夜空に泳ぐチョコレートグラミー(町田そのこ)
町田そのこのデビュー作である『カメルーンの青い魚』を含む5編の連作短編集を読んだ。「女による女のためのR-18文学賞」という聞きなれない賞の大賞受賞作なのだが、その選考委員から絶賛されたのがうなづける。素晴らしい才能に満ちあふれた作品群だった。ひさしぶりに文句なしの素晴らしい短編集に出会えた満足感に浸っている。個々にどうこういう必要はないだろう。5編が、どう連作になっているかも面白いし、どんでん返しのような意外性がある作品もあるし、遠藤周作の『私の愛した..』を思い起こす人間愛を感じる作品もある。あえて一つを選ぶとすると『波間に浮かぶイエロー』のどんでん返しと、奇妙な関係が不思議に気に入った。間違いなく別の作品も読んでみたい作家である。夜空に泳ぐチョコレートグラミー(町田そのこ)
2025/03/31 23:48