氏は4月18日に至り、突然CEOを辞任することを発表した。 背景には、昨秋の瀬戸氏...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(3)
一部報道では、2グループの対立が先鋭化していけば互いに相手候補を否認することも含む委任状闘争(プロキシーファイト)の可能性も指摘されていた。 しかし、株主総会が迫っている現時点でその動きが始まっていないこと、本格的にプロキシーファイトをするには双方に多額の資金が必要なこと...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(2)
2つの取締役候補案 最初に発表されたのが、瀬戸氏を中核とする8名の取締役候補案。瀬戸氏は、取締役に重任されることにより、その後の取締役会で再び代表取締役CEOへ復帰することを目指している。 瀬戸氏を含む8名は、会社からの指名推薦ではなく、株主提案として4...
LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(1)
LIXIL・潮田洋一郎会長(写真:東洋経済/アフロ) LIXILグループ(以下、LIXIL)では6月末の株主総会を前に、取締役候補案が2つ提案される事態となり、世の耳目を集めている。会社の指名委員会が選出した候補は8名なのに対し、昨年にCEOを実質解任された瀬戸欣哉氏は...
経営者ブートキャンプのOBの社長さんからの相談を受けた。 展開している事業を急速に伸ばしたい、という。 その業界と地域性を分析すると、撤退を考えている同業をM&Aしていくのが最有効な成長戦略と助言した。「ロールアップ戦略」という。「纏め上げる」という意味だ。 する...
「RIZAP・創業者VSプロ経営者の相克」 2ページの記事の副題は、「直情径行型創業者と実績を誇るプロは最初こそいいものの必ず対立した挙句に」とある。 私のコメント自体は、 「半年かけて瀬戸氏がM&Aで買収した企業を(松本晃氏が)精査し、売れるところは数...
ライザップ、松本晃氏が半年で敵前逃亡した“蟻地獄”…数十社の不振子会社群に慄然(13)
2つ目は、極端な悪業績が現出したことによる、組織内の危機意識の醸成である。一部には倒産の可能性さえ報道された。こうなると従業員や役員までもが改革を望み、受け入れる状況が出来上がる。 3つ目が、社内に充満していたであろう“松本アレルギー”だ。中井戸氏を連れてきたのが松本氏...
ライザップ、松本晃氏が半年で敵前逃亡した“蟻地獄”…数十社の不振子会社群に慄然(12)
中井戸氏はRIZAPをどこへ連れて行くのか では、プロ経営者が匙を投げた会社を引き受けた中井戸取締役会議長は、RIZAPを立て直せるのだろうか。 私は、松本氏のときほど中井戸氏はこの会社の経営に手を焼かないのではないかと見ている。 ひとつは、同社の業績が...
ライザップ、松本晃氏が半年で敵前逃亡した“蟻地獄”…数十社の不振子会社群に慄然(11)
パートタイムでは企業再生はやりとげられない 松本氏のRIZAPにおける最大の蹉跌は、氏の多忙さということに尽きるだろう。瀬戸社長の要請を受けてRIZAPに乗り込んできた松本氏は、瀬戸社長に対して、外部ですでにコミットしてしまっている業務の続行を条件とした。 そ...
ライザップ、松本晃氏が半年で敵前逃亡した“蟻地獄”…数十社の不振子会社群に慄然(10)
人間というものは、それまで自分が正しいと思って一生懸命やっていたことを否定されるとおもしろくないものだ。まして、その結果として好成績が出ているとすれば、それに異を唱える人物に対しては不信感を抱く。そして、それは理由のない嫌悪へとつながることがある。 松本氏の「M&A路線...
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