出がけにtwitterで泉美木蘭がオーバードーズと鬱のことを書いていたのが気にかかって、今日は春日武彦の新書を持って出掛けました。「意識とは何か」とかいうと茂木みたいなオカルトに走りたくなる気持ちはわからんでもないが、実際意識もそんな高等なものでも無いのかも、と最近は思っています。Deep Brain Stimulationという治療法があって、例えば日本では脳の視床下核に電極をぶっこんでパーキンソン病患者の不随意運動をブロックするのに使いますが、アメリカでは禁煙外来でDBSをやる例もあるらしい。曰く、脳の特定領域に電極を挿すことでヘビースモーカーが煙草嫌いになるんだと。己の趣味嗜好とかいうのは自ら築き上げたという点では神聖なものかもしらんが、「電極一本で消せる」ものでもある。所詮その程度のもんさ、という自覚を持っておくことは「こちら側」に踏みとどまるには案外有意義なんじゃなかろうか。本書...
今日は大学にて、熊鼠の観察怒濤の4.5時間の予定だったので、母の本棚から一番分厚い本を借りてきた。熊鼠の観察といっても、4.5時間、目を皿のようにして鼠を睨んでいるわけではなく、3分に1度、ちらっとケージを覗いて、熊鼠がそのときやっている行動を記録するだけ。だから実際に実験しているのは4.5時間のうち30分くらいのものだったりする。ところでうちの母は「◯◯賞」とついた本しか買ってこない。母に本書をすすめられたのは随分前だったが、そのとき本屋大賞一位なんて読めるかいなと嘯いてた自分が超恥ずかしい。本書のストーリーがいかにおもしろいかというのは書くだけ野暮だから触れないでおく。心底たまげたのは、登場人物の容姿に関する描写がほとんど無いのに、彼らの会話を読んだだけで、ああ、この人はこんな顔でこんな声で、背はこんくらいで…というのが、勝手に頭の中に浮かんできて動きだすこと。著者の登場人物への愛...
実習中に、左目から白い涙がぼろぼろ出て、右半身が痺れてきたので、何の根拠も無く「脳梗塞だ!」と思って、「すみません脳梗塞かもしれません」て言ったら、その辺にいた全身刺青の男前が私を横抱きにして脳外の医局まで連れてってくれた、という夢を見た。夢の中で「どうしよう死ぬかも」より、「役得ラッキー」と思ってたのが印象的でした。しばらく前にu-streamで枡野氏が文庫化の宣伝ラジオやっとったのが本書。しゃべってるところを見たのはそれがはじめて。「枡野浩一」という人間そのものが彼の作品みたいだと思った。文庫になるの待っててごめんなさい。しかしなんつーか。ぐったりした。相手の考えていることをある日突然見失う、ということのしんどさよ。過去2度程ある日突然振った経験があるので、読んでいて耳が痛かったです。本編も、うわさの町山氏による解説も、両方口に苦し。毒薬も口に苦し。このことわざ、ちょっと変だと...
枡野浩一がtwitterにてRTしているのを見て、泉美木蘭、ひいては本書について知りました。ポップでスケベな表紙がキュートです。NHKのテキスト「極める!(8月9月)」と「エム女の手帖」の同時購入は何やら「エムを極める」と誤解されそうで照れました。レジのお兄さんは黙ってブックカバーをつけてくれた。借金返済のためにプロのエム女として働き始めた筆者の実録本。これだけ身体張ってるのに、自らのエム女体験を綴る口調はかなりクールです。自室なのを良いことにゲラゲラ笑いながら読みましたが、そんなエピソードの中にもSMクラブでしか満足を得られない人々の切なさが浮かび上がってきて、味わい深いです。何より普通なら黒歴史として封印したくなるような出来事に、真正面から向き合ってる著者が潔くて清々しい。恋人とのマンネリ状態の打破を目論む人は、これをそっと相手の鞄に忍ばせてアピールしてみるのも良いかも。ところで私...
ずるかった。漠然とそんな予感はしていた。基礎研究系の授業で先生がぽろっとしゃべる余談みたいな本やった。おもしろかったけど、「極上の科学ミステリー」とか言われたら照れる。何か画期的な新事実を知ろうと思ってこの本を買った人は、そら怒ると思う。biochemistryについて勉強した人なら、「これ知ってる…飛ばそ」と思って次々に読み飛ばすだろうし、結果ほとんど読むとこ無いのと違うか。今のbiochemistryの礎になった発見、あるいは生化学研究者の常識について、わかりやすく、文学的…というかロマンチックに書き下してある。高校以来生物に関わってない人は素直に楽しめると思います。あなたのインテリ欲を心地よく刺激すること請け合い。理系の研究者としゃべる前に読むと、スムーズなコミュニケーションの助けになる、これは間違い無い。逆に研究者にとっては、素人相手のトークの参考書になる。「ははん、こうやって説明...
学芸大に来て、マッターホーンで苺のショートケーキを食べてきました。最初店に入ったら、フリルの前掛けの女性が申し訳無さそうに、「あと30分で出来ます」そんなわけで今日は止そうと思ったのに向かいにある名店、「流浪堂」に入ってしまった。何故最近この店を避けているかと言えば怒濤のごとき紙欲が昂って、散財に歯止めが利かないからである。ぼんやりしてるとあっちゅう間に3000円も4000円も買ってしまうんだから困る。とても良心的な古書店だから、3000円となるとかなりの量で、その打撃は財布的というよりは肉体的、家にもって帰るのも重い重い。だから今日は1000円までって決めてから入店。結局ぐるりと一周して手元にキープしたのは青木玉「幸田文の箪笥の引き出し」家田荘子「歌舞伎町シノギの人々」寺山修司「不良少女入門」中井英夫「名なしの森」R・F・ファインマン「困ります、ファインマンさん」江戸川乱歩「変身願望」福...
産經新聞の投書で「スペインの選手がだれも国歌を歌っていないのを見て、私はスペインの負けを確信した」とかなんとか書いている人がいたけれども、スペインの国歌には歌詞が無いんだと。こういうことはいつだって言われてみてはじめて思い当たる訳で、歌詞が無い国歌があるとはやっぱり思ってもみなかった。歌詞の喪失により、こう、「象徴的」な感じになって愛国心とかそのへんも全部うやむや、あるいは全部抱き込んであっけらかんとした感じはなんだかさわやかですね。かくいう私は球技には一切ご縁が無いから、サッカーのこともよく分からないのである。分からないけれども、祭りが好きだから、ちょろっと試合開始15分くらいの攻防を冷やかして、とっとと寝てしまうのである。今日も大売り出しだと言うのでハマのルミネの服屋をうろうろしていたら、それはもう、ひええ、と情けない声を出してしまうくらいにかわいいワンピースを見つけた。まあ、こ...
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