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  • オヤジのあくび490

    坂東三津五郎「踊りの愉しみ」を読む 踊りを観る前に、出→くどき→手踊り→段切れ という流れを知っていれば、もう少し今の踊りはどこの部分なのかな? という見方ができるでしょう。 琵琶歌だつて、前語り、本語り、吟変わり、崩れ、後語りの部分と地、中干、大干、切という唱法を予備知識として知っていれば、もっとわかりやすく聴けるかもしない。けれど、それらのことをなぜ知らないのか? 伝統芸能を学んでいる人が身近にいないからのような気がします。 大山の能舞台で「山帰り」を踊られたエピソードで、奉納で踊ることと、お客様に喜んでいただくために踊ることの違いを語っている。恥ずかしながら私も琵琶の奉納演奏の経験があり…

  • オヤジのあくび489

    宮尾慈良「世界の民族舞踊」を読む 私が小学生の頃「ワルツは三拍子」と教わった記憶があります。間違えてはいないのですが、ひっくり返して「三拍子はワルツ」ではありません。音楽の鑑賞曲には「メヌエット」が登場するのですが、三拍子にはメヌエットやマズルカ、ポロネーズなどいろいろある。個人的には日本の公立学校だったら、日本人が伝統的に感じてきたリズムを音楽の授業でもっと体験したらいいと思うのだけど・・・。 本書の表紙には「これだけは知っておきたい世界の民族舞踊」とあるが、紹介されている50の舞踊のうち、名前だけでも聞いたたことがあるのは、上にも書いたヨーロッパの3つの踊り、日本の伝統芸能がいくつか、それ…

  • オヤジのあくび488

    紙屋高雪「どこまでやるか、町内会」を読む 自治会は、ゴミ、防犯防災、イベント、調査など、実に多くの活動を行政の下請け的に担っている。しかも無報酬。 本書の前半は、自治会・町内会の活動が「本当に法律の裏付けがある義務なのか?」を検証しています。すると厳密には義務などほとんどない事が明らかになるのです。また現在継続している活動=例えば見守のような互助や防災訓練が実際の災害時にどう機能したのか? 町内会として役立った実例が少ないことを語ります。 また、なぜ町内会で関わろうとしないのか? 子どもの貧困対策=子ども食堂や無料塾について、町内会が及び腰である実態を書いています。 ここまでを読めば、なんだよ…

  • オヤジのあくび487

    白石仁章「戦争と諜報外交」を読む4 最終章は、杉原千畝。この素晴らしい外交官については、何千人ものユダヤ人を救ったエピソードを中心に据えて多くの書が出ている。 おえコラの練習は早稲田の東京コンサーツという会場を使うことがある。この辺りの建物を早稲田奉仕園と呼んでいて、若き日の苦学生杉原千畝はここで生活していたという。彼が外務省留学生試験に合格して学んだのはロシア語であった。 千畝がハルビン総領事館に勤務している時に、満州事変が起き、満州国外交部に転じる。ここで千畝は北満鉄道の買収という大仕事をやってのけた。ロシア革命を心よく思わない白系ロシア人が彼に協力した。そしてソ連側から申し出た価格の5分…

  • オヤジのあくび486

    白石仁章「戦争と諜報外交」を読む3 どういう場面に居合わせたか? 外交官としての運命や評価に大きく関わる。そして最終的な判断は、本国にいる外務大臣を始めとする政府の意向なのだ。ここに外交官としての葛藤があり、本意ではない行動を強いられることもあるだろう。三人目の来栖三郎もその一人であります。 本書には頻繁にインテリジェンスという言葉が現れる。これは知性ではなくて諜報の意味で使われているのです。諜報という言葉自体が何となく密かに策を巡らす的な意味に捉えられがちだけれど、これこそなくてはならない情報収集そのものということが本書を読むとよくわかる。 来栖はベルギー大使からドイツ大使へと転じており、悪…

  • オヤジのあくび485

    白石仁章「戦争と諜報外交」を読む2 続けて本書には杉村陽太郎が登場する。国際連盟事務次長を務めた新渡戸稲造はお札の肖像画にもなり有名だが、その後任者が杉村なのだ。サイレントパートナーと揶揄されながら、常任理事国になった日本。杉村は事務次長としてヨーロッパや南アメリカで起こっている紛争の調停にあたる。首尾よく汚名返上とはならない。関東軍による満州侵略が表面化し、日本政府はそれを押しとどめることができなかったのだ。やがてリットン調査団が派遣され、報告書が出される。おおむね日本は報告書に否定的な立場をとるが、杉村は日本に有利な点もあるとして、100%否定を避けようとしているのだ。ただし支持でもなく当…

  • オヤジのあくび484

    白石仁章「戦争と諜報外交」を読む1 日本が世界に伍して、大国としてのパフォーマンスを求められた場面として、本書では第一次世界大戦後のヴェルサイユ会議に「五大国」の一つとして列席した場面を挙げている。アメリカやイギリスがいくつものホテルを借り切って数百人規模のスタッフで対応しているのひ比して、日本はそこまでの準備や情報収集ができず、サイレントパートナーと揶揄されたのだ。日本にとって苦い大国デビューでありました。その結果できたのが、外務省革新綱領。情報部が新設されることになる。その部長であり、その後日米関係が日増しに険悪になっていく時期に駐米大使を務めていた外交官が、本書に登場する一人目の外交官斎…

  • オヤジのあくび483

    藪中三十二「世界に負けない日本」を読む2 外交のニュースは日々流れているけれど、どこを強調するか? によって受け止め方がだいぶ変わってくる。例えば尖閣諸島の近くを中国の船が航行したことは、よくニュースになるが、その向こうの海で行われている油田開発は今どうなっているのか? 筆者は2008年5月の胡錦濤主席との合意を基に話をしているが、現状油田開発の実態は中国側のみが把握しており、日本側は何もわからない。 北方領土も竹島にも感じるが、現状が実効支配だからと言って、占有した国の領有権を認めていたら、世界は強いもの勝ち、軍隊を動かしたもの勝ちになってしまう。時間をかけてでも主張し続けていかなければなら…

  • オヤジのあくび482

    藪中三十二「世界に負けない日本」を読む1 始めに英語力の話が登場する。「中学3年生の英語の教科書を丸暗記していればそれでいい」らしい。ではその後も続く高校でのいわゆる受験英語や大学での英語は何だったのだろう? ところで藪中さんは日本の大学を卒業していない。大阪大学の3年(3回)生で外交官試験に受かったので、中退しているのだ。だから藪中さんの最終学歴はアメリカ留学時のコーネル大学なのだ。この留学中の苦労が藪中さんの英語力の裏付けとなっているらしい。 筆者はグローバル社会で必要な資質として、第一にロジックを持つことを挙げる。具体例としては北朝鮮を巡る六カ国協議の冒頭で拉致問題についての発言例が出て…

  • オヤジのあくび481

    佐藤和孝「戦場でメシを食う」を読む3 無政府主義者=アナーキストとは所詮現在の体制を批判して新しい秩序を求めているだけなのかなぁと感じた。本書のアルバニアの章を読んでそう感じたのだ。独裁社会主義国のアルバニアは長い間鎖国していた。だから海の対岸にあるイタリアのpizzaやバナナの味をこの国の人たちは知らなかった。その後開国して民主主義資本主義の時代が来ると思いきや、何とねずみ講が原因で統治機構が崩壊し、無政府状態に陥ってしまったのだ。 続いてチェチェンへ。羊肉のシシカバブやキャビアの話が登場して、ロシア連邦との戦いが小休止を迎えていた時期の食事情を書いている。 そしてインドネシアのアチェ。私た…

  • オヤジのあくび480

    佐藤和孝「戦場でメシを食う」を読む2 話題はサラエボに移動する。以前緒方貞子さん関連の本を読んだ時に凄まじい内戦の様子が記されていたことを思い出した。サラエボは1984年冬季オリンピックの開催地だが、それから10年も経たないうちに内戦によって街が廃墟のようになってしまった。 ボクはチトー元帥の独自路線を思い浮かべていた。ソ連からは相手にされず、労働者による自主管理という独自の社会主義政策を推進したと言う。そしてチトーが生きていた頃はユーゴスラビアと言う多民族国家が地図上にあった。それぞれの民族に対して妥協や調停を重ねた危なっかしいバランスの上に国が成立していたのだろう。チトーというカリスマの死…

  • オヤジのあくび479

    佐藤和孝「戦場でメシを食う」を読む1 タイトルの付け方は「?」な感じを抱かせる。けれどどんな状況下でも、人は食べ物のことを考え続けている。むしろ極限まで追い込まれているからこそメシのことが最重要なのだろう。テレビにもよく登場した筆者だけど、テレビからは香りや食感は伝えにくい。だからこそ文字に書かれて本書ができたらしい。 まずは、冒頭のエピソード。1982年ソ連が侵攻していた当時のアフガニスタンに、筆者は反政府ゲリラ勢力の一員として入国し、バーミヤンまで行っている。雪中、富士山くらいの峠を越えひたすら歩くのだ。ダリ語という現地語や凍りついたナンを主食とする様子が語られているが、筆者は帰路やはり徒…

  • オヤジのあくび478

    鳥居徳敏「ガウディ」を読む このちくまプリマー新書はシリーズものになっていて「よみがえる天才6」としてガウディが取り上げられている。誰もが真似したくてもできない資質才能とそれが発揮された表現を以て、天才と呼ばれるのだろう。ガウディの平曲面やパラボラを多用したり、洞窟内の曲線の美しさを再創造したりする建築を見るにつけ、その他のあらゆる建築家と隔絶した存在であることがわかる。 本書の前半は、彼が育ったカタルーニャの風土、銅製品を作っていた父母の影響、大学では他科目に比べて、幾何学の成績が極めて優秀であったことなどが語られる。ガウディは「建築は講義から学ぶのではなく作品から学ぶもの」と言っている。そ…

  • オヤジのあくび477

    小松茂美「利休の死」を読む 利休は正親町天皇から64歳の時に贈られた名前で、19歳からそれまでは宗易を名乗っていた。便宜上本稿では利休で通します。ちなみに筆者は古筆学を職とされていた方なので、本書は利休の手紙など実際の文献をもとに語られている。 橋立と橋雲という利休愛用の壺を巡るいざこざを、手紙や記録を元に明らかにしていく。これを秀吉が所望し利休が一蹴したことが、後々秀吉から疎まれる原因となっていくのだが。すごいのは利休の茶室に招かれていた客人の名前! 大名オールスターズとでも言うべき人々が利休の茶に招かれているのである。 話は奥州の伊達政宗が、小田原参陣の際千利休に会おうとしたが、生憎利休は…

  • オヤジのあくび476

    ゴードン・S.ウッド「アメリカ独立革命」を読む3 「人は生まれながらにして平等」「ある人々と別の人々との違いは能力を向上させる機会の違いにのみ由来する」つまるところ教育と修養によって人の違いが生まれるという議論は、教育の機会均等をどう担保したらよいのか? という現在の課題にまで通じている。けれど貴族、王党の横行が大手を振って罷り通っていた18世紀後半、多くの人の心を、とりわけ新世界新天地であったアメリカ人の心を捉えたのは間違いないだろう。 さて独立を勝ち取り、王制その他の身分制度から解放された新しい国は、代わって権力を手にした州(各邦)議会の横暴に頭を悩ませる。現在に至るパターンだけど各階層集…

  • オヤジのあくび475

    ゴードン・S.ウッド「アメリカ独立革命」を読む2 ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカは、アメリカ諸邦連合と訳すべきなのかもしれないが、日本にいるとホワイトハウスの動きばかりが報道されるので、中央集権的に見えてしまう。EU的な主権国家の結びつきの方が建国当時の実態に近いようだ。さらにアパラチア山脈より西、ミシシッピー川より東の広大な土地は、北西部条例によって東部十三邦の植民地とはならず、新しい邦として対等な仲間とされることになったのだ。これが従来の植民地主義・帝国主義と大いに異なるところだろう。 そろそろ独立戦争について触れよう。当時世界最強の軍隊を保持していたのは、グレートブリテン帝国であ…

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