chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
自主映画制作工房Stud!o Yunfat 映評のページ https://blog.goo.ne.jp/studioyunfat

ブロガーによる00年代の映画ベストテン発表! 37名の映画好きたちのベストをご覧あれ

自分の映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品徹底批評 バカ映画は笑い飛ばし、真面目映画は、何故?どうすれば?…と熱く語り抜く

スタジオゆんふぁ
フォロー
住所
塩尻市
出身
豊平区
ブログ村参加

2009/03/15

arrow_drop_down
  • アニメ 2024年4〜6月期見始め…

    フリーレンと薬屋ロスに襲われるかと思いきや、そんな暇もないほど次の曲が始まるのです。「ゆるキャンシーズン3」やったーまたナデシコに、リンに、チアキに、イヌコに、エナとちくわに、ベロ酔い先生に会えるぞ、とワクワクマックスで見始めたゆるキャン3だけど、あれあれ?監督が変わったぞ。え、なんで?と、少し不安になりつつも、本編が始まってみればいつものように何も大したことの起こらない相変わらずのゆるキャンぶりに安心シーズン2の終盤に出てきたなでしこの幼なじみの綾ちゃんがレギュラー化するのか?声は黒沢ともよさん。スキップ、メタリックルージュ、響けと何にでも出るね「烏は主を選ばない」いや、ほんと、原作も知らないし、前情報何もなく、和風ファンタジーだから(フリーレン、ダンジョン飯と洋風ファンタジーが続いたので)面白そう、観...アニメ2024年4〜6月期見始め…

  • アニメ2024_1〜3月期

    ちょいと書くの遅れたけど、2024年1〜3月期の印象的だったアニメについて『葬送のフリーレン』昨年10月期から続けての第二期。観ていくうちにどんどんハマっていく。ジャンプ漫画ならすぐにバトルが始まるのに、この作品はバトルになりそうになってもするりするりとかわしていく。フリーレンが伝説すぎるからか。それでも一級魔法使い試験編は、色んな個性的な魔法使いが入り乱れ楽しかった。デンケンさんの「男なら殴り合いじゃーッ!」は笑った。1期からオープニングは変わったがエンディングは変わらずmiletのAnytimeAnywhereで、「せめて、会いたいなんて言わないから、今日だけは思い出していいかな」のくだり聞くたびになんか知らんけど泣けてくる。そしてエヴァン・コールさんの劇伴音楽がほんと素晴らしく、サントラ予約してしま...アニメ2024_1〜3月期

  • サントラCD評 ジェームズ・ニュートン・ハワード『NIGHT AFTER NIGHT』

    思ってたより遥かに素晴らしいアルバム作曲家ジェームズ・ニュートン・ハワードが手がけたM・ナイト・シャマラン監督作品の音楽集。サントラそのままではなく、JNHが編曲し直し、オーケストラとコーラスに加えて、ジャン=イブ・ティボーデのピアノと、ヒラリー・ハーンのバイオリンが印象深くフィーチャーされている。特に原曲ではそこまで入らなかった、あるいは全く入らなかったピアノが全曲にわたって添えられて、まるでJNHのピアノ協奏曲の趣き。映画音楽としては「職人」的な仕事の多いJNHだが、彼は本当はこんな美しい曲を思う存分書きたい人なんだ。そしてJNHにそうした音楽の場を提供し続けてきた監督はM.ナイト・シャマランだけだった。ジェームズ・ニュートン・ハワードは90年代以降、ハリウッドのフロントラインを走る作曲家だ。誰もが知...サントラCD評ジェームズ・ニュートン・ハワード『NIGHTAFTERNIGHT』

  • ブロガー&SNS映画レビュアーの2010年代映画ベストテン_ TOP

    映画を愛する皆様、こんにちは2020年1月より当ブログで募集を開始した「ブロガー&SNS映画レビュアーによる10年代(2010~2019)の映画ベストテン。その集計が完了しました。企画には23名の方にご賛同いただきました。ブログやTwitterで映画批評、レビュー、感想、徒然と映画について10年間書き続けてきた方々、そしてシネフィルな若手映画監督や、映画のスタッフ、映画祭運営担当者などです。2010年から2019年にかけて公開された日本映画、外国映画それぞれのベストテン(投票作品数は日本映画115タイトル!外国映画158タイトル!!)、およびベスト監督とベスト男女優を選出しました。ちなみに・・・当ブログはアフィリエイトなどは行っていないので閲覧が増えても1円も入ってきません投稿してくださった方々も完全にノ...ブロガー&SNS映画レビュアーの2010年代映画ベストテン_TOP

  • 2023年映画ベストテン

    本当はアキ・カウリスマキ観てから書こうと思っていたのだけど、とりあえず現時点でのベストテン。2022年作品も混じってますが、まあ今年になって見た作品ということで-----1位『RRR』(S.S.ラージャマウリ)2位『TÁR/ター』(トッド・フィールド)3位『フェイブルマンズ』(スティーブン・スピルバーグ)4位『月』(石井裕也)5位『Yokosuka1953』(木川剛志)6位『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol3』(ジェームズ・ガン)7位『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(マーティン・スコセッシ)8位『ほかげ』(塚本晋也)9位『苦い涙』(フランソワ・オゾン)10位『君たちはどう生きるか』(宮崎駿)次点『特別編響け!ユーフォニアムアンサンブルコンテスト』(石原立也)その他印象的な作品『西部戦線異常な...2023年映画ベストテン

  • アニメ2023ベストテン!

    今年(2023)はずいぶんアニメをたくさん見てしまった。一年の締めくくりに今年見たアニメベスト10なんてのを発表してみようと思う。といってもリアタイで新作アニメチェックしてるわけではなく、主に配信での鑑賞なので2023年の新作アニメのベスト10ではなく、私が2023年に見たアニメのベスト10である。といってもあんま古いのは選外にして2022年以降の作品から選んでみた。あと劇場アニメも選外としている。では第10位からカウントダウン形式で…第10位『葬送のフリーレン』原作は未読。剣と魔法のファンタジー世界ものとしては世界観はオーソドックス。やはり面白いのは魔王を倒したところから物語が始まり、かつての冒険の仲間たちがみな年老いて亡くなっていく中で1人あの頃と変わらず若い見た目を保っている長寿族のエルフの冷めた眼...アニメ2023ベストテン!

  • アニメ感想「パリピ孔明」

    パリピ孔明のくせにスッゲー面白かった諸葛孔明が現代の渋谷に転生し、ある女性シンガーの軍師となって彼女をスターにしていく話。くっだらねーけどうける〜…なノリで見続けていたのだが、気がつくとガッツリハマっていた。パリピ孔明のくせに燃えて泣かせる。原作も読む。ストーリーはアニメと原作でほぼ同じだが…アニメの方が格段に面白い当たり前だが原作コミックからは音楽が聞こえてこない。この場面はすごく素敵な歌が聞こえているんだろうな、と想像しながら読むしかない。漫画としての演出不足かもしれない。だがアニメは実際に素敵な歌が、歌詞が、メロディが聞こえてくる。KABE太人と孔明のラップ対決も原作で吹き出しで読むのと、アニメで実際にラップで聴くのとでは感動も興奮も段違いだ。(KABEの声とラップは千葉翔さんで「青のオーケストラ」...アニメ感想「パリピ孔明」

  • 映像作品とクラシック音楽 第99回 ジョン・ウィリアムズ×サイトウキネンオーケストラ コンサート(東京サントリーホール2023.9.5) 後編

    23年9月5日サントリーホールでのジョン・ウィリアムズ来日コンサートのレポートの後編です。前半ステファン・ドゥネーブによるE.T.などで会場は相当温まっております。休憩を挟んで後半が始まります。オケのメンバーが席に着くとやはり緊張感が高まります。そして、ついに登場です。ジョン・ウィリアムズ!!中学のころようやく映画の面白さに気づかせてくれた多くの映画でしょっちゅうその名前を見たJohnWilliamsが、今目の前を、本物が歩いている!もっとも7年前にフィラデルフィアで見ているのですが、しかししかし我らがジャパンの地でまた姿を見る事ができるなんて!!会場は当然の総立ち、万雷の拍手!さすがに91歳、スタスタとは歩きません。おじいちゃんぽい歩き方です。指揮台の上り下りの際にはコンマスが介添えしておりました。そし...映像作品とクラシック音楽第99回ジョン・ウィリアムズ×サイトウキネンオーケストラコンサート(東京サントリーホール2023.9.5)後編

  • 映像作品とクラシック音楽 第98回 ジョン・ウィリアムズ×サイトウキネンオーケストラ コンサート(東京サントリーホール2023.9.5) 前編

    9月5日の東京のサントリーホールでのサイトウキネンオーケストラとジョン・ウィリアムズのコンサートに行ってまいりました。相当な倍率だったチケット抽選に運よく当たったのです。コンサートからだいぶ経ってしまいましたが、なんか感動の余韻が続いて言葉にするのをためらっていたのですが、思い出しながらコンサートの様子を書いてみたいと思います。9月5日。その3日前に長野県松本市で行われたセイジオザワ記念音楽祭の今年の目玉企画でもあり、それと同じプログラムとなります。松本には15年住んでいたこともあり、本当はそっちのコンサートに行きたかったのですが、そちらはチケット抽選に外れました。松本では演奏の後に小澤征爾さんが登壇しジョンがハグしたりと、とても感動的な場面があったそうです。コンサートは、前半をステファン・ドゥネーブが指...映像作品とクラシック音楽第98回ジョン・ウィリアムズ×サイトウキネンオーケストラコンサート(東京サントリーホール2023.9.5)前編

  • 映像作品とクラシック音楽 第97回 『モリコーネ 映画が恋した音楽家』

    久々投稿となります。今回は、劇場公開時に見逃してしまったエンニオ・モリコーネのドキュメンタリー映画を配信で鑑賞したのでそれについてです。モリコーネは、私の投稿だとジョン・ウィリアムズの次くらいによく取り上げる作曲家ですね。って、もうクラシックCD鑑賞部屋の投稿っぽく無いですね。本作はイタリアの作曲家で主に映画音楽の世界で活躍したエンニオ・モリコーネのドキュメンタリーで、生前のモリコーネへのインタビューを中心にまとめられたものです。モリコーネ本人だけでなく、モリコーネと関わった人たち、モリコーネをリスペクトする人たちへのインタビューも多く含んでいます。重要なのは本作の監督がジュゼッペ・トルナトーレというところですね。そうです、『ニューシネマパラダイス』の監督です。ぺーぺーのルーキーだったトルナトーレが、デビ...映像作品とクラシック音楽第97回『モリコーネ映画が恋した音楽家』

  • アニメの感想『リコリス・リコイル』

    日本は平和で治安の良い国で、殺人鬼やテロリストに襲われるなんてことは全然無い…というのは実は大嘘で日本は日夜テロリストどもに攻撃を受けているのだが、それをリコリスと呼ばれる特殊暗殺部隊が秘密裏に始末し襲われた痕跡を全て消していたのだ。リコリスは10代の女の子たちによって組織されたチームで(なんで?)、彼女らは戸籍がなく、多分基本的人権の対象外の存在だ。隊員は普段は女子高生風の制服に身を包み(なんで?)、鍛え抜かれた銃撃と格闘スキルと最先端技術を駆使して戦うのである。んで、そのリコリスの隊員であるタキナは、仲間を助けるため命令違反を犯してテロリストどもを皆殺しにしたことを咎められ、リコリス本部の華型部隊から閑職へと左遷される。新たな任務は喫茶リコリコの店員となって、喫茶リコリコが本部から時々請け負う仕事をす...アニメの感想『リコリス・リコイル』

  • アニメの感想『ハコヅメ 交番女子の逆襲』

    交番勤務の新人女性警官川合麻依は警察官のあまりの激務さと働けば働くほど市民に嫌われていくようなやりがいのなさにモチベだだ下がり。今日こそ辞めてやると辞表を書いて出勤したその日…ペア長が突然の交代になると告げられ、新しいペア長として美人で凄腕だが「部下へのパワハラ」で降格になったと噂される藤聖子が交番に転属してくる。スーパー婦警の藤と、ダメダメ警官の川合のコンビの愚痴まじりつつ治安を守る交番勤務の日々が描かれる。----電子版コミックで実は相当ハマっていた漫画で、アニメもあると最近知って一気見。そんでやっぱり面白い原作に極めて忠実なのは最近のアニメみんなそうだけど、ハコヅメは独特の語り口が魅力でありアニメに向いてないのでは?とも思っていた。なにしろアクション的な見せ場はほぼ無くて、ゆるめのトークが主体の原作...アニメの感想『ハコヅメ交番女子の逆襲』

  • 映像作品とクラシック音楽 第93回 『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』

    前回は絶賛放送中のアニメ『青のオーケストラ』について書きまして、ストーリーや映画的演出のうまさに心打たれるものがありつつも、アニメ表現としての物足りなさにフラストレーションが溜まるのも事実で…そうしていると、以前にも書いた『響け!ユーフォニアム』をまた観たくなりまして、未見のままだった、響けユーフォの劇場版にして、TVシリーズ第2シーズンの続きに相当する『誓いのフィナーレ』を観たのでした。…いやあ、京都アニメーションの技術力と表現力は本当にすごい。予算の差もあるのかもですが、明らかにそれだけの問題ではない凄さがありました。『青のオーケストラ』もこれと比べられたら可哀想です。格が違います。青オケで描く弦楽器と比べて、響けの管楽器の方がアニメ表現しやすい、というのはあるかもしれません。弦楽器は腕を大きく動かし...映像作品とクラシック音楽第93回『劇場版響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』

  • 『響け!ユーフォニアム 〜アンサンブルコンテスト〜』

    映像作品とクラシック音楽第96回『響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』いい歳したおっさんが女子高生吹奏楽青春アニメを公開初日から観に行ってしまうのです。好きだから良いじゃないですか。久美子たんに、麗奈様にまた会いたいんだもん!さて、本作はこないだ紹介しました「響け!」シリーズ劇場版第3作『誓いのフィナーレ』のラストの直後くらいからのスタートとなります。北宇治高2年の久美子が新部長に就任。3年の優子元部長や夏樹元副部長、それからスピンオフ映画で主役だった鎧塚みぞれセンパイと希美センパイらは、引退しております。副部長に塚本(久美子の元カレ)、そしてドラムメジャーには麗奈様が就任しています。そんな新体制の北宇治吹奏楽部での久美子の初仕事はと言うと、アンサンブルコンテストの代表選出をかけて、部内を3〜...『響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』

  • 『TÁR / ター』(映像作品とクラシック音楽 第94回)

    映画が始まると、非西洋的で、非東洋的(中国や日本では無さそうくらいの意味)な響きの少女の歌声がかかります。物語的にはリディア・ターとフランチェスカ(リディアの秘書)とクリスタ(後に重要な役割を果たす女性指揮者)らが民俗音楽の研究をしていたころ、南米奥地の部族の歌を収録したものだと言うことですが、そんなことよりオープニングシーンで気になって仕方ないことがありました。オープニングクレジットが、明らかにエンドクレジットなのです。普通はオープニングクレジットは、主要なスタッフとキャストだけを紹介するものですが、本作ではオープニングからその他大勢的な細々としたスタッフ名を流します。エンドクレジットなみの長さなので、結構な尺です。体感10分、実際には多分5〜6分の長ーいクレジットで映画が開幕します。これが昔のフィルム...『TÁR/ター』(映像作品とクラシック音楽第94回)

  • 怪物 [監督:是枝裕和]

    是枝裕和監督の『怪物』を観たのですが、なにやらモヤっとする映画でありました視点が変わることで一つの事件も見え方が全然違う…という是枝監督の一貫した姿勢を、今回さらに重層的に展開した脚本はうまいと思います…が…最後に種あかし的な展開が悪いわけではないのですが…『誰も知らない』や『万引き家族』は、あの子供たちや家族に「うらやましい」という感情を抱きました。そのうらやましさがあまりに大きな代償を伴うからこそ映画は痛みの記憶と共に深い余韻と社会性を得たように思います。けれども『怪物』を観て私が抱いた感情は、ただただ「かわいそう」でした。『誰も知らない』や『万引き家族』が、この電車はいつか行き止まりに着くと分かっていながら降りられなかった人たちの物語だとするなら、怪物は行き止まりに向けて加速のスロットルを上げてしま...怪物[監督:是枝裕和]

  • 狼 男たちの挽歌・最終章

    なんだか急にジョン・ウーを見たくなって、ソフトを持っていない幾つかの作品を配信で鑑賞。-----------【狼の映画史的な位置づけ】「狼・男たちの挽歌最終章」は、原題「喋血雙雄TheKiller」という。「男たちの挽歌」シリーズとは全然関係ないが、邦題で勝手にシリーズにされてしまった。まあ、スピルバーグの「続・激突!カージャック」とかセガールの「沈黙の~」とか邦題にはよくあることだ。英題の「TheKiller」は分かりやすいが、広東語題の「喋血雙雄」とは…漢文苦手なので間違っているかもしれないが、「喋血」が「血の海」、「雙」は「双」にあたり、血の海に立つ両雄…みたいな意味かな?ちなみに「喋血雙雄」は広東語としての文法的な意味とは少し別な意味もあって、高倉健主演・石井輝夫監督の「ならず者」の香港公開時のタ...狼男たちの挽歌・最終章

  • Yokosuka 1953[監督:木川剛志]一通のFacebookメッセージから始まる日米戦後史の闇

    鑑賞からだいぶ経ってしまい申し訳ありませんが木川剛志監督のドキュメンタリー映画『Yokosuka1953』の横須賀上映に行ってきましたのでその感想をあげます。一言で言って、最高に素晴らしい映画。未見の方、ぜひ見てください。RRRくらい強くオススメします。2017年の「第9回商店街映画祭ALWAYS松本の夕日」にてグランプリを受賞した『替わり目』の木川剛志監督による渾身のドキュメンタリー映画。キネマ旬報ベストテンの文化映画ベストテンで22位にランクインされた(2022年度)実はかれこれ観るのは2回目なのですが、大きい会場で観るのは初めて。今回、あの『Yokosuka1953』が、横須賀で上映されるというので、これは観たい!と思って片道2時間かけていってきました。統一地方選の真っ只中だったので、早速小泉進次郎...Yokosuka1953[監督:木川剛志]一通のFacebookメッセージから始まる日米戦後史の闇

  • ザ・ホエール [監督:ダーレン・アロノフスキー]

    かつて『ハムナプトラ』シリーズでイケメン冒険野郎として名を馳せた(ほどでもないか)ブレンダン・フレイザー。そういえばこないだのアカデミー賞で久しぶりに名を聞いた。冒険野郎といえばハリソン・フォードが80超えてなお失われた聖櫃のころとあまり体型が変わらずまだインディやろうってのに、ブレンダンはあの頃の女の子をキャーキャー言わせていた(のか?)頃の面影は見る影もなく、半分くらいはメイクアップとは言え別の意味でキャーキャー言わせそうな姿に変わってしまっていた。調べるとしばらく姿を見なかったこれまでの期間、なかなか大変だったらしく、セクハラにあったり、体調を崩したり、結婚が破綻したり、心もズタズタな生活だったそうである。そう思うと、今回のブレンダンの役も、ここ10数年の彼の生活と少しダブるところがある。そういえば...ザ・ホエール[監督:ダーレン・アロノフスキー]

  • 映像作品とクラシック音楽 第89回 ジョン・ウィリアムズ 松本コンサートの演目を予想する

    ジョン・ウィリアムズが10月に松本で行われるセイジ・オザワ松本フェスティバルで指揮棒を振ります。ついにこの日が来たか!生きててよかった!っていうかジョンさん元気すぎ!そこで今回は、松本でジョン・ウィリアムズ指揮でサイトウキネンオーケストラが演奏する曲目を予想してみるという不毛なことをやってみます。そこまでやってチケット取れなかったら恥ずかしいですね。------さて松本でのコンサート演目予想について参考にするのはプレスリリースの簡単な紹介文(スターウォーズとE.T.とハリーポッターはもう決定しているっぽい)あと最近の作品や、日本がらみの曲を演奏するだろう…という予想2016年のフィラデルフィアコンサート2020年ウィーンフィル2021年ベルリンフィルでの演目特に2016年フィラデルフィアは重要です。今回の...映像作品とクラシック音楽第89回ジョン・ウィリアムズ松本コンサートの演目を予想する

  • 映像作品とクラシック音楽 第88回 『リバーサルオーケストラ』最終回終わったのでまとめ感想

    日テレのドラマ『リバーサルオーケストラ』が最終回を迎えてだいぶ経ちました。演出、脚本には激しく文句を言いたいのですが、サントラも買っちゃったし、門脇麦さんの演技はやはり素晴らしかったし、いったい初音は誰が好きなんだ?!的な恋のゆくえを気にしたりと、なんだかんだで結構楽しんだ全10話でした。時代の波や社会の偏見と戦う的な深刻な話には全くせず、ごく普通で平凡な、つまりは身近な悩みにフォーカスして、クラシック音楽を題材にしながらおやつ感覚でライトに楽しめるドラマにしたことも良かったと思います。しかし、それでも言わせてもらうと、演出と脚本!もうすこしなんとかならんかったの!?さすがにそれは言わせてほしいというところをいくつかと、そんな中でも演出の良かった場面について思い出しながら書いてみたいと思います。なお最初に...映像作品とクラシック音楽第88回『リバーサルオーケストラ』最終回終わったのでまとめ感想

  • フェイブルマンズ 〜主にジョン・ウィリアムズの音楽について

    お疲れ様です。アカデミー賞は『エブリシングエブリウェアオールアットワンス(以下エブエブ)』の圧勝に終わりましたが、作品賞候補になっていたスピルバーグ作品も忘れてはいけません。エブエブで助演男優賞を受賞した、キーホイクワン君の映画デビューはスピルバーグ映画でした。スピルバーグの横に座る奥様のケイト・キャプショーはキー君のそのデビュー作での共演者でしたし、作品賞のプレゼンターがそのデビュー作の主演俳優のハリソンフォードなわけで、キーホイクワンのための受賞式に見えたわけです。そしてキー君のデビュー作で音楽を務めたジョン・ウィリアムズもまた今回アカデミー賞候補になっておりました。やっと彼らと肩を並べる位置にキー君が帰ってきましたが、みんなこの40年近く越えられない山であり続けキー君は己の力でその山に登ったのです。...フェイブルマンズ〜主にジョン・ウィリアムズの音楽について

  • アカデミー賞2023

    予想と結果の答え合わせ20部門中14部門的中…と言っても作品、脚色、主演男女、助演女優と主要どころを外したのでちっとも自慢になりません作品×トップガンマーヴェリック→エブエブ監督○ダニエルズ(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス以下エブエブ)脚本○エブエブ脚色×トップガンマーヴェリック→ウーマントーキング主女×ケイト・ブランシェット→ミシェル・ヨー主男×オースティン・バトラー→ブレンダン・フレイザー助女×アンジェラ・バセット→ジェイミー・リー・カーティス助男○キー・ホイ・クワン撮影○西部戦線異常なし編集○エブエブ作曲○西部戦線異常なし歌曲○RRR美術×バビロン→西部戦線異常なし衣装○ブラックパンサーワカンダフォーエバーメイク○ザ・ホエール視覚○アバターウェイオブウォーター音響○トップガンマー...アカデミー賞2023

  • ブレードランナーLIVE (2023/3/5渋谷bunkamuraオーチャードホールにて)

    私、生涯で一番好きな映画は?と問われると1秒の迷いもなく『ブレードランナー』と答えます。なにをどう贔屓目に見てもクラシック音楽と関係ない映画ですが、強いて言えば生演奏の演奏会であるところがクラシックっぽいと言えなくもないので、無理矢理は承知でここに書きます。目次●ブレードランナーLIVEの感想●蛇足1ブレードランナーサントラアルバム、ニューアメリカンオーケストラ版について●蛇足2ブレードランナー初心者のための公開バージョン解説-----ブレードランナーLIVEの感想----2023/3/5渋谷bunkamuraオーチャードホールにて『ブレード・ランナー』(リドリー・スコット監督、1982年作品…を再編集し1992年に「最終版」と銘打たれて公開されたバージョン…をさらに再編集し2007年に公開された「ファイ...ブレードランナーLIVE(2023/3/5渋谷bunkamuraオーチャードホールにて)

  • 映像作品とクラシック音楽 第84回 『戦艦ポチョムキン』ショスタコーヴィチ版

    #映像作品とクラシック音楽#ショスタコーヴィチ#エイゼンシュタイン皆様こんにちは今回取り上げるのは『戦艦ポチョムキン』です。あまり大きな声で言いたくないのですがコロナにかかっちゃいまして、1日寝てるだけなのも辛いもので暇つぶしに見たのが、DVDコレクション棚から10年以上ぶりに取り出した『戦艦ポチョムキン』でした。『戦艦ポチョムキン』は1925年のセルゲイ・エイゼンシュテイン監督のソ連映画です。社会主義プロパガンダ映画には違いないのですが、そうした思想性を凌駕する美しさと面白さがみなぎる映画史に残る傑作です。エイゼンシュテインは「モンタージュ理論」を実践するように本作を作りました。モンタージュとは語弊を恐れず大雑把に言えば「フィルム編集」のことです。映画にチョー詳しい奴からは違うだろって秒でツッこまれると...映像作品とクラシック音楽第84回『戦艦ポチョムキン』ショスタコーヴィチ版

  • 映像作品とクラシック音楽 第83回 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

    #映像作品とクラシック音楽#アルビノーニのアダージョ#マンチェスターバイザシークラシック音楽が印象的な映像作品についてうだうだ語るシリーズ、今回はケネス・ロナガン監督の2016年作品『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を取り上げます。アカデミー賞で作品賞他6部門にノミネートされ、脚本賞と主演のケイシー・アフレックが主演男優賞を受賞しました。ケイシー・アフレックはベン・アフレックの弟で、ベン・アフレックのマブダチのマット・デイモンが本作ではプロデューサーを務めています。タイトルの「マンチェスター・バイ・ザ・シー」とは舞台となる町の名前です。アメリカ北東部、マサチューセッツ州の町です。「海辺のマンチェスター」とでも訳したくなりますが、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の4単語が町の正式名称なので「バイ・ザ・シー...映像作品とクラシック音楽第83回『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

  • アカデミー賞予想2023

    毎年外しまくっていますが、外す原因はわかっています。過去のデータを元に○○賞候補になると受賞するとかしないとか分析すると外すのですだから今年は思いっきり逆張りで予想しようと思います作品トップガンマーヴェリック監督ダニエルズ(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス以下エブエブ)脚本エブエブ脚色トップガンマーヴェリック主女ケイト・ブランシェット主男オースティン・バトラー助女アンジェラ・バセット助男キー・ホイ・クワン撮影西部戦線異常なし編集エブエブ作曲西部戦線異常なし歌曲RRR美術バビロン衣装ブラックパンサーワカンダフォーエバーメイクザ・ホエール視覚アバターウェイオブウォーター音響トップガンマーヴェリックアニメピノッキオ長ドナワリヌイ国際西部戦線異常なし-----もはや監督賞と編集賞で候補になってな...アカデミー賞予想2023

  • 映像作品とクラシック音楽 第82回 『リバーサルオーケストラ 第一話』

    第一話物語…さいたまのとあるポンコツオーケストラの立て直しのため市長の息子でヨーロッパで活躍する指揮者の常盤朝陽が呼び戻される。あまりのオケのポンコツぶりにやる気を無くす朝陽だが、その市役所で働く地味な女性が実はかつて天才バイオリニストとして一世を風靡しつつも、突如楽界から姿を消した谷岡初音であることを知り、彼女をコンマスに迎えてオケを一流に叩き上げようとする。しかし初音は頑として演奏を拒むのだった…---------普段あまり連ドラを見ない私ですが、オーケストラネタであることと、「映像作品とクラシック音楽」のネタ作りのために観てみました(笑いや、それだけではないです主演の門脇麦さんが好きなのです自分自身とまったく違う人間になりきれるすごい女優です『さよなら、くちびる』という映画がありまして、インディーズ...映像作品とクラシック音楽第82回『リバーサルオーケストラ第一話』

  • 映像作品とクラシック音楽 第81回 『ブラック・スワン』〜「白鳥の湖」の狂気の舞台裏

    あけましておめでとうございます。100回目指してコツコツと今年も書き続けます。今回は2010年のダーレン・アロノフスキー監督作品『ブラック・スワン』です。物語はニューヨークのとあるバレエ団でプリマを目指すナタリー・ポートマン演じる若いバレエダンサーが、新解釈『白鳥の湖』のプリマに大抜擢されまして、しかし極度のプレッシャーと、白鳥と黒鳥の演じ分けで神経をすり減らしていき、狂気に支配されていく…というものです。ナタリー・ポートマンは『レオン』の女の子で男女問わずキャーキャー言われた少女時代でキャリアをスタートさせたアイドル女優でした。『スターウォーズ』新3部作で後のルークとレイアの母となるパドメ・アミダラに大抜擢され、愛するアナキンがダークサイドに堕ちていく事で心を病んでしまったパドメがちょいとだけダブってく...映像作品とクラシック音楽第81回『ブラック・スワン』〜「白鳥の湖」の狂気の舞台裏

  • 2022年の映画ベスト

    毎年恒例私の年間ベストベストテンなどと言えるほど鑑賞したわけではないのですが、配信鑑賞も含めてなんとか10本あげてみました。といってもこの時点でノーウェイホームもベルファストもシンウルトラマンもクライマッチョもベイビーブローカーもアバターも観てません。そんなんだからベスト映画を選ぶ権利なんてないのかもしれませんなお鑑賞タイミングの問題で2021年の作品も混ざってますが、まあご容赦ください1.コーダあいのうた2.ケイコ目を澄ませて3.パラレル・マザーズ4.トップガンマーヴェリック5.私たちの家族6.ドライブ・マイ・カー7.機動戦士ガンダムククルスドアンの島8.ウェストサイド・ストーリー9.パワー・オブ・ザ・ドッグ10.ベイビーわるきゅーれ-----10位ベイビーわるきゅーれ(監督:阪元祐吾)女の子にガチアク...2022年の映画ベスト

  • 湘南国際マラソン出走記 2022/12/4

    だいぶたってしまったが、湘南国際マラソンの出走記をつけておこうと思った2022年12月4日9時スタート湘南国際マラソンフルマラソンを出走湘南国際マラソンのエントリーは2回目。ただし前回はコロナのため中止となり、走ったのは今回が初めて松本マラソンや千葉アクアラインマラソンは「難コース」だったが、湘南国際マラソンは優しいコース海岸沿いの国道を大磯から江ノ島までまっすぐ走り、折り返す。起伏はほとんどなく、道も大体まっすぐ。晴れていたので海も富士山もよく見えて景色も素晴らしい。さらにランナーに優しいことに、グロスタイムでなくネットタイムを公式記録としてくれるので、自己ベスト更新狙いの人に良いだろうちなみにグロスタイムとは、スタートの号砲がなってからゴールするまでの時間。普通はこちらが大会公式記録となる。ネットタイ...湘南国際マラソン出走記2022/12/4

  • パラレル・マザーズ 〜アルモドバル円熟の力を駆使した社会派映画〜

    自分の中で気がつくと非常に大きな存在になっていたペドロ・アルモドバル。コロナ以来映画館から遠のいてしまったが、それでもアルモドバルだけは観たいという思いで東京に出向く。ちなみに今回初めて株主優待を使って映画観ました。東京テアトルの株持ってるのです。引っ越してから渋谷新宿が遠く…映画鑑賞のホームグランドは西新井か越谷レイクタウンのシネコンになってます。東京なら有楽町日比谷は行きやすく、今回はヒューマントラスト有楽町で鑑賞------アルモドバル映画の見た目の特長はVogueの写真みたいな「異様に」オシャレで綺麗な画である。ここで「異様」と言ったのが、アルモドバル映画の見た目以外の特長、主に脚本がキレイでオシャレしてる場合じゃないような気がするからだ。アルモドバル映画はやはり脚本が最大の魅力だと思っている。そ...パラレル・マザーズ〜アルモドバル円熟の力を駆使した社会派映画〜

  • ケイコ 目を澄ませて

    これはしみた自分の中では「コーダ」を超えて今年のベスト1級ってその並び…(にする自分のあざとさ)主人公に感情移入させる映画ではない。主人公は発生言語で喋れないことも相まって心情をほぼ語らない。人間なんて結局1人でしょ、という旨の彼女の台詞もある。我々は傍観者にならざるを得ない。頑張れと叫んでも彼女には聞こえない。しかし我々も目を澄ませ、彼女の気持ちを苦しさを理解した気になれる…が、痛みに耐え生き苦しさに耐え不安と恐怖と向き合う彼女の本当の勇気は想像するしかなく、きっと想像以上だろう。それでも多分戦い続けることを選んだケイコに、私たちは言葉でなく気持ちでエールを送る年末ギリギリに素晴らしい映画に出会えて、心からありがとうと思う良くも悪くも想像の域を出ないメジャーな大作にはない、チャレンジャー感覚特に日本映画...ケイコ目を澄ませて

  • 映像作品とクラシック音楽 第80回 『波止場』〜レナード・バーンスタイン唯一の映画音楽

    2回ほどスベリ覚悟でジョン・ウーの映画について書きました。そこから「鳩」つながりで『波止場』です。そういえば波止場の主人公は鳩飼ってましたっけ。ジョン・ウーがリメイクすればいいのに!というわけで今回はエリア・カザン監督の1954年作品『波止場』を取り上げます。(昭和で言うと29年、『七人の侍』『二十四の瞳』『ゴジラ』の年ですね)アカデミー賞で作品賞を受賞し、マーロン・ブランドがアカデミー賞主演男優賞に輝いた、名作として認知されている作品ですが、クラシック音楽ファンにとってはもう一つ重要な要素のある作品です。レナード・バーンスタインが唯一手がけた映画音楽こそ『波止場』のサントラとなります。あれ?唯一って『ウェストサイド物語』は?って思うかもしれませんが、あれはブロードウェイ版のバーンスタインのスコアを使った...映像作品とクラシック音楽第80回『波止場』〜レナード・バーンスタイン唯一の映画音楽

  • 映像作品とクラシック音楽 第79回 クラシック音楽でふりかえるジョン・ウー映画史(ハリウッド以降編)

    前回に続けてクラシック音楽を軸にジョン・ウー監督の映画史を振り返ります。誰も興味を持たないかもしれませんが、あえて空気を読まずに続けます【クラシック音楽的ジョン・ウー映画史ハリウッド編「カルミナブラーナ」っぽい曲/『ミッションインポッシブル2』】イギリスがアヘン戦争で中国から99年間の期限付きで分捕った香港ですが、その期限切れが迫ってきた90年代。この時期、香港で自由な映画作りを謳歌してきた映画人たちがこぞってハリウッドに活動拠点を移していた印象があります。ジョン・ウーも然りでした。彼の80年代のガンアクション映画が中国共産党に好まれるわけないような気がするので、彼の判断は間違いではなかったと思います。が、しかし、ハリウッドの、予算は100倍でも色々とがんじがらめな映画作りのシステムがジョン・ウーにあって...映像作品とクラシック音楽第79回クラシック音楽でふりかえるジョン・ウー映画史(ハリウッド以降編)

  • 映像作品とクラシック音楽 第78回 クラシック音楽でふりかえるジョン・ウー映画史(香港編)

    前回の小津安二郎につづいて、クラシック音楽とからめて語るのが難しそうな映画作家を、無理矢理からめて書くシリーズです。私は好きな映画5つあげろと言われたらほとんど迷いなくスラスラと言えるのですが、好きな映画監督5人あげろと言われると迷ってしまいます。まあでも5人の中には結局入れるんだろうな…って1人が香港のジョン・ウー監督になります。今回はジョン・ウー映画で聞こえてきたクラシック音楽を思い出しながら、ジョン・ウー監督の映画史を振り返ってみたいと思います。無理があるのはわかっているのですが、たまには趣味性全開で書かせてください(って、いっつもじゃねーかって?)------ジョン・ウー(呉宇森)は主に香港で後にハリウッドでも活躍した映画監督です。スローモーションで二丁拳銃で鳩飛ばす監督と思えばだいたいあってます...映像作品とクラシック音楽第78回クラシック音楽でふりかえるジョン・ウー映画史(香港編)

  • 映像作品とクラシック音楽 第77回 『秋日和』~小津安二郎映画からかすかに聞こえるモーツァルト

    前回の『レイジングブル』で微妙に小津映画に言及しました。もう一度書くと、『東京物語』のメインテーマが、マスカーニのカバレリアルスティカーナ間奏曲に似ている、というそれだけのことでしたが。その流れで小津映画におけるクラシック音楽について書いてみたくなりました…といったものの小津映画ほどクラシック音楽が似合わない作品もない気がしないでもありません。なんてったって、行きつけのバーで「おかみ、例のあれかけてよ」なんて言ってママさんが軍艦マーチのレコードかけるような世界です。笠智衆が娘の原節子を連れて能楽を鑑賞しに行ったり、笠智衆が同窓会で楠木公の辞世の詩吟をうたったりする世界です。そもそもがドラマチック性を極限まで排したような音楽設計がされるのが小津映画で(『お早う』みたいな例外もありますが)、クラシックに限らず...映像作品とクラシック音楽第77回『秋日和』~小津安二郎映画からかすかに聞こえるモーツァルト

  • 2022松本マラソン記

    11/13の松本マラソンのために、久々に松本へ松本マラソンは2017年の第一回に出場。松本マラソンにはその後も2度ほどエントリーしたが、ひとつは台風で中止に、もう一つはコロナで中止になった第一回松本マラソンの完走タイムは4時間15分。今回もそれくらいのタイムを目指す。マラソンで4時間以内で走ることを「サブ4」と呼ぶ。サブ4達成には平均5分30秒/キロで走る必要がある。あれ?240分÷42.195=5.69でしょ、だから5分40秒/キロでいいんじゃないの?…と思うかもしれないが、違うのである。マラソンには「グロスタイム」と「ネットタイム」という二つのレコードがある。ネットタイムはスタートラインからゴールまでの時間グロスタイムは号砲からゴールまでの時間公式記録となるのはグロスタイムの方であるだから参加人数の多...2022松本マラソン記

  • 映像作品とクラシック音楽 第76回 『レイジング・ブル』〜マスカーニの楽曲が心に沁みる〜

    今回はマスカーニの楽曲が印象的に使われる1980年のマーティン・スコセッシ監督作品『レイジング・ブル』を取り上げます。『レイジング・ブル』は実在のボクサージェイク・ラモッタの半生を描いた映画です。スコセッシの代表作、さらには80年代アメリカ映画の代表作とまで言われる作品です。AFI(アメリカンフィルムインスティテュート)の歴代アメリカ映画ベスト100(2007年版)では第4位に選出されています。ちなみに123は市民ケーン、ゴッドファーザー、カサブランカです。ちなみのちなみに『タクシードライバー』は52位、『グッドフェローズ』は92位でした。さておき、『レイジング・ブル』と言えばデ・ニーロです。本作の演技でアカデミー賞で主演男優賞を受賞しましたが、今見ても『レイジング・ブル』のデ・ニーロの演技は上手いとか凄...映像作品とクラシック音楽第76回『レイジング・ブル』〜マスカーニの楽曲が心に沁みる〜

  • 映像作品とクラシック音楽 第75回 エンニオ・モリコーネ オフィシャル・コンサート・セレブレーション

    11/5東京国際フォーラムにて行われた「エンニオ・モリコーネオフィシャル・コンサート・セレブレーション」に行って参りました。その圧巻・感動のコンサートの鑑賞記録であります。エンニオ・モリコーネは言わずと知れたイタリアの作曲家で、主に映画音楽で活躍した方です。2020年に亡くなりました。このコンサートはエンニオの息子のアンドレア・モリコーネが指揮し、モリコーネ音楽を支えたミュージシャンやスタッフと、東京フィルハーモニー交響楽団が、エンニオ・モリコーネの代表曲の数々を演奏します。アンドレア・モリコーネですが、単にエンニオの息子だからというだけでの登場ではなく、長年父を支えてきた方でもあります。エンニオ・モリコーネの代表作のひとつ映画『ニュー・シネマ・パラダイス』のサントラの、その中でも特に人気の高い曲に「愛の...映像作品とクラシック音楽第75回エンニオ・モリコーネオフィシャル・コンサート・セレブレーション

  • 映像作品とクラシック音楽 第74回 『銀河英雄伝説』後編 〜宇宙に響くベートーベン!ドボルザーク!〜

    クラシック音楽の印象的な映像作品を紹介するこのシリーズ。前回に引き続き80~90年代のSFアニメ『銀河英雄伝説』を取り上げます。はるか未来、銀河全域に進出した人類は、銀河帝国と自由惑星同盟がほぼ勢力拮抗状態で銀河を二分していました。その二つの勢力を経済力で影から支配するフェザーン自治政府もからんで、銀河の覇権をかけた戦争が行われけております。銀河帝国のラインハルト・ローエングラムは若くして帝国の艦隊司令にまで上り詰めましたが、内心では皇帝を倒して帝国を我が物にしようという野心を燃やしております。戦争の天才とも評されるラインハルトが唯一恐れるのが、自由惑星同盟で若くして提督にまで昇進したヤン・ウェンリーであります。彼は野心はまるでなく、戦争を嫌っていますが、同時に戦術にかけてはラインハルトも一目置くような天...映像作品とクラシック音楽第74回『銀河英雄伝説』後編〜宇宙に響くベートーベン!ドボルザーク!〜

  • 映像作品とクラシック音楽 第73回 『銀河英雄伝説』前編 〜宇宙に響くマーラー〜

    マーラーが印象深い映像作品を紹介しようと思いまして、『ベニスに死す』はもう書いたし…となればこれでしょう!『銀河英雄伝説』です80年代末から90年代にかけて制作されたアニメ番組です。はるか未来、銀河帝国と自由惑星同盟の戦争で、野望に燃える帝国軍人ラインハルトと、惑星同盟の戦争嫌いの天才軍略家ヤン・ウェンリーの2人を主軸に描くSF作品です。スターウォーズの例もあるように宇宙とシンフォニーは親和性高いのですが、この作品ほどクラシック音楽を、特にマーラーをこれでもかと効果的に使った映像作品は他にありません。なにしろ第一話の冒頭から、マーラー交響曲3番の第一楽章のあのホルンの力強い冒頭部が高らかに鳴るのです。クラシック音楽ファンは、おいおいいったい何が始まるんだ!?とツカミバッチリです。マーラー3番が流れる中、簡...映像作品とクラシック音楽第73回『銀河英雄伝説』前編〜宇宙に響くマーラー〜

  • 映像作品とクラシック音楽 第72回『ライムライト』とチャップリンの音楽

    今回はチャップリンを取り上げますクラシック音楽とチャップリンと言えば、だれもが『独裁者』のハンガリー舞曲の床屋のシーンを思い浮かべると思いますが、ここではクラシック音楽ではないですが『ライムライト』を取り上げますチャップリンは生涯で3回アカデミー賞を受賞していますが、いわゆる主要部門、つまり作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞は一度も受賞していません。3回のうち2回は「名誉賞」で、あと一回が実は「作曲賞」になります。作曲賞は1973年に『ライムライト』の音楽に対して授与されました。ところが『ライムライト』の初公開はロンドンで1952年でした20年もたってからの受賞理由はといえば、ロサンゼルスで『ライムライト』が初公開されたのが20年もたってからの1972年だったからです。じゃあなんで初公開まで20年かかった...映像作品とクラシック音楽第72回『ライムライト』とチャップリンの音楽

  • 『トップガン マーヴェリック』〜作家性を打ち消してきた「トム映画」というジャンル

    トップガン・マーヴェリックについて連投しちゃう------そういえば大スターには2種類がある作家性を重視するスターと、作家性を求めないスターだスタローンとシュワルツェネッガーを比べてみようシュワルツェネッガーは自分を売り込むために強い作家性を持つ監督と組むことを望んだ。ジェームズ・キャメロン、ポール・ヴァーホーベン、ウォルター・ヒル、アイバン・ライトマン…対してスタローンは彼の映画で監督が注目されることはあまりない。スターになった後だとレニー・ハーリンくらいで、多くの映画は監督など誰でも良いような映画だった。トム・クルーズを考えた時、彼はシュワルツェネッガーのように作家性を追い求めた時期を経て、スタローンのように作家性を求めないスターになっていった気がする。しかしトムは誰と組もうとも彼の映画はトム映画だっ...『トップガンマーヴェリック』〜作家性を打ち消してきた「トム映画」というジャンル

  • トップガン・マーヴェリック その1…ネタバレ物語沿い所感

    観賞からだいぶたってしまいましたが、やっぱりこの映画の映評は書いておかねばなるまい…と思い書きますトップガンマーベリックといっても、もうこんな時期だし、観た人向けネタバレ全開で、批評なんてもんではなく物語に沿った副音声解説っぽく…------映画が始まりますビデオで何十回と見た『トップガン』のオープニングと同じ曲が聞こえてきます。サントラでは「トップガン・アンセム(トップガン讃歌)」という曲名で収録されているインストナンバーの、エレキギターを抜いたバージョンです。ドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマープロダクションと表示されます。このプロダクション名は前作と同じです。しかしドン・シンプソン氏は90年代に亡くなっています。もちろんこれは当時の相棒だったジェリー・ブラッカイマーの、そしてトムクルーズからの...トップガン・マーヴェリックその1…ネタバレ物語沿い所感

  • 映像作品とクラシック音楽 第71回 『羅生門』『七人の侍』でお馴染み早坂文雄の現代音楽CD「早坂文雄 作品集」

    ここ何回か伊福部昭の音楽について書いてきたので、伊福部昭の親友でライバルだった早坂文雄について書いてみたくなりました。タイトルを現代音楽としましたが、早坂文雄が亡くなったのは1955年。ストラビンスキーやショスタコーヴィチより前に亡くなった方の音楽をクラシック扱いしないのも変ですかね早坂文雄の純音楽作品を集めたCD「早坂文雄作品集」を紹介しつつ早坂文雄について書いてみます。------早坂文雄(1914-1955)は、映画音楽の世界においては黒澤明作品や溝口健二作品を彩った作曲家として、映画史に名を刻んでいます。特に黒澤明の『羅生門(1950)』や『七人の侍(1954)』、溝口健二の『雨月物語(1953)』や『山椒大夫(1954)』などが代表作になります。日本映画を世界に広めた立役者の一人と言っても言い過...映像作品とクラシック音楽第71回『羅生門』『七人の侍』でお馴染み早坂文雄の現代音楽CD「早坂文雄作品集」

  • 映像作品とクラシック音楽 第70回 「伊福部昭 SF交響ファンタジー第3番」 〜もしかして思想性の強い曲?〜

    前回伊福部昭SF交響ファンタジー第2番を紹介したのに続きまして、今回は第3番の紹介です。こちらも第1番、第2番とともに1983年に初演されました。------冒頭、不安げなフルートの弱い音から始まり突如として伊福部節とでも言うような大迫力の演奏が割り込んできます。『怪獣総進撃』のオープニング、東宝マークからタイトルの流れの短い曲です。映画だとこの後有名な怪獣総進撃マーチに続くのですが、マーチ部は第1番で散々やったのでここではありません。オープニングに続けて今度はティンパニがドンドコドンと景気良く、リズミカルに叩かれます。バーバリズムというよりこれはメカニズムと言ってもいい雰囲気で、巨大なメカが動く様を表現した曲です。『キングコングの逆襲』よりメカニコングのテーマです。メカコングではありません。メカニックコ...映像作品とクラシック音楽第70回「伊福部昭SF交響ファンタジー第3番」〜もしかして思想性の強い曲?〜

  • 映像作品とクラシック音楽 第69回『ラスト・キャッスル』のテーマ曲と9.11

    伊福部昭SF交響ファンタジー第3番について書く予定でしたが、ふとカレンダーを見ると9/11だったので、予定を変えて…------9.11から21年リンクは映画『ラスト・キャッスル』(2001年、ロッド・ルーリー監督、ロバート・レッドフォード主演)のためにジェリー・ゴールドスミスが作曲したテーマ曲ですが、曲名が「September11th,2001」となっています。ラストキャッスルは別に9.11を描いた映画ではありません。この曲名には二つの理由があり、一つは作曲されたのがまさにあの日、2001年9月11日だったからというもの。出来すぎな話な気もしますが、実際『ラスト・キャッスル』の録音が行われたのは9月の初旬から20日ごろにかけてで、あながち嘘とか盛ったりとかってわけでもありません。もう一つは本作の作曲中に...映像作品とクラシック音楽第69回『ラスト・キャッスル』のテーマ曲と9.11

  • 映像作品とクラシック音楽 第68回 伊福部昭SF交響ファンタジー第2番

    伊福部昭によるSF交響ファンタジー第1番〜第3番は1983年に初演されました。このうち第1番は(このシリーズの第40回でも書きましたが)、序盤に有名なゴジラのテーマが流れることもあり、一番人気があり演奏機会も非常に多い作品です。しかしながら第2番と第3番については、なかなか単品で演奏されることはなく、なんならその存在すら知らない人も多いように思われます。クラシック音楽ファンで伊福部ファンで映画音楽ファンで怪獣ファンな私としましては、1番に比べてあまり有名でない2番3番を紹介する使命があるように思いましたので、書いてみたいと思います。------「伊福部昭SF交響ファンタジー第2番」演奏時間は初演の演奏タイムをもとにするとSF交響ファンタジー中最も長く16分くらいです。10曲程度の特撮映画の楽曲を組曲風に並...映像作品とクラシック音楽第68回伊福部昭SF交響ファンタジー第2番

  • 映像作品とクラシック音楽 第67回 『スローターハウス5 』〜「音楽 グレン・グールド」と表記される映画

    今回はジョージ・ロイ・ヒル監督の1972年のちょっと変わったSF映画『スローターハウス5』を紹介します。別に「スローターハウス」シリーズのパート5というわけではありません。スローターハウス、訳すと屠殺場で、「第5屠殺場」という施設の名前です。ドイツ軍の捕虜になった主人公が送られた収容所の通称であり、また凄惨な空襲にあったドレスデンのメタファーでもあります。ジョージ・ロイ・ヒルは大好きな監督です。アメリカンニューシネマ組の中では一番好きです(スコセッシやスピルバーグはニューシネマじゃないのか?問題はありますが)ニューシネマの代表作とされる『明日に向かって撃て!』や、アカデミー賞受賞した『スティング』、ほかに『ガープの世界』『リトルドラマーガール』など数々の傑作を放ってきた監督です。その彼の『明日に向かって撃...映像作品とクラシック音楽第67回『スローターハウス5』〜「音楽グレン・グールド」と表記される映画

  • 映像作品とクラシック音楽 第66回 もう一度『2001年宇宙の旅』~ハチャトゥリアンの「ガイーヌのアダージョ」~

    お久しぶりですクラシック音楽と映像作品シリーズ、前回投稿から1ヶ月も経ってしまいました。じつはその間に新しい住人として猫2匹が加わりまして、まあドタバタしていたわけです。久しぶりの投稿は、このシリーズの第一回で書いた『2001年宇宙の旅』についての2回目の投稿となります。前回は、主にアレックス・ノースの幻のオリジナルスコアについて書きました。また2001と言えば、ツァラやドナウが有名なわけですが、それらについての投稿でもありません。映画の第三章の冒頭部にかかるハチャトゥリアン作曲のバレエ「ガイーヌ」より「ガイーヌのアダージョ」についてです。ガイーヌのかかるシーンとそこまでの展開をざっくり紹介しますと-----------まず壮大なツァラの冒頭部がかかってタイトル猿たちがうっきうっきと水場の取り合いをしてい...映像作品とクラシック音楽第66回もう一度『2001年宇宙の旅』~ハチャトゥリアンの「ガイーヌのアダージョ」~

  • 『機動戦士ガンダム ククルスドアンの島』 ~ 思想性から非情さへの変遷

    ガンダムの映画を劇場で観たのは実はこれがたったの3回目。『めぐりあい宇宙』を小学のころ、『逆襲のシャア』を高校のころにそれぞれリアルタイムで観ているそれ以外のガンダム映画は、すべてテレビかレンタルで観た。『ガンダム』と『哀戦士』の時は小学低学年だったし、『F91』のころはガンダムへの興味が薄れていたし、『Z』3部作は単純にあまり見る気がしなかった。Zは後に配信で観たが、新たに書きおろされた絵がひどかったり、ラストの改変もひどかったし、あまりいいところのない作品だった。『F91』は後年になって見てみると結構面白かった。『閃光のハサウェイ』は、最近WOWOWで観て、画は綺麗で演出もかっけーけど、あんまりおもしろくなかった…さておき、今回なんでわざわざ劇場で観たのかと言えば、やっぱりファーストガンダムが好きだか...『機動戦士ガンダムククルスドアンの島』~思想性から非情さへの変遷

  • 参院選2022の個人的な所感

    今回の選挙結果は衆参ともに憲法改正(改悪)派が3分の2を占める結果となり、憲法改悪を阻止したかった私としては極めて不愉快な結果となりました。投票率はわずか52%とのことで、我が国の根幹たる憲法が改正されようとしているのに国民の半分は投票を放棄しました。なんでもどうぞ反対しません、とした国民の半分にも責任はあると思います。自民や維新が支持された以上に我が国の問題を表しているのはN党がまたも議席を取り、政党要件を満たす2%の得票率を取ってしまったことです。市議会議員を辞職して別の市で立候補する理由がそっちの方が議員報酬が高いからだったり、居住実態が無くて当選無効になった党員に党首自らがどうしてもっと上手く偽装しないんだと叱責する映像を党公式youtubeにアップしたりする、なんというか遵法意識などまるでなく、...参院選2022の個人的な所感

  • 西日本豪雨から4年…改めて客観的事実を記します

    西日本豪雨から4年改めて客観的事実を記します西日本豪雨→7月5日から8日にかけて梅雨前線が西日本付近に停滞し豪雨により大きな被害をもたらした----気象庁は7月5日午後2時に東京と大阪で緊急会見を開いて警告広島県7月5日17時15分災害対策本部設置7月5日夜に自民党有志で宴会。出席者には安倍晋三、岸田文雄などのちにコロナ担当大臣となる西村康稔がツイートで実況《会場では、首相の地元・山口の地酒「獺祭(だっさい)」と岸田氏の地元・広島の地酒「賀茂鶴」が振る舞われ、出席者からは「どっちを飲むんだ」などと意味深長な声も出た。》《地元秘書から、地元明石淡路の雨は、山を越えたとの報告を受けました。秘書、秘書官と随時連絡を取り合いながらの会でした》7月6日広島岡山鳥取に大雨特別警報7月6日、広島市安芸区で濁流に家々がの...西日本豪雨から4年…改めて客観的事実を記します

  • 映像作品とクラシック音楽 第65回 武満徹の『乱』

    今回の映像作品とクラシック音楽ですが、念願だった黒澤明監督『乱』のサントラ(音楽:武満徹)を入手したので、そのレビューをしたいと思います。『乱』の音楽についてはこのシリーズの第10回でも少しばかり書きました映像作品とクラシック音楽第十回黒澤明監督作品・後編〜『乱』『夢』『まあだだよ』-自主映画制作工房Stud!oYunfat改めALIQOUIfilm映評のページ映像作品とクラシック音楽第十回黒澤明監督作品・後編〜『乱』『夢』『まあだだよ』クラシック音楽好きのインディーズ映画監督の齋藤新です。今回は連続3回となってしまった...gooblog重なる部分もありますが、ご容赦くださいませ。さて『乱』の音楽ですが、サントラで改めて聞くとやはり映画音楽としてはこれが武満徹の最高傑作だという思いを新たにするのです。し...映像作品とクラシック音楽第65回武満徹の『乱』

  • 「自民党の改憲草案の通りに憲法が変わったら日本ヤバい」の件

    ----「憲法改正」について話題になる時、右も左も9条についてばかり語るような気がします。もちろん大きな争点には違いないのですが、自民党の改憲草案は9条だけ変えようとしているわけではありません。自民党改憲案を読むと9条改憲よりもはるかに問題のあることがあちこちに書かれています。むしろ9条改憲は、もっと危険なことを隠すための目くらましではないのかと思うくらいです。ヤバいことはたくさん書かれていますが、特にヤバいと感じることを列挙します。99条36条21条24条への追記97条の削除新設98条--------【99条の改憲でどうなる】現在の憲法・国民が国を暴走させないためにある自民党草案の憲法・国が国民に対して命令するためにある憲法とは…という根本的なところを変えるもっとも危険な案です--------【36条の...「自民党の改憲草案の通りに憲法が変わったら日本ヤバい」の件

  • 『ゴジラVSキングギドラ』

    久しぶりに見る公開時に劇場で観たたしか12月公開で、大学受験前の最後の模試の日で、模試があるの忘れていて、あ、模試だったと思って、現実逃避で映画館に行ったその当時はなんだろこの映画…と思ったが、それは見返しても基本的には変わらない。けれども日本とは?祖国とは?について真剣に考えた映画として少し感動できる。かつて戦場でゴジラに助けられた男が、巨大企業グループの会長として日本を経済発展させ、やがては世界を経済で支配する運命にある。それがタイムトラベルにより世界線が強制変更されると、潔く自分の人生を終わらせることを選ぶ。この男を演じているのが、黒澤映画ファンにはお馴染みにして、怪獣映画ファンとしてもガス人間第一号だったりX星人の司令官だったりで有名な土屋嘉男であるということも重要だ。X星人の司令官として特撮史に...『ゴジラVSキングギドラ』

  • 銀河漂流バイファムについて

    https://youtube.com/watch?v=n1OC5A6KzzQいまサンライズの公式YouTubeで「銀河漂流バイファム」を配信中で、これがめっちゃ面白い。宇宙開拓を進めていた人類がある日、突如異星人の軍隊から攻撃を受ける。ジェイナス号はわずかの軍人と民間人の大人たちそして13人の少年少女を乗せて宇宙基地から脱出。しかし、軍人や大人たちは異星人の攻撃で次々と亡くなり、少年少女だけが残るのである。比較的ガンダムに似た状況。しかしガンダムはブライトが19歳で、レギュラーキャラの中で比較的年下のアムロは15歳だったが、バイファムの場合主人公のロディは14歳でしかも少年少女の中では比較的年上の方。10歳前後の子たちが、謎の異星人の軍隊と戦うのだ。勝てるわけないじゃんという絶望の中、少年少女は力を合わ...銀河漂流バイファムについて

  • 選挙が近いので政治ネタです。参政党って?

    選挙が近いので政治ネタですと言ってもいつもの自民批判ではありませんw今度の参院選で大きな話題になりそうなのは自民でも維新でもなく、どうも「参政党」なるミニ政党のようだ。今回はいわゆる「左派勢力」は軒並み議席を減らしそうだ。立憲も共産も、れいわは良くて2議席下手するとゼロ、社民に至っては存続の危機。だからってウヨった党に行くかというとどうだろう?維新や国民への風はあまり感じない。自公は普通に過半数取るだろうけど(腹立つが)そんな中で不気味に支持を広げているのが参政党なのだ。候補者の1人にホンマデッカTVの武田先生がいることから、わかる人は察すると思うが、まあ「そういう政党」のようだ。しかし、この党の公式HPや公式Twitterみても、ところどころヤバめなキーワードは見え隠れするものの、全体的にフワッとしたこ...選挙が近いので政治ネタです。参政党って?

  • 映像作品とクラシック音楽 第64回 アルバム「ジョン・ウィリアムズ バイオリン協奏曲第2番とフィルムテーマ曲」

    映像作品とクラシック音楽と言いつつ、純然たる現代音楽のCDレビューです。私、これまでバレないように細心の注意を払って文を書いてきましたが実はジョン・ウィリアムズが大好きでして、90歳になろうかという巨匠が映画と関係ない曲を書くと言うので、遺言みたいなもんだろうと思いリリースされたCDを買って聴いてみることにしたわけです。バイオリンはアンネ=ゾフィー・ムターさんで、アルバムでウィリアムズとコラボするのはウィーンフィルライブを合わせて3回目ですか?しかもこれまでは過去の自身の映画音楽をバイオリン独奏付きに編曲していたものだったのですが、今回は映画と関係ない純音楽としての新曲となるわけです。アンネ=ゾフィーのために作った曲なわけです。こいつはいよいよ本格的に惚れたな…と思ってしまいます。(不勉強なんですがもしか...映像作品とクラシック音楽第64回アルバム「ジョン・ウィリアムズバイオリン協奏曲第2番とフィルムテーマ曲」

  • 映像作品とクラシック音楽 第63回 R.I.P.ヴァンゲリス

    またまたクラシック音楽と関係ない投稿で申し訳ありませんが…ヴァンゲリスが亡くなるという衝撃的なニュースを朝に聴き、大きすぎる喪失感に囚われています。中学の頃、札幌すすきのの小さな映画館ジャブ70ホールで『ブレードランナー』を鑑賞し、終わると夜で映画館を出るとすすきののネオンが私の前に広がり、脳内には勝手に今観た映画の音楽が、正確にいうと音楽っぽい電子音が再生されました。あの日以来、私の愛する作曲家の1人です。何曲か現代音楽の巨匠でシンセサイザーの魔術師ヴァンゲリスの曲を紹介したいと思います-------あの『ブレードランナー』というよく考えなくてもアラもツッコミどころもありまくりな作品がこれほど名作然としているのは、ルトガーハウアーの人外級の存在感とともに、ヴァンゲリスのあまりに美しい音楽があるからこそだと思い...映像作品とクラシック音楽第63回R.I.P.ヴァンゲリス

  • 映像作品とクラシック音楽 第62回 『切腹』〜武満徹ノベンバーステップスへの最初のステップ

    作曲家武満徹のことを書こうと思ったのですが、私の得意分野で映画音楽の話で。武満徹は日本を代表する純音楽作家でありますが、同時に映画音楽でも数々の功績を残しております。映画音楽で有名なのは黒澤明監督の『乱』(1985)ですが、それよりもっと前の60年代〜70年代に武満徹は小林正樹監督と沢山の映画で組んでいます。ちなみに『乱』の音楽については過去記事のこちらも参照ください↓------映像作品とクラシック音楽第10回黒澤明監督作品・後編〜『乱』『夢』『まあだだよ』https://www.facebook.com/groups/201906550851117/permalink/476762943365475/-------『切腹』は小林正樹監督の1962年の作品です。さらに小林正樹監督とは65年に『怪談』、67年に...映像作品とクラシック音楽第62回『切腹』〜武満徹ノベンバーステップスへの最初のステップ

  • キッズ・オールライト (2010年作品、レインボーマリッジフィルムフェスティバル2022にて鑑賞)

    婚姻の平等をテーマにした映画祭、レインボーマリッジフィルムフェスティバル2022にて上映された2010年のアメリカ映画アネット・べニングとジュリアン・ムーアが結婚し精子提供で子供を産んだレズビアンのカップルを演じ、マーク・ラファロが精子提供者を演じるアネット・べニングが本作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたが、この年は『ブラックスワン』のナタリー・ポートマンが本命といった感じでアカデミー賞も番狂わせなくナタリーが受賞した。監督のリサ・チョロデンコは、自身も同性パートナーと暮らし、精子提供で出産したのだという。精子提供を受けて2人の子供を産んだレズビアンのカップル、ニックとジュールスの家庭。その娘ジョニが18になり、精子提供者との接触が(当事者同士が望めば)可能となったため、両親に黙って弟レイザーと会いに...キッズ・オールライト(2010年作品、レインボーマリッジフィルムフェスティバル2022にて鑑賞)

  • レインボーマリッジフィルムフェスティバル2022

    5/7なかのZEROにて婚姻の平等をテーマにした映画祭、レインボーマリッジフィルムフェスティバルに行ってきた90年代以降の海外の同性婚をテーマにした作品数本と、そして婚姻の平等をテーマに公募した短編作品のコンペを行う。コンペでは全国から20程度の作品が集まり、入選5作品を上映。入選作は全てとても面白く、考えさせられたり、単純に感動したりと、とても充実したプログラムだった以下に、短編コンペ入選5作の私の感想を書きます『夫=夫』(山後勝英)結婚したゲイのカップルの、新婚のころの回想と、年老いてからの別れを描く、シンプルなストーリー一見すると特別強いメッセージ性はないように見えるが、実は強い社会性を持つ。彼らはごく平凡にうれしがったり悲しんだりするごくごく平凡な人たちで、その平凡さを特別なものと見てしまう私たちの考え...レインボーマリッジフィルムフェスティバル2022

  • 映像作品とクラシック音楽 第61回 『ソーシャルネットワーク』と異種対決ナイン・インチ・ネイルズVSヘルベルト・フォン・カラヤン

    今私たちがこうしてFacebookで楽しく交流できるのは、ほんの20年ほど前にマーク・ザッカーバーグという陰キャのキモい奴が不純な動機から大学内の交流サービスを作ったからです…ということがわかる映画です。Facebook草創期を描いた映画ですが、公開は2010年。じゃあアーロン・ソーキンが脚本を書き上げたのは2009年のことでしょうか。ザッカーバーグが大学で遊び半分で「フェイスマッシュ」をエドゥアルド・サベリンと共に作ってリリースしたのが2003年、大学内交流サービス「TheFacebook」のリリースが2004年。つまりほんの5年前のことをだいたい実名で描いていたわけです。しかもほとんどザッカーバーグdisってるみたいな内容です。しかしこの頃の私の記憶だとザッカーバーグはこの映画についてほとんど何も発言してい...映像作品とクラシック音楽第61回『ソーシャルネットワーク』と異種対決ナイン・インチ・ネイルズVSヘルベルト・フォン・カラヤン

  • スパイダーマン・スパイダーバース

    先々週、友達を家に呼んで『スパイダーマン・スパイダーバース』を鑑賞する今度の休み俺ん家でいっしょにスパイダーマン観ようぜえって、中学生かって感じだけど、しかしスパイダーマン・スパイダーバースはめちゃくちゃ面白かったスパイダーマンのアニメ版であるが、アニメならではの表現を追求した映画だ。いや、今時のマーベル映画は全部アニメっぽい演出じゃないか、と思うかもしれないけど、今時のディズニーアニメは全部実写っぽい演出じゃないか、って思うかもしれないけど、でもホントにスパイダーバースは、アニメだからこそ…っていうかコミックならではの作品なのだ。ネタバレになるからあまり言いたくないが、考えてみればタイトルがすでにネタバレっぽいからいいか。この映画は6つの並行宇宙から6人のスパイダーマンが集結する物語なのだが、モノクロ世界から...スパイダーマン・スパイダーバース

  • 映像作品とクラシック音楽 第60回 『英国王のスピーチ』のベートーベン7番

    久しぶりの本来の趣旨にもどっての映画におけるクラシック音楽についての記事です。2010年のイギリス映画(といっても制作は数年前ある意味大ブームをもたらしたハーヴェイ・ワインスタインなのでアメリカ映画といった方がいいのかもですが)トム・フーパー監督のアカデミー賞作品賞受賞作『英国王のスピーチ』です。(写真のカラヤンとフルトヴェングラーは関係ありません)-------現英国王と言えばエリザベス2世ですが、そのお父上で前英国王のジョージ6世、本名アルバート・フレデリック・アーサー・ジョージ(即位前の愛称バーティ)の物語です。1930年代、国王ジョージ5世の次男バーティは吃音(どもり)に悩まされていて公務にも支障を生じるほどで、見かねたバーティの妻エリザベス(現女王と同じ名前ですがその母上です)が、民間人の言語聴覚士ラ...映像作品とクラシック音楽第60回『英国王のスピーチ』のベートーベン7番

  • おススメ記事 是枝裕和監督のブログ、2016年の放送法に関する考察

    是枝裕和監督の2016年のブログ記事を今さら読んで、とても感銘を受けました。で、面白かった、と感想をTwitterに書いたら、是枝監督ご本人からコメントもらってしまいましたただ面白かったという感想だけ書いたのは、内容を要約することが作者の意図に反するかも…と思って。ま、でもそうは言ってもイントロくらいは書こうと思いました↓是枝裕和さんのブログより「歴史修正主義」に抗するために~放送と公権力の関係についての私見③~2016年3月11日「歴史修正主義」に抗するために~放送と公権力の関係についての私見③~是枝裕和監督からのメッセージです。KORE-EDA.com…についての簡単なイントロ-----放送法が歪められて政府のための法になった経緯と問題点を、制定当時やその後の国会答弁等を引用しながら是枝監督なりに考察した記...おススメ記事是枝裕和監督のブログ、2016年の放送法に関する考察

  • アリス紗良オットさんの『エコーズ・オブ・ライフ』

    今まで隠してきましたが…ってわけでもないですが、実は私ピアニストのアリス紗良オットさんが好きで5月のコンサートのチケット取れちゃったもので、コンサート演目のアルバムを緊急購入して予習しております。好きって言っても、ピアニストの目利き(耳利き?)できるほど、ピアノ演奏知らないし、他のピアニストの方の演奏聴きまくってるでもないのですけどねアルバムはショパンの24の前奏曲を数曲ずつのブロックにわけて、ブロックの区切りごとに現代音楽のピアノ曲をツナギに演奏するような、変わった構成になっています。日本仕様のアルバム買ったおかげで、オットさんのアルバムへの思いについて書かれた長めの文章の日本語訳が読めまして、この曲順の意味もわかりました。ピアノ演奏家というのを超えた表現者になろうとしている彼女の意志が伝わってきます。ツナギ...アリス紗良オットさんの『エコーズ・オブ・ライフ』

  • 河瀬直美さんの東大入学式での祝辞についての私の考え

    令和4年度東京大学学部入学式祝辞(映画作家河瀨直美様) 東京大学東京大学まず私は、河瀬直美さんの映画はものすごくつまらなくて、映画監督として学ぶものは何もないと思っています。基本的に伝えることが下手な人なんだろうなと思っています。でも、だからといってあちこちで色々言われているリンク先の「祝辞」が特に問題とは思いません。簡単に悪を定義することが、自らも悪に堕ちることに繋がる、と言っているように思います。もちろん今ロシアという国家が行なっていることは悪だと思います。とにかくまず軍を退けとわたしはおもいます。しかしロシア人1人1人がみんな悪いわけではないし、ロシア以外に悪がないとも言い切れないわけです。世界を悪とそうじゃないもののの2つに分断する事がいいこととは思えないし、悪よりももっと正義の定義の方が難しいです。な...河瀬直美さんの東大入学式での祝辞についての私の考え

  • 腐った映画人はいらない

    園子温監督の報道、まことに残念だし、腹立たしいし、ああいう人は二度と映画を撮るべきではないと思います。過去作品を封印することはないですが、キネ旬などでの過去の映画賞の類は受賞取り消しにすべきだと思います。セクハラパワハラ映画人は消えてほしい実はきちんと見たのは『愛のむきだし』くらい。それさえもあまり評価してなかった。強制的に興奮させるような演出はうまかったが、そういうの本当の感動とは思わないし、作風は嫌いだなと正直思った。とは言えあちこちで評価されてるから2、3本新作を観ようかなと思いもしたが結局見なかった作品は観てないけどまだ無名だった吉高由里子さんを演出したことで本当の意味で監督になれた、というエピソードは面白いと思っていたが、こうなってはその話ももうできない。吉高さんに迷惑だろう彼の映画を好きだった人も彼...腐った映画人はいらない

  • 映像作品とクラシック音楽 第59回『コーダ あいのうた』~アカデミー賞特集特別記事…クラシック音楽と関係ない映画ですが…

    久しぶりの投稿になってしまいました。今回は、つい先週のアカデミー賞に関連したことを書こうと思います。(などと言っても今やウィル・スミスしか印象に残ってないかもしれませんが…)クラシック音楽好きの間で人気の『ウエストサイドストーリー』は残念ながら助演女優賞のみの受賞でした。ま、しかしアニータ役のアリアナ・デボーズさん、演技も歌もダンスも圧巻でしたから当然でした。『ウエストサイドストーリー』については前回・前々回とげっぷが出るほど書きまくったのでもういいでしょう。作曲賞を受賞したハンス・ジマーについては近々とりあげようと思いますが、今回はタイトルにこじつけて作品賞を受賞した『コーダあいのうた』について書いてみます。ちなみに写真は「駆け込みだけど授賞式の前に見たんだよアピール」です(笑)といいましても、『コーダあいの...映像作品とクラシック音楽第59回『コーダあいのうた』~アカデミー賞特集特別記事…クラシック音楽と関係ない映画ですが…

  • アカデミー賞特集・一人反省会~受賞結果ふりかえり

    ご存じの通りのことと思いますが、アカデミー賞が発表され、今年もまた「例年にない」結果となりました。私の予想は、いっぱい外しました。これは例年通り?もう過去の受賞やノミネートデータを基にした受賞予想など意味がないのかもしれません。が、それでも来年の予想に向けて振り返りをしてみたいと思います。もう結果がどうのより、ウィル・スミスのビンタしか印象に残ってない感じなんですが‥‥受賞結果作品賞___コーダあいのうた監督賞___パワーオブザドッグ脚本賞___ベルファスト脚色賞___コーダあいのうた主演女優__ジェシカ・チャスティン(タミーフェイの瞳)主演男優__ウィル・スミス(ドリームプラン)助演女優__アリアナ・デボーズ(ウエストサイドストーリー)助演男優__トロイ・コッツァー(コーダあいのうた)国際長編__ドライブマイ...アカデミー賞特集・一人反省会~受賞結果ふりかえり

  • 映評『コーダ あいのうた』 〜プログラムピクチャーでいいじゃない

    『コーダあいのうた』をアカデミー賞授賞式の前日に映画館で駆け込み鑑賞いつもだと何日か寝かしてから映評を書くのですが、もし、アカデミー賞とってしまうと、自分の中の評価が変わるかもしれないので(おいおい笑)、緊急リリース。------原題は「Coda」私はこれは音楽用語で「終曲部」を表すあれかと思っていた。音楽の映画だし。でも「Coda」にはもう一つの意味がある。ChildlenOfDeafAdults聴覚障害の親を持つ子供なるほど、素晴らしいダブルミーニングのタイトル。------耳の聞こえない両親と兄を持つ健聴者の娘が本作の主人公。早朝、漁師の父と兄の漁船に乗り込み、漁を手伝う高校生の娘の姿から映画は始まる。後のシーンでわかるが沿岸警備隊からの無線連絡に対応できるように、漁船には健聴者が最低1人乗っていなくては...映評『コーダあいのうた』〜プログラムピクチャーでいいじゃない

  • アカデミー賞特集・(ほぼ)全部門予想してみた!

    お疲れ様です。カーリング女子世界選手権、日本代表無念の棄権となりました。コロナ感染をうけて大会参加者への健康と安全のためです。カーリング精神あふれる決断だと思います。これまでの素晴らしい試合をありがとう。中嶋選手、松村選手のご快復をお祈りし、チームの皆さんの心が癒されますことを願っております。と、テンションが下がってしまいましたが、気を取り直して本題へ…この三日間、アカデミー賞の1980年以降の受賞やノミネート状況をもとにした分析記事をアップしてきました。本日はいよいよ、2022アカデミー賞の私の予想に行きたいと思います。なおこの三日間で投稿した3回の分析記事へのリンクは文末にありますので、よろしければそちらからどうぞこれまでの分析のおさらいをしますアカデミー賞作品賞を占う上で注目すべき部門・監督賞・脚本部門賞...アカデミー賞特集・(ほぼ)全部門予想してみた!

  • アカデミー賞特集・作品賞の行方~編集賞と演技部門から分析

    前回はアカデミー作品賞と監督賞、脚本賞の関係を過去データから分析しました。前回記事は以下リンクからどうぞアカデミー賞特集・作品賞の行方~監督賞と脚本部門から分析-自主映画制作工房Stud!oYunfat改めALIQOUIfilm映評のページアカデミー賞の時期がきたので、作品賞受賞を過去のデータから予想してみたいと思います。といっても近年は「例年にないこと」がしょっちゅう起こるので、データをもとにな...gooblog今回は、賞としては地味ながら作品賞を占ううえで非常に重要な「編集賞」と、それから主要部門である演技関係の部門から作品賞予想のための分析をしてみたいと思います。まず作品賞候補作と重要部門のノミネート状況をおさらい 作品賞候補作___ 監督 脚本 編集 演技 ベルファスト___ 〇_ 〇_ X_ 〇_...アカデミー賞特集・作品賞の行方~編集賞と演技部門から分析

  • アカデミー賞特集・作品賞の行方~監督賞と脚本部門から分析

    アカデミー賞の時期がきたので、作品賞受賞を過去のデータから予想してみたいと思います。といっても近年は「例年にないこと」がしょっちゅう起こるので、データをもとになんてあまり意味はないかもしれませんが…さてとりあえず、作品賞ノミネート作を見てみましょう 作品賞候補作______ 監督 脚本 演技 編集 ベルファスト______ 〇_ 〇_ 〇_ X_ コーダ_________ X_ 〇_ 〇_ X_ ドントルックアップ___ X_ 〇_ X_ 〇_ ドライブマイカー____ 〇_ 〇_ X_ X_ デューン________ X_ 〇_ X_ 〇_ ドリームプラン_____ X_ 〇_ 〇_ 〇_ リコリスピザ______ 〇_ 〇_ X_ X_ ナイトメアアリー____ X_ X_ X_ X_ パ...アカデミー賞特集・作品賞の行方~監督賞と脚本部門から分析

  • アカデミー賞特集・アカデミー賞に見る「女性映画」

    もうすぐアカデミー賞です。しばらく、アカデミー賞について、色々と調べて、考えて書いてみようと思います。今年のアカデミー賞はジェーン・カンピオン監督の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が最有力と言われており、アカデミー賞史上3人目の女性の監督賞受賞になるのでは…と言われています。女性のクリエイターが評価されるようになるのは歓迎すべきことだと思いますが、一方で主演女優賞候補を見まわして、気づいたことがあります。今年のアカデミー賞主演女優賞候補5名の出演作は、ひとつも作品賞候補になっておりません。主演男優賞候補はというと2作品が作品賞候補と重複しています。主演女優と作品賞の相性の悪さは実は前々からなんとなく気になっていました。そこで今回はデータをもとにアカデミー賞と女性映画の関係を少し紐解いてみたいと思います。【主演女優賞...アカデミー賞特集・アカデミー賞に見る「女性映画」

  • 『ウエスト・サイド・ストーリー』(スピルバーグ版) 〜~その2・男たちの影と、女たちの熱。61年版との違い

    主に音楽面について語った「その一」に続いて、今回はスピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』の演技や演出や脚本について、61年版との違いと、そこから見える2020年代にウエスト・サイド・ストーリーを作ったスピルバーグの意図を解きほぐしていこうと思いますなお「その一」はこちらからどうぞ『ウエストサイドストーリー』(スピルバーグ版)その一・主に音楽面について------【男たちの影】スピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』を鑑賞してから、毎日のようにスピルバーグ版のサントラを聞いています(もちろん61年版のサントラも、バーンスタイン指揮の「シンフォニックダンス」も聞いています)それで気が付いたというか気になったのが、スピルバーグ版でトニーを演じたアンセル・エルゴートの声質です。台詞にしても歌にしても、ちょ...『ウエスト・サイド・ストーリー』(スピルバーグ版)〜~その2・男たちの影と、女たちの熱。61年版との違い

  • 映像作品とクラシック音楽 第57回『ウエスト・サイド・ストーリー』(スピルバーグ版)~~その一・長くなるのでとりあえず音楽について

    1年くらい前に、1961年版『ウェストサイド物語』について書いたので、そのリメイク版についてもなにがしかの使命感にちょっとだけ燃えて書いてみることにします。61年版より面白いかというと、でもないんですが、色々なところに時代を反映したアップデート(あるいはそこまで言わなくても変化)を感じ、スピルバーグの映画作家としての矜持のようなものも見えてきて面白いです。超長文になるのが目に見えているので2回に分けて書こうと思います。1回目は主に音楽のこと、2回目は主に音楽以外のことについて…---------まずは音楽。スピルバーグと言えばこの人のジョン・ウィリアムズが「ミュージックコンサルタント」という謎のロールでクレジットされています。個人的に「コンサルタント」と名の付くものは、口ばっかり達者で現場をかき乱して何の成果も...映像作品とクラシック音楽第57回『ウエスト・サイド・ストーリー』(スピルバーグ版)~~その一・長くなるのでとりあえず音楽について

  • 『ドライブ・マイ・カー』~~感情表現とはテキストと向き合った先に芽生えてくるものなのかもしれない

    パンデミックが始まり、映画館に行くことが非常に少なくなりまして、だからせめて観た映画については、きちんとなにがしか書き残していこうと思い、久々の映評ブログ更新ですで、「ドライブ・マイ・カー」なのですが、アカデミー賞(アメリカの方のね)で、作品、監督、脚色、国際長編の4部門にノミネートされたので‥観に行きました。しかもこれが、濱口竜介監督作品の初鑑賞というのが、なんだかとってもだっせーなー…カーリングで言うと、決勝トーナメント進出決まってから試合中継を見始めた人ですね。アカデミー賞ノミネート前から「ドライブマイカー」観ていた人は、カーリングだと予選リーグから試合観ていた人『ハッピーアワー』あたりから濱口作品を見続けてきた人はカーリングだと日本選手権あたりから観戦していたひとなんでしょうね。別に「そだねー」なんて相...『ドライブ・マイ・カー』~~感情表現とはテキストと向き合った先に芽生えてくるものなのかもしれない

  • 映像作品とクラシック音楽 第56回『ある日どこかで』~時空を超えた愛を結びつけるラフマニノフの狂詩曲

    さて久しぶりの投稿となりますオリンピック期間中は、ヤップヤップウォーとカーリングの応援に忙しく、オリンピックが終われば戦争でこの種の投稿を書く気になれなかったのでした。プーチンが戦争をやめてウクライナに平和がくることを願いつつ、書いています。----------『ある日どこかで』ですが、実は最近ブルーレイを購入して初めて鑑賞しました。たしかジョン・バリーについて書いた際に、どなたかがコメントでこの映画のことをおススメされていたと思います。その時は私は『ある日どこかで』は未見だったのですが、カルト的人気を誇る作品だ・・・ということは知識として知っていました。それで観てみようと思ったはいいのですが、主要な配信サービス(アマプラ、ネトフリ、Unext、Appple)では本作は配信されていなかったのです。それで、結局ブ...映像作品とクラシック音楽第56回『ある日どこかで』~時空を超えた愛を結びつけるラフマニノフの狂詩曲

  • カーリング女子 北京ドラマティック編

    久しぶりにオリンピックのカーリング女子の試合の観戦記をブログに書いてみようと思った。それくらい、今回のカーリングは劇的で面白かった。2006年のトリノオリンピックでカーリングの試合に熱中して以来、オリンピックの女子の試合は放送されたものは全部見てきた。トリノとバンクーバーはブログにまとめて今読み返しても面白いのだけど、ソチと平昌はTwitterに書いただけでまとめなかったのが、いまとなっては悔やまれる。やっぱTwitterや、Facebookは勢いで書けるけどアーカイブ性がない。OGPイメージカーリング!!!!-自主映画制作工房Stud!oYunfat改めALIQOUIfilm映評のページチーム青森!!!小野寺歩さん、林弓枝さん、本橋麻里(まりりん)さん、目黒萌絵さん、寺田桜子さんありがとう。この9試合。すごく...カーリング女子北京ドラマティック編

  • 映像作品とクラシック音楽 第55回 ジョン・ウィリアムズ・ベルリンコンサート

    クラシック音楽が印象的な映像作品について語るということで書いてまいりましたが、今回はついこないだ発売されたばかりのアルバム「ジョン・ウィリアムズ・ベルリンコンサート」について語り倒そうと思います。感想としましては、ベルリンフィルすげ〜な!!に尽きます。単純にコンサートプログラムとしてなら2020年のウィーンライブの方がいいと思うのです。定番曲を網羅しつつも、アンネ=ゾフィー・ムターみたいな大物担ぎ出していつもと違う感じも楽しませて。その点ベルリンコンサートはプログラムだけ見ると新鮮さや面白味に欠ける気もしますが、ベルリンフィルの壮絶な演奏により、いつものジョン・ウィリアムズサウンドが怒涛の迫力となって襲いかかってきます。横綱相撲というか王者の風格というか、4年前のショーン・ホワイトや羽生結弦くんやカーリング女子...映像作品とクラシック音楽第55回ジョン・ウィリアムズ・ベルリンコンサート

  • 映像作品とクラシック音楽 第54回 ジェリー・ゴールドスミス 私的ベストテン(3位〜1位)

    というわけで前回につづけましてジェリー・ゴールドスミス私的ベストテンのいよいよベスト3です、ちなみに10位〜7位はこちら↓6位〜4位はこちら↓https://www.facebook.com/groups/201906550851117/permalink/656312522077182/さて、ベスト3です!------【第3位グレムリン(1984)】ゴールドスミスの遺作は先にも書いた『ルーニーテューンズ』ですがその監督こそジョー・ダンテで、彼もゴールドスミスにとってシャフナーと同じくらいの絆を感じる監督でした。そのダンテ×ゴールドスミスのコンビの最高傑作は間違いなく『グレムリン』です。『ポルターガイスト』と同じ方法論による「恐怖シーンに楽しげな音楽を鳴らす」のが印象深いのですが、さらに飛躍してシンセの音と電子...映像作品とクラシック音楽第54回ジェリー・ゴールドスミス私的ベストテン(3位〜1位)

  • 第53回 ジェリー・ゴールドスミス 私的ベストテン(6位〜4位)

    というわけで前回につづけましてジェリー・ゴールドスミス私的ベストテンの第6位〜4位の発表です。ちなみに10位〜7位はこちら↓-----さて、6位〜4位です!第6位ポルターガイスト(1982)第5位猿の惑星(1968)第4位パットン大戦車軍団(1970)【第6位ポルターガイスト(1982)】実質的にスピルバーグが監督したと言われるファミリー向けホラー映画という新たなジャンル。E.T.を撮影中だったので契約上別の会社の映画と監督を掛け持ちできず、ホラー映画の得意なトビー・フーパーを監督に据えながら実際には撮影も編集もスピルバーグがほとんど現場を仕切っていたそうです。で、多分ジョン・ウィリアムズはE.T.で忙しかったのと、なんと言ってもホラーならジェリーってことで、ジェリーの起用となりました。ジェリーの音楽は強烈で、...第53回ジェリー・ゴールドスミス私的ベストテン(6位〜4位)

  • 映像作品とクラシック音楽 第52回 ジェリー・ゴールドスミス 私的ベストテン(その一)

    クラシック音楽が印象的な映像作品を紹介するという建前で続けて参りましたコーナーですが、初投稿が2021年の2月5日でほぼ週一で投稿を続けてなんとついに1周年を迎えようとしております。今回は1周年を記念した特別企画として、建前を無視して映画音楽のお話をさせていただこうと思いますっていつものことですが。今回取り上げるのは映画音楽の巨匠ジェリー・ゴールドスミスです。一回で出すにはものすごく濃い記事になってしまったので、1周年記念日までカウントダウンで三連投させて頂こうとなどと思います。我慢してお付き合いいただけたら幸いです。ジェリー・ゴールドスミス(1929-2004)はアメリカの映画音楽の一つのスタイルを(ジョン・ウィリアムズと共に)完成させた人物と思っています。ジョン・ウィリアムズは、90年代になんかの映画雑誌(...映像作品とクラシック音楽第52回ジェリー・ゴールドスミス私的ベストテン(その一)

  • 映像作品とクラシック音楽 第51回『ミュージック・オブ・ハート』〜メリるんカーネギーホールに立つの巻〜

    こんにちは!あたしメリるん!女優よ!(๑˃̵ᴗ˂̵)あたしの夢はいつかあの伝説の演目「紅天女」の主演をつとめること!月影先生に紅天女を認めてもらうために頑張るの!ライバルの姫川グレン・クローズになんか負けないんだから!そんなわけで、女優頑張んなきゃ!道がないなら自分で道を作ればいいの!o(^▽^)oだから、何事も修行と思って色んな人と共演したわ。セクハラのダスティンさんとも、不良のジャクニコさんとも。ダーティーなクリントさんとも。そして、ああ、素敵なロバートさんとも!ロバートって言ってもデニ郎さんじゃないわよ。私がときめいたのはレットフォードさんよ(╹◡╹)♡アフリカでロケしたの。うっとりしちゃったわ。「今こそ認めよう愛してる」とか言われた気もするけど違ったかしら。そりゃねデニ郎さんとはまあ仲良いいわよ。随分共...映像作品とクラシック音楽第51回『ミュージック・オブ・ハート』〜メリるんカーネギーホールに立つの巻〜

  • マクベス [ジョエル・コーエン版]

    マクベスが観たくてついついAppleTVに登録してしまった。コーエン兄弟のお兄ちゃんの方が、奥さんをマクベス夫人にして、デンゼル・ワシントンをマクベスにして作った、なかなか渾身の一作…とは言っても「マクベス」である。「忠臣蔵」みたいなもんで、次の展開はおろか台詞すら決まっているので、よく知ってる物語をどう料理したかを楽しむ映画である。コーエンさん、Apple向けに配信映画撮ってくれませんか?奥さん主演で。しゃーねーなー、一から考えるのめんどくせーからマクベスでもやるかって感じで撮り始めたのかどうか知りませんが、しかしあえてのモノクロ、スタンダードサイズで挑む「マクベス」あちこちキメキメの映像で、現代アートにマクベスの物語を付けて流したような映画。コーエン兄弟はたしか黒澤が亡くなった時に一番好きなのは「天国と地獄...マクベス[ジョエル・コーエン版]

  • 映像作品とクラシック音楽 第50回 『ファンタジア』~主に「魔法使いの弟子」のこと~

    お疲れ様です。映像作品とクラシック音楽シリーズ。ついに第50回となりました。今回は、恐れ多くもディズニーの『ファンタジア』を取り上げてみます。50回目にふさわしい作品を…と言いたいところですが、実はたまたま買った写真のCDを聴いていたら書きたくなっただけです。ユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団演奏の主に70年代の録音をおさめたCDです。この中に「魔法使いの弟子」がありまして、そういえば『ファンタジア』もフィラ管(この略し方あってます?)だったなぁと思って、久々に『ファンタジア』を観てみたらすっかり魅せられてしまいました。ファンタジアという映画について今更紹介するまでもないとは思いますが、簡単に…1940年のディズニー制作のアニメ映画で、ある意味クラシック音楽PVといいますか、クラシックの名曲に...映像作品とクラシック音楽第50回『ファンタジア』~主に「魔法使いの弟子」のこと~

  • 映像作品とクラシック音楽 第49回 『地獄の黙示録』

    年が明けました。昨年は好き勝手に色々書かせていただきありがとうございました。今年も似たような感じで書いてまいりますので、温かい目で見守っていただければ幸いです。さて、2022年最初の投稿は、ついに来ました、ワルキューレの騎行を鳴り響かせながら米軍のヘリが飛来する『地獄の黙示録』です。私はコッポラという映画作家には、スピルバーグやキューブリックほどの思い入れはありません。とは言え一般教養としてゴッドファーザー三部作はそりゃ観て楽しみましたし、『カンバーセーション』も、『タッカー』も『レインメイカー』もいい映画だと思います。とは言え『地獄の黙示録』はそれらコッポラ作品群の中においても異彩を放つ、やり過ぎを超えてイッちゃってる凄まじさがあります。戦争におけるの人間の狂気を描くにはまず自分から狂わなきゃならないとでも思...映像作品とクラシック音楽第49回『地獄の黙示録』

  • 2021年 映画マイベスト…

    毎年恒例の個人的映画ベストテンの記事を書かねば!!と、2021年に観た映画をTwitterの履歴と記憶をひっくり返して調べたのですが…配信あわせても観た新作(昨年公開で今年になってから見た作品含む)は11本しかありませんでした。もはや「趣味」の欄に「映画鑑賞」と書いてはいけないレベルです。こんなに新作を見なかった理由はただ一つです。コロナです。1年のほとんどが緊急事態宣言だったためです。などと言っても配信でも全然見なかった理由になってませんね。せっかく優待目当てで東京テアトルの株を単元で買ったのに、使用期限内に一度もヒューマントラストシネマに行けずに終わってしまいました(『アナザーラウンド』観たかったなあ)とはいえ負け惜しみみたいですが、見た作品はどれもすごく面白かったです…いくらなんでもベストテンってわけにも...2021年映画マイベスト…

  • 映評 007 ノー・タイム・トゥ・ダイ

    映画館で観てから2ヶ月くらいたって今更ですが、2021年映画ベスト書く前にこれだけはあげとかなければ、と書きます。ネタバレなしで書いてます。(写真はサントラCDより)007最新作。ありがとう、お疲れさまダニエル・クレイグ。結論から言うと、めっちゃ面白かった。先日アップした私的ボンドベストテンを見てお分かりのように私はロジャー・ムーア時代のボンドが好きなのです。あのころのボンドの敵は悪事のスケールが大きかった。人類滅亡クラスの悪事も珍しくなかった。しかし、ティモシー・ダルトンのボンド以降、映像的には派手になっても敵のやることはセコくなってきた。せいぜいが英国と中国の武力衝突を起こしてやろうくらいなものだった。(十分デカいがボンド世界では控えめな方だ)その点今回のフレディ・マーキュリーじゃなくてラミ・マレック演じる...映評007ノー・タイム・トゥ・ダイ

  • 映像作品とクラシック音楽 第48回 『バーンスタイン&ウィーンフィル ベートーヴェン全交響曲シネコンサート』(2020年12月 東京写真美術館にて)

    お疲れ様です。この一年、こちらのグループにはとてもお世話になりました。引っ越しはどうにか終わりまして、富士山に沈む夕日はなかなかの壮観です。ところで前回、「次回投稿は年明けです」などと言っておきながらなんですが、ほぼ一年前に恵比寿の写真美術館で鑑賞したバーンスタインのフィルムコンサートの感想の自分のブログを読み返していたらこちらに投稿したくなりました。ほぼブログのコピペでして、書いてある感想も一年前のものですが、よろしければお付き合いください。-------バーンスタイン&ウィーンフィルベートーベン全交響曲シネコンサート2020/12/5東京写真美術館ホールにて鑑賞77年から79年にかけて行われたバーンスタインとウィーンフィルによるベートーベン交響曲全曲ライブのフィルムコンサートが、東京写真美術館で行われた。私...映像作品とクラシック音楽第48回『バーンスタイン&ウィーンフィルベートーヴェン全交響曲シネコンサート』(2020年12月東京写真美術館にて)

  • 007私的ベストテン~『ノー・タイム・トゥ・ダイ』について書く前に

    そういえば2021年も終わりそうですが、ここ30年くらいでもっとも映画館に行かなかった1年になってしまいました。そんな年でもこれだけは観ないわけにいくまいと「007ノータイム・トゥ・ダイ」を見たのです。007大好き青年の私としましてはこの映画の映評だけは年内に書かないわけにいくまいと思っていたのですが…その前に…007を鑑賞した日。実は鑑賞直後に、『水面のあかり』の渡辺シン監督と有楽町で飲みまして、その時に渡辺さんが言うのです「新しい007全然見てないんだけど、ティモシー・ダルトンの007はえらい評判いいじゃないか」いや、ティモシー・ダルトンの007だってクラシックに片足突っ込んでますけど・・・と思いつつ、私だってガンダムが好きという若者とガンダム話で盛り上がろうとおもったら、そいつが言うガンダムってのがSee...007私的ベストテン~『ノー・タイム・トゥ・ダイ』について書く前に

  • 映像作品とクラシック音楽 第47回 『東京ゴッドファーザーズ』

    クラシック音楽が印象的な映像作品について語るシリーズ。今回は、季節柄、我が国の奇習に従って、ベートーベンの「第九」を扱った作品を取り上げます。2003年の今敏(コン・サトシ)監督作品の長編アニメーション映画『東京ゴッドファーザーズ』です。-------ゼロ年代(2000〜2009年)は、日本映画のアニメが抜群に面白かった年代でした。90年代もアニメは面白かったですが、しかし振り返れば90年代の面白いアニメ映画と言えばほとんどジブリだけでした(いや、パトレイバーもあったし、エヴァンゲリオンもあったろと怒られそうですが)そしてゼロ年代。ジブリは相変わらず千尋、ハウル、ポニョと興行面ではリードしていましたが、ハウルくらいから正直あんま面白くないな…と思うようになりました。そのかわりに、ジブリ以外のアニメ映画が質的な面...映像作品とクラシック音楽第47回『東京ゴッドファーザーズ』

  • 箱庭迷宮2021 (幻想劇場 経帷子 作・演出 廣田謙一)

    箱庭迷宮2021(幻想劇場経帷子作・演出廣田謙一)の感想です。松本の劇団「幻想劇場経帷子」の2021年12月公演をライブ配信で鑑賞しました。----------久々の観劇。といってもライブ配信(の見逃し配信)での鑑賞。首都圏にいながらにして、松本の演劇を楽しめるなんていい時代になったものだし、ハコ以上の収益を上げる可能性ができたのは良かったと思います。ただし今回のライブ配信については技術上の問題が沢山あったと思います。まず、音が小さい。テレビの音量を、普段のテレビやDVD鑑賞だと絶対に設定しないくらいの大きさにしないと、台詞がぜんぜん聞こえてきません。ちなみにうちのテレビは、映画を日中少し大きな音で楽しみたいときは音量を「30」くらいに設定。夜遅くにお隣さんに気を使って観る場合は「20」くらいに設定します。今回...箱庭迷宮2021(幻想劇場経帷子作・演出廣田謙一)

  • 映像作品とクラシック音楽 第46回『くるみ割り人形と秘密の王国』ハリウッドのなんでもシェフはチャイコフスキーの料理も美味い

    クラシック音楽が印象的な映画についてぐだぐだ語るシリーズです。師走になりましたので季節感ある作品でいこうと思いまして2018年の『くるみ割り人形と秘密の王国』を取り上げます。この映画、クラシック音楽ファンがよく知るバレエの「くるみ割り人形」とはストーリーがだいぶ違います。バレエ版のストーリーをざっくりと説明すると・・・----------クララはドロッセルマイヤー叔父さんにもらったクリスマスプレゼントのくるみ割り人形をもらいますがクソガキ感ある兄に壊されてしまいます。修理した人形を抱いて寝ていたクララは小さくなってネズミに襲われます。するとくるみ割り人形が動き出してネズミどもと斬り合いを始めます。ネズミ「お主何者だ」くるみ割り人形「帯刀、余の顔を見忘れたか」ネズミ「余の顔だと…」江戸城内のカットバック。人形は8...映像作品とクラシック音楽第46回『くるみ割り人形と秘密の王国』ハリウッドのなんでもシェフはチャイコフスキーの料理も美味い

  • 映像作品とクラシック音楽 第45回 『サウンド・オブ・ミュージック』

    クラシック音楽が印象的な映像作品についてあーじゃこーじゃと語るシリーズも気づけば第45回。目標の50回までもうすぐです。今回は・・・っていうか今回も?クラシック音楽ってわけじゃないですけど、まあいいじゃないですかな感じの作品で『サウンド・オブ・ミュージック』を取り上げます。いまさら内容を説明する必要はない有名作ですが、一応物語解説です。ネタバレです。---------オーストリアのとある修道院で神に仕えるため修行しなきゃならないマリアですが、今日も丘の上の草原で「♪ザ~ヒルザ~アラ~イブウィズサウンドオブミュージ~~ク」などと歌っています。修道院のパイセンたちもついつられて「マリアなんて困っちまうわ」みたいに歌って院長にマリアのポンコツぶりを訴えます。これはやばいわと思った院長はマリアに修行の一環で厳格なことで...映像作品とクラシック音楽第45回『サウンド・オブ・ミュージック』

  • 映像作品とクラシック音楽 第44回 『ストリート・オーケストラ』マリン・オールソップはスラムの夢を見るか

    クラシック映画が印象的な映画を紹介するシリーズ。今回は2015年のブラジル映画『ストリート・オーケストラ』を紹介いたします。実話ベースのお話らしいです。ブラジルはサンパウロのスラム街の少年少女に弦楽オーケストラを指導していた男性がその後サンパウロ交響楽団のメンバーになるお話です。バイオリンの才能はあるのにアガリ症でオーディションに落ちてしまう男性。その日もサンパウロ交響楽団のオーディションで失敗をやらかします。アパートの家賃も払えなくなり困っていた彼はスラム街の学校でオーケストラを指導するバイトの募集に応じます。その学校に行ってみると、予想通り全員ものすごいヘタクソでこいつは指導のし甲斐がありそうだぜって思ったものの、スラムの少年少女たちは音楽学ぶ以前に、生活が不安定で、全員なんらかの訳あり、中には犯罪組織とつ...映像作品とクラシック音楽第44回『ストリート・オーケストラ』マリン・オールソップはスラムの夢を見るか

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、スタジオゆんふぁさんをフォローしませんか?

ハンドル名
スタジオゆんふぁさん
ブログタイトル
自主映画制作工房Stud!o Yunfat 映評のページ
フォロー
自主映画制作工房Stud!o Yunfat 映評のページ

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用