百貫港とハーンの夢
玉名に行った帰り道は河内から河内川沿いに登って山越えすることが多いのだが、たまに海の景色が見たくて海沿いの国道501号線を帰ることがある。この道を通る愉しみは、百貫港灯台の近くに車を停め、海を眺めながら休憩をすることだ。ボンヤリと景色を眺めているといつも思い出すのはここから船で長崎を目指したラフカディオ・ハーンのことである。1893年7月、ハーンは百貫港から小舟で沖へ出、散々待たされた蒸気船に乗り換えて長崎へ渡る。ところが長崎のあまりの暑さにほうほうの体で帰ってくる途中、三角港のホテルで「夏の日の夢(THEDREAMOFASUMMERDAY)」を見ることになる。この時の経緯を友人の東京帝大教授バジル・ホール・チェンバレン宛の手紙で次のように書き送っている。三角には、西洋式に建築され、内装された浦島屋という...百貫港とハーンの夢
2023/01/31 19:33