文学者による「金子みすゞ」鑑賞マニュアル―『金子みすゞと詩の王国』

文学者による「金子みすゞ」鑑賞マニュアル―『金子みすゞと詩の王国』

☆『金子みすゞと詩の王国』(松本侑子・著、文春文庫、2023年)☆もうずいぶん昔のことですが、「名作劇場」などと称して毎週決まった曜日にテレビで映画を放映していた時期がありました。映画の前後には、淀川長治や水野晴郎といって映画評論家が、その映画の制作意図や見所について解説していました。その解説について当時ある友だちが、あんなものはいらない、映画をどのように見ようが個人の自由であって、むしろ解説と称して映画の見方に枠をはめるのはよくないと言っていたことを思い出します。たしかに彼の言うことには一理あるでしょう。映画に限らず、小説や詩歌などの文学作品や、絵画などの美術作品、さまざまな楽曲を耳で聴く音楽など、それらを読んで、見て、聴いてどのように感じるかは個人の自由です。しかし、そうした作品に広く深く接してきた人...文学者による「金子みすゞ」鑑賞マニュアル―『金子みすゞと詩の王国』