オヤジのあくび510
山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む3 小山内薫がベルリンにやってきて、山田耕筰に真の芸術家として歩み始めるきっかけとなる一言を告げる。作曲とか音楽者へのこだわりから解放された瞬間なのだ。それにしても人は人との出会いにより成長し、変化する。演劇の小山内、音楽の山田、日本の文化史に輝ける足跡を残した二人がベルリンでデカダンス芸術やニーチェについて語り合っていたのだ。 日本の音楽を開拓する屯田兵たることを使命と感じた山田耕筰は、ドイツのヴェーバーやロシアの グリンカのように歌劇の作曲によって道を拓く方針を固めた。そして完成したのが日本初の本格的な楽劇「堕ちたる天女」。同時期の作品として卒業制作…
2023/02/25 06:14