はてなブログへのお引越しをしてきました。よろしくお願いします。気が付いたら、gooで、18年もブログを書いていたとは...良く続いたものです。誰かに読んで欲しくて書いていたわけでもないような。自分の記録を残しておくのに便利なツールだったというだけかも知れません。自分でホームページを作ってた時期もありましたが、ブログは、楽ちんだったということです。移行して、これから、更に続けられるのか、発展していくのか謎です。ブログのお引越し
ジェイムズ・リー・バークのMWA長編賞を受賞した本作品を翻訳で読んだ。正直言って、これを原書で読んだら、かなり、理解に苦しんだであろうと思った。翻訳版で読んでも結構、苦労したのだから。最後の解説で、ジェイムズ・リー・バークは、もともとは、純文畑に身を投じていたとのことだ。それで謎が解けた。何とも、その表現は、複雑で、拡張高く、情景描写が多く、ただのハードボイルド作品、ただのミステリー作品ではないのだ。ストーリーとしては、元警察警部補の主人公が、面倒にまきこまれて、ぶちのめした二人組の一人を殺した罪に問われる。実際に殺した片割れが証人になっており、覆すのが、絶望的な状況なのだ。保釈期間中に、何等かの手を打たねば、有罪になり、刑務所送りになってしまう。限られた時間なのだが、なかなか、スピーディーには、話が運ば...ブラック・チェリー・ブルース(ジェイムズ・リー・バーク)
藤沢周平の本著を読んでみた。最近、NHKの大河ドラマで、『べらぼう』を見始めた。大河ドラマを見るなんて、本当に久しぶりだ。そして、見続けている。理由は、時代劇であること。ストーリーも中々、面白いからだろう。本屋にも、蔦屋の特集本が出回っている。そんな中で、読んでみたくなったのだが、読み終えて驚いた。10年前に読んでいたことがわかったのだ。その時の感想が下記の通りだ。”歌麿の生活を想像して、見事に再現した作品。写楽の謎にも迫る部分があり、浮世絵小説として、興味があった。時代小説として、山本周五郎と比較されるが、山本の天才に比べ、地味であり、題材の妙で読ませる感じがした。その蛋白な雰囲気は、歌麿の生活そのものに現れている気がした。”何とも、10年前と今では、ちょっと、異なる感性になっているのかもしれない。歌麿...喜多川歌麿絵草紙(藤沢周平)
WHITE DOVES AT MORNING(JAMES LEE BURKE)
今年初めての洋書として、JAMESLEEBURKEの洋書を読了した。JAMELEEBURKEは、日本では、あまり知られてないかも知れないが、エドガー賞に3度も輝いた、米国のミステリー作家だ。今回の洋書は、図書館にあったのだが、ミステリーとは、ちょっと、異なる南北戦争の中で、南部に住む人間の人間劇を描いた重厚な作品となっている。英語は、情景描写も多く、南北戦争の時代背景などを知らないと、ちょっと、読みにくい感じがした。あたかも、歴史小説?ノンフィクション?とも思えるような登場人物のその後の結末を簡単に書き記すような終わり方をする。エドガー賞受賞作は、翻訳したものしか図書館にはないようなので、今度は、それを読んでみようと思う。WHITEDOVESATMORNING(JAMESLEEBURKE)
宮部みゆきの「孤宿の人」を読了した。裏表紙に著者の時代小説最高峰、感涙の傑作。と書いてあった。なるほどと思わせる作品だ。正直言って、今まで読んだどの作品とも異なる不思議な作品でもあった。不幸な少女、「ほう」が、やさしい人たちに出合いながら生きてゆく姿が描かれる。一方、幕府から押し付けられ幽閉された者を悪霊と領民たちは恐れおののく。その通り、次々に恐ろしい事件が発生する。この二つが、柱になるのだが、いったい、どうなるのか、謎に包まれた話の展開になるのだ。「ほう」という珍しい名前が、感涙につながるから不思議だ。孤宿の人上下(宮部みゆき)
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はてなブログへのお引越しをしてきました。よろしくお願いします。気が付いたら、gooで、18年もブログを書いていたとは...良く続いたものです。誰かに読んで欲しくて書いていたわけでもないような。自分の記録を残しておくのに便利なツールだったというだけかも知れません。自分でホームページを作ってた時期もありましたが、ブログは、楽ちんだったということです。移行して、これから、更に続けられるのか、発展していくのか謎です。ブログのお引越し
2021年、第十一回アガサクリステイー賞を受賞し、いまだに本屋にも並んでいる本書を読んでみた。ロシアの女性狙撃手の話ということで、その主人公の意外性には、だれでも、少しは、興味を持つ作品だ。今の、ロシアのウクライナ侵略にも関係するのかしらと思う方もいるかも知れないが、それはない。第二次世界大戦でのナチスドイツとロシアの戦いの中での話だ。4年間の戦いで、ドイツ7百万人、ロシア2000万人の戦死者が出たという。読んでみて、非常に面白く読めたし、銃撃戦の場面の表現には、脱帽するばかりだった。最後にロシア文学者から、感動の書とのコメントがあった。数多くの資料が参考文献として一覧になっており、また、時代背景も監修もされており、しっかりした作品になっている。しかし、どうも、自分には、しっくりこない部分があった。感動も...同志少女よ敵を撃て(逢坂冬馬)
本当に久しぶりに横溝正史の作品を読んだ。これも、新聞のおすすめか何かを見て、選んだものだ。表題の『死仮面』のほか、もうひとつ、逝去直前の作品という『上海氏の蒐集品』という小作品も入っていた。どちらも、そこそこ、面白かった。死仮面のほうは、金田一耕助が登場する。あまり、ストーリーについては、述べるのは、やめにしておこう。死仮面(横溝正史)
『マタギに学ぶ登山技術』という本を流し読みしてみた。マタギには、興味があり、以前、『黄色い牙』という小説を読んだことがある。興味の一つは、どうやって、登山道でもない山を縦横無尽に歩けるのだろうか?熊や他の動物を、どうやって狩猟できるのか?などなどである。本書は、そういった疑問に答えてくれ、かつ、面白い話を聞くことができた。マタギは、無雪期は、猟をしないと聞いて、驚いたが、山菜採りなどには、、山に頻繁に入るらしい。例えば、熊に、銃を持ってなかったとき、突然、出くわしたときである。帽子でも、ザックでも、身の回りのものを放り投げると最初に投げられたものに噛みつく習性があるので、その間に逃げるというのだ。また、熊は、下りに弱いので、下に駆け降りると良いという。マタギに学ぶ登山技術
町田そのこのデビュー作である『カメルーンの青い魚』を含む5編の連作短編集を読んだ。「女による女のためのR-18文学賞」という聞きなれない賞の大賞受賞作なのだが、その選考委員から絶賛されたのがうなづける。素晴らしい才能に満ちあふれた作品群だった。ひさしぶりに文句なしの素晴らしい短編集に出会えた満足感に浸っている。個々にどうこういう必要はないだろう。5編が、どう連作になっているかも面白いし、どんでん返しのような意外性がある作品もあるし、遠藤周作の『私の愛した..』を思い起こす人間愛を感じる作品もある。あえて一つを選ぶとすると『波間に浮かぶイエロー』のどんでん返しと、奇妙な関係が不思議に気に入った。間違いなく別の作品も読んでみたい作家である。夜空に泳ぐチョコレートグラミー(町田そのこ)
やっと、『黒部の山賊』を読むことができた。多分、何かの書評で、この書を知ったのだろうが、表紙のイラストと題名から、興味を持っていた。終戦直後、登山中の学生が、復員兵に撲殺され食料を奪われる事件があった。そんなこともあって、黒部周辺を根城にする山賊がいるという噂が流れた。著者は、山小屋経営に乗り出そうとしていたが、ちょうど、購入した山小屋に、その山賊たちが住んでいたのだ。その山賊たちと、山小屋を再建して奇妙な生活をするようになるのだ。何とも、実話とは、思えないような不思議な話なのだ。いろいろ、面白い話が混ざっており楽しく読めた。定本黒部の山賊(伊藤正一)
オール読物新人賞を受賞して初めての単行本で、書評の評判も良かったので読んでみた。5話も短編集なのだが、どれも、良質の作品に仕上がっている。特に気に入ったのは、幼馴染で、恋人でもある『登』が、活躍する第二話版木どろぼうと第5話火付けだ。母には、捨てられ、父は自殺して、天涯孤独となった主人公のおせんが、周りの人に助けられながら、かつ、気丈な強さを発揮して自活していく姿が描かれる。ちょっと、謎解きのような部分もある。江戸の生活をよく描けている。おせんと登の、淡泊ともいえる男女関係も面白い。最後の『火付け』の終わり方も希望に満ちていてすがすがしい。貸本屋おせん(高瀬乃一)
『このミステリーがすごい!』の文庫グランプリを受賞した本作品を読んでみた。父親が通り魔に殺され、母も失踪。妹も遺体で発見されたうえに、保険金詐欺の疑いもかけられるというどうしようもない状況で、何とか、妹の潔白を信じて、行動する主人公の物語だ。最後の解説の表題で、『二転三転四転五転の力業で読者をねじ伏せてくる』とあるのだが、なるほどとは思うが、ここまで、ひっくり返されるのも、あまり良い気持ちではないなと思った。正直言って、後半は、もう少し、面白い展開を期待したのだが、単に、読者の裏を行くだけをねらった作品になってしまったような気がする。あまり、自分の好みではない。レモンと殺人鬼(くわがきあゆ)
7編からなる短編集『海』を読んでみた。そのうちの2編は、2~3ページと、こんな短い作品読んだことないというものだった。最後の解説で、『スケッチ』という言い方をしていた。それにしても、作品の短さに比べて、最後の解説が、長く感じた。最後には、インタビューも載っていたが、これは、、小川洋子の作品への気持ちが伝わっていた。さて、個々に書き始めると長くなるので、全般を通していえることは、発想や設定が、独創的であることだろう。。また、どんでん返し的な転換も巧みである。でも、最も特筆すべきは、その表現の仕方かもしれない。何とも言えない魅力があるのだ。それほど、ウエットではない、ユーモアもあるのだが、それほど、笑わせたがっているわけでもない。その魅力は、中々、表現が難しいが、はまってしまいそうである。さて、この短編集の中...海(小川洋子)
MICHAELCONNELLYの『THESCARECROW』を読み終えた。ハリーボッシュシリーズに出てくるFBI女性捜査官、レイチェルと新聞記者を首になりそうな元カレの主人公の物語だ。主人公は、ある女性から電話があり、自分の息子は、えん罪を着せられようとしていると訴えてきた。調べているうちに、過去、同じようにビニール袋をかぶせて窒息させられ、車のトランクに遺棄された事件があったことに気が付く。引継ぎのための2週間の期間に、最後のニュースの執筆をすべく、主人公は、過去の事件の犯人の収監される刑務所に飛ぶ。2週間と時間が限られていて、スピーディーな展開であったり、ボッシュとうまくいってないレイチェルとの関係修復など、ハリーボッシュものと、ちょっと違うのだが、結構、面白かった。THESCARECROW(MICHAELCONNELLY)
海外ミステリー(洋書)で読んだものを作家別にご紹介します。追加:THESCARECROW(MICHAELCONNELLY)①PRESTON&L.CHILDTHUNDERHEADCABINETOFCURIOCITYBRIMSTONERIPTIDEDANCEOFDEATHTHEBOOKOFTHEDEADTHEWHEELOFDARKNESSCEMETERYDANCEFEVERDREAMCOLDVENGEANCETWOGRAVESBLUELABYRINTH②DANBROWNDIGITALFORETRESSANGELS&DEMONSDECEPTIONPOINTTHEDAVINCICODETHELOSTSYMBOL③DAVIDBALDACCITHEWINNER④DENNISLEHANEMYSTICRIVER⑤HARL...海外ミステリー(洋書)読書記録2025年3月2日
ジェイムズ・リー・バークのMWA長編賞を受賞した本作品を翻訳で読んだ。正直言って、これを原書で読んだら、かなり、理解に苦しんだであろうと思った。翻訳版で読んでも結構、苦労したのだから。最後の解説で、ジェイムズ・リー・バークは、もともとは、純文畑に身を投じていたとのことだ。それで謎が解けた。何とも、その表現は、複雑で、拡張高く、情景描写が多く、ただのハードボイルド作品、ただのミステリー作品ではないのだ。ストーリーとしては、元警察警部補の主人公が、面倒にまきこまれて、ぶちのめした二人組の一人を殺した罪に問われる。実際に殺した片割れが証人になっており、覆すのが、絶望的な状況なのだ。保釈期間中に、何等かの手を打たねば、有罪になり、刑務所送りになってしまう。限られた時間なのだが、なかなか、スピーディーには、話が運ば...ブラック・チェリー・ブルース(ジェイムズ・リー・バーク)
藤沢周平の本著を読んでみた。最近、NHKの大河ドラマで、『べらぼう』を見始めた。大河ドラマを見るなんて、本当に久しぶりだ。そして、見続けている。理由は、時代劇であること。ストーリーも中々、面白いからだろう。本屋にも、蔦屋の特集本が出回っている。そんな中で、読んでみたくなったのだが、読み終えて驚いた。10年前に読んでいたことがわかったのだ。その時の感想が下記の通りだ。”歌麿の生活を想像して、見事に再現した作品。写楽の謎にも迫る部分があり、浮世絵小説として、興味があった。時代小説として、山本周五郎と比較されるが、山本の天才に比べ、地味であり、題材の妙で読ませる感じがした。その蛋白な雰囲気は、歌麿の生活そのものに現れている気がした。”何とも、10年前と今では、ちょっと、異なる感性になっているのかもしれない。歌麿...喜多川歌麿絵草紙(藤沢周平)
今年初めての洋書として、JAMESLEEBURKEの洋書を読了した。JAMELEEBURKEは、日本では、あまり知られてないかも知れないが、エドガー賞に3度も輝いた、米国のミステリー作家だ。今回の洋書は、図書館にあったのだが、ミステリーとは、ちょっと、異なる南北戦争の中で、南部に住む人間の人間劇を描いた重厚な作品となっている。英語は、情景描写も多く、南北戦争の時代背景などを知らないと、ちょっと、読みにくい感じがした。あたかも、歴史小説?ノンフィクション?とも思えるような登場人物のその後の結末を簡単に書き記すような終わり方をする。エドガー賞受賞作は、翻訳したものしか図書館にはないようなので、今度は、それを読んでみようと思う。WHITEDOVESATMORNING(JAMESLEEBURKE)
宮部みゆきの「孤宿の人」を読了した。裏表紙に著者の時代小説最高峰、感涙の傑作。と書いてあった。なるほどと思わせる作品だ。正直言って、今まで読んだどの作品とも異なる不思議な作品でもあった。不幸な少女、「ほう」が、やさしい人たちに出合いながら生きてゆく姿が描かれる。一方、幕府から押し付けられ幽閉された者を悪霊と領民たちは恐れおののく。その通り、次々に恐ろしい事件が発生する。この二つが、柱になるのだが、いったい、どうなるのか、謎に包まれた話の展開になるのだ。「ほう」という珍しい名前が、感涙につながるから不思議だ。孤宿の人上下(宮部みゆき)
読売新聞の書評で知った本書を読んでみた。玉岡かおるの書は、2度目だが、どちらも設定、発想がユニークだ。本書も、壇之浦で、草薙の剣が、海中に消えたとされるが、その真相を知るため旅に出る若武者の話だ。正直言って、長かったし、少々、緩慢に感じた。冒険旅行記であれば、それなりに、わくわく、どきどきするようなスピーディーな展開が欲しかった。その時代背景の雰囲気を盛り込もうとしたためだろうか?やや、冗長に感じてしまった。魅力のある登場人物と発想であるだけに惜しかった。さまよえる神剣(玉岡かおる)
先日、市川雷蔵の古い映画を3週連続でBSテレビ放映していた。その中で、「剣鬼」というのがあり、思わず見てしまった。少々、荒唐無稽なところがある作品だった。何しろ、犬の子と言われて育ち、馬鹿にされぬように、一芸に秀でろと養父に遺言される。すると、花を育てる特殊な能力を発揮する。更に、馬に負けずに走れる能力もあることに気が付く。更に、居合を練習する武士を見て、居合を習得するのだ。誰の作品かと思えば、柴田錬三郎だったので、その作品が載っている短編集を借りてきたのだ。それは、「人斬り班平」という題になっていた。映画のストーリーと若干、変わっていたが、上記の一芸は、変わらない。上記のほかにも5編の短編があるが、どれも、中々、面白く読めた。剣鬼(柴田錬三郎)
大名倒産(上下)を読み終えた。正直言って、上下巻は、長かった。今まで読んだ、浅田次郎の作品とは、ちょっと、違う世界だった。いわゆる、ドタバタコメディー的とでも言うのか。経営破綻しかけてる小藩で、長男が亡くなったので、突然、4男の主人公がお殿様になって、立て直しをはかる。一方、引退した元藩主は、ある計画を画策していた。一見、普通の時代劇っぽいが、ハチャメチャになってくるのだ。それは、貧乏神やら、七福神が出てくるからだ。これを、カットすれば、随分、すっきりした作品になったと思える。だが、あればこそ、このとてつもない物語が成立するのかも知れない。大名倒産上下(浅田次郎)
JOHNGRISHAMの”SKIPPINGCHRISTMAS"を読んだ。丁度、年末のクリスマスに近くなってきたこと。また、分厚い洋書に疲れたあとで、ちょっと、軽めの本(177ページ)を選びたかったことが主な理由だ。予定通り、年内に読み終えることができた。娘が海外派遣隊に参加で、おそらく、1年くらいは、帰って来ないだろうと考えて、今年は、クリスマスをスキップしてクルーズ旅行に出ようとした夫婦の物語だ。JOHNGRISHAMの本は、随分、読んでいるが、とても、JOHNGRISHAMの本とは思えない物語だった。何しろ、ちょっと、ホームアローンが浮かぶようなコメディータッチなのだから。単語も、裁判関係の単語が出てくるわけではなかった。FROSTYが、雪だるまのような有名なキャラクターで、屋根に着ける飾りにもなって...SKIPPINGCHRISTMAS(JOHNGRISHAM)
笹本稜平の最後の作品とも言える「山狩」を読んだ。笹本稜平と言えば、警察小説や山岳小説が有名だが、両方を併合したような作品だ。舞台は、千葉県の伊予が岳で、登ったこともあり、親しみがあった。しかし、その伊予が岳で、山狩りがなされようとは、.......。さて、伊予が岳で、女性の遺体が発見される。事故として処理されそうになるが、実は、ストーカーされていたことがわかり、事件の可能性も検討される。女性の祖父は、元警察副所長であり、殺人の可能性を示唆する。ストーカーした男の親は、地元の権力者であり、警察のみならず、暴力団ともつながりがあった。ストーカー担当の生活安全課が、警察本部の中で、孤立しながら、警察の良心として、最後まであきらめず、戦う姿には、感動を覚える。少々、長くて、絶望的な状況が続くが、最後は、霧が晴れる...山狩(笹本稜平)
辻堂魁の風の市兵衛シリーズの第3作目を読んだ。最後の解説で、「読み心地の良さを、これほどまでに味わえる作品にはなかなか出会えまい」という言葉があったが、なるほどなと思った。今回は、抜け荷を暴いて、悪を成敗するといった、やはり、せいせいする市兵衛の活躍が見れる。また、船上の戦いという、はらはらどきどきも味わえる。気が付けば、3作目まで来たが、また、きっと、4作目も読むことになるのかも知れない。帰り船(辻堂魁)
JOHNGRISHAMのTHETESTAMENTを読んだ。ある大富豪が、遺言書を書き換えた後に、飛び降り自殺する。その遺言書によると、すべての財産を、ブラジルのジャングルに宣教師として赴任して、どこにいるかもわからない子供、妻ではない女性に産ませた子供に託すというのだ。二人の元妻に産ませた子供たちは、遺産相続を期待していたから収まらない。それぞれ、弁護士を雇って、書き換えた遺言書は、無効と訴える。一方、大富豪の顧問弁護士は、宣教師の女性をアル中で、リハビリをしていたパートナーに探すように指示するのだ。ジョングリシャム得意の法廷劇もあり、一方、珍しいジャングルクルーズのようなアドベンチャーもありで、楽しめた。THETESTAMENT(JOHNGRISHAM)
荻堂顕の新潮ミステリー大賞受賞作である本書を読んでみた。読売の書評で、この作家のことを知って興味を持った。ちょっと、変わった作品であることはまちがいない。ストーリーとしては、少し前に読んだミッドナイトライブラリーに近いかもしれない。他の地域に逃げたり、現実に絶望して、人生から逃げるのを助けるのが主人公の女性だ。ミッドナイトライブラリーの場合は、自分で、やり直したい人生の分岐を選べたと記憶している。そして、何度となく、試せるのだ。一方、本作では、理想の人生が決められていて、そこにいると、幸福を感じて、満足するというのだ。どうなるのか、気になって、一気に読むことができた。しかし、読後感であるとか、終わり方については、若干、違和感を感じざるおえなかった。自分との相性のようなものだろう。偽傷の鳥はつかまらない(荻堂顕)
映画「碁盤斬り」を見てきた。時代劇であり、草薙ファンであり、かつ、原作が、落語とあっては、見ないわけにいかない。事前に、ユーチューブで、志ん朝の「柳田格之進」を聞いておいた。久しぶりに落語を聞いたのだが、志ん朝の人情噺は、やはり、うまかった。さて、映画だが、かなり、脚色され、登場人物も変えられていた。しかし、上手に変えられていたので、違和感もなく、また、すっきりまとめられていた。時代劇に必要な、剣劇も、十分、楽しめた。さすが、剣道初段の草薙である。身のこなしも速い。囲碁の勝負も、この映画の見どころで、かなり、凝っていたのだが、超初心者の私でも、楽しめたし、緊張感のある映像となっていた。登場人物、キャストもすっかりはまっていた。それぞれが、良い演技をしており、名前の知らない俳優も気になったくらいだ。映像も、...映画「碁盤斬り」
最近、BSなどで、梓林太郎原作の山岳ドラマが再放送されている。もう、20年以上前の作品ながら、結構、楽しめた。梓林太郎氏は、今年の1月に亡くなっている。それを追悼して、かってのドラマを再放送しているのかも知れない。山岳ミステリーは、随分、読んでいたが、梓林太郎氏の作品は、読んでなかったので、今回、読んでみることにした。本作は、本格山岳ミステリーの傑作と言われている。女性登山者の転落死体が発見され、単独登山の事故と見られていたが、後ろ姿だけが写っていた男性の同行者がいることがわかった。しかし、転落した女性を残して、いなくなってしまったのだ。いったい、その男性とは、誰なのか?結構、楽しめたので、また、読んでみたい。北穂高岳殺人山行(梓林太郎)
浅田次郎の「帰郷」を読んだ。いわゆる、戦争小説と言えるものだ。帰還兵の話だったり、高射砲の修理兵の話、父が戦死した息子の話などなど、6篇の短編からなる。一番、最初の「帰郷」が、救いもあり、好きな作品だった。最後の「無言歌」が、何とも、悲しく、救いのない中で、最後にふさわしい作品だった。著者は、私と同じく父母が戦争体験のある戦後第一世代である。それでも、こういった戦争小説が書けるのは、驚きだった。そういえば、私の子供の時にも、まだ、渋谷には、傷痍軍人がいた記憶がある。解説の最後に、戦争小説を非戦小説にねりあげていったとあるが、ちょっと、疑問に感じた。帰郷(浅田次郎)
岩井圭也の山岳小説、「完全なる白銀」を読んだ。中々、面白かった。まず、主要登場人物が3人の女性ということだ。アラスカの温暖化により、いずれ、海の下になって、なくなってしまう島に住む2人の現地人女性と日本人女性が主要登場人物だ。温暖化を世界に訴えるため、まず有名人にならなければならない。そのために、女性で初めて、冬のデナリ(アラスカ最高峰)登山を目指す女性リタ、彼女をサポートするシーラ。それから、写真家として自立を目指す日本人女性,緑里。困難な登山シーンなど、はらはらどきどきものだった。ただ、最後のエピローグは、やや、長すぎた感があった。完全なる白銀(岩井圭也)
百田尚樹の「禁断の中国史」を読んだ。図書館で目についたので、読んでみたのだが、隣の中国という国について思い知らされた。宦官、纏足、科挙制度など、聞いたことのある制度のほか、刑罰や共産党の実態を読むに日本の感覚との違いに恐ろしくなった。それも、遠い昔のことではないのである。書評でも、すべての日本人が読むべきというコメントがあったが、なるほどと思った。禁断の中国史(百田尚樹)
映画は見たことがないが、アカデミー賞は取っているし、原作も、ブッカー賞を取っているということで、読んでみた。今までには、もっと、手ごわい作品にもトライしたことがあるだけに、何とか、読み終えた。しかし、どこまで、理解したかは、わからない。一見、読み進めることができそうでいて、頭には、すっきり入ってこないのだ。あとで、他の人の書評を読んで、その点がはっきりした。詩的表現が多く、登場人物の視点も、固定されず、頻繁に変わり、時間軸も前後行き来する。自由奔放な作品ということだ。また、ヘロドトスや歴史、文化、文学への知識も膨大だ。ストーリー的には、戦争で心身に傷を負った4人の人物の心のふれあいが描かれているわけだが、それも、自分の理解力では、少々、あいまいもことした程度だった。THEENGLISHPATIENT(MICHAELONDAATJE)
山本兼一の「命もいらず名もいらず」を読んだ。以前から、読みたい本だったが、上下巻の分厚さに尻込みしていた。内容は、幕末の3舟の一人、山岡鉄舟の史実をもとにしたフィクションだ。山岡鉄舟という人物は、ドラマでも、坂本竜馬や、勝海州にような主役では、あまり見たことがない。しかし、今回、読んでみて、江戸城の無血開城に最終交渉したのは、西郷と勝だが、その前に、西郷に説得に行ったのは、山岡鉄舟であり、そのとんでもない行動力がなければ、歴史も変わっていた可能性が高い。その魅力にあふれた山岡鉄舟の一生を描いた本作は、その長さも忘れて、一気に読んでしまった。酒を9升も飲んだり、とても、常人ではない人間が、明治天皇のお目付け役とも言える侍従になるなど、不思議でたまらなかったが、その謎が本書で解き明かされる。山岡の死は、侍の死...命もいらず名もいらず(山本兼一)
アカデミー賞を受賞したとのことで、再度、映画放映されだしたので、「君たちは,どう生きるか」を、先月、見に行った。平日だったせいか、数えるほどの人数で、しかも、私も含め、中年以上が多かった。映像は、さすがという美しさだった。7人の小人ならず、7人のおばばが出てくるのが面白かった。声優に豪華な俳優陣をふんだんに使っているのも、面白かった。ストーリー的には、今までにない新規性は薄かったが、ジブリ的ファンタジーを楽しめた。表題になった「君たちはどう生きるか」の本が映画の中で、最後に出てくるのだが、著者が、吉野源三郎と山本有三の共著になっているのが気にかかった。山本有三は、中学の頃に読んだ「路傍の石」に感動した記憶がある。調べたところ、山本有三が、体の具合が悪く、吉野に委託して作成されたらしい。当初は、共著と表記さ...君たちはどう生きるか
ユニークな将棋棋士として有名な升田幸三の本エッセイを読んでみたくなった。非常にユニークな部分もあるが、文章は、いたって普通なのに驚いた。将棋と新聞社というのは、今もそうだが、繋がりがあり、本著も新聞に連載されたものだ。あとがきで、当初の意図は、若いサラリーマンに読んでもらいたいとのことだったようだ。印象に残ったのは、有名な話で、戦後、GHQに呼ばれ、将棋は、取った駒を使って、捕虜虐待じゃないかと質問され、反論し、チェスは、王様を助けるために、女王を盾にするのはどういうわけかと逆に質問したという。また、殺気を呼ぶため、対局前に血のりのついた太刀を抜き、素振りをして、勝つのだぞと言い聞かせたことがあるという。それから、奥さんに刀は隠されたそうだが。勝負(升田幸三)
池波正太郎の群像シリーズの忍者群像を読んだ。忍者というと、どうしても、甲賀と伊賀の戦いを思い描いてしまう。また、屋根裏をうごめいたり、堀の中を泳いだり、手裏剣をなげあったりである。しかし、この忍者群像に出てくる忍者は、少し違う。どちらかというと、スパイなのである。敵の中に入り込んで、信用され、必要な情報を得たり、敵の作戦を頓挫させるような戦国時代のスパイとしての活動なのだ。本作は、7作の短編小説からなるが、どれも、面白く読めた。さすが、池波正太郎である、非常な忍者にも、人間味や非情でない部分を見せたりするのがうまい。忍者群像(池波正太郎)
MATTHAIGのファンタジー小説、「THEMIDNIGHTLIBRARY」を読んだ。書評で、かなりの評価を得ている作品だ。職場も首になり、ペットの猫も事故で亡くなり、絶望から、死にたいと思ったとき、目の前に不思議な図書館が現れ、その書棚から本を選ぶことで、こうすれば良かったと思う人生のやり直しを試せるのだ。誰でも、あの時、こうすれば、どうなっていただろうとか、想像することがあるかも知れない。それが、何度でも、お試し可能なのだから、お得と言おうか、理想と言おうか。しかし、そう簡単なわけではない。何度も試しているうちに、少々、飽きてきて、うんざりしてきてしまう。いったい、このあと、どうするんだ?しかし、心配は無用だ。ちゃんと、素晴らしいエンディングが待っているのだ。文体も、結構、美しい文体のような気がした。...THEMIDNIGHTLIBRARY(MATTHAIG)
このブログに最もあった題名の小説を読んでみた。ちいさな炭鉱町で、記念碑などの破壊のあと、つぎつぎに人が殺害されていく。行政官の命で、この町民の取材をゆるされた主人公が、正体不明の奇病におかされた町民とインタビューをし、謎をとこうとするのである。今までに読んだことのないミステリーと言っても過言ではない。翻訳家は、大変、苦労しただろうと推測される。編集者も、この作家の熱烈なファンのようだから、翻訳家を励まし続けたのかも知れない。読むのも、結構、大変だったが、つぎつぎに終わることのない謎の多さに驚かされる。ちょっと、変な読後感だった。ミステリウム(エリック・マコーマック)
奥田英朗の「向田理髪店」を読んだ。少し、軽いものを読みたくなると、奥田氏の作品を手に取ることにしている。この作品は、「空中ブランコ」に比べれば、いたって、まじめな作品だ。かっては、炭鉱で栄えたが、今では、寂れ、高齢者ばかりになった北海道の町で、理髪店を営む主人公の物語だ。こんな町では、何の希望もないから、若者は、外に出ていくべきと、悲観的に考える主人公に対して、息子が、帰ってくるという。そして、失敗を恐れず、何かをしなければと考える若者、希望が描かれていく。短編形式で、中国から花嫁がきたり、映画撮影ロケ地になったり、この町にとっては、大きな事件が起きるのだ。ユーモラスに描かれるのだが、リアリティーもあり、最後には、ちょっと、感動もする。向田理髪店(奥田英朗)
玉岡かおるの新田次郎賞、舟橋聖一生ダブル受賞作の「帆神」を読んでみた。新田次郎賞受賞作品は、結構、自分の好みにあうようだ。船乗りでありながら、船の新しい帆布の創造、拡大に貢献して、かつ、港の浚渫までやってのけ、士分にまで上り詰めた工楽松右衛門の歴史小説と言える。また、女性作家のせいか、男女の恋愛の想いについても、描かれている。少々、長く、読むのに苦労したが、工楽松右衛門という人物のスケールの大きさと魅力に魅了された。帆神(玉岡かおる)
JEFFREYARCHERのFALSEIMPRESSIONを読んだ。何とも、盛りだくさんで、スピーディーな物語だった。英国の旧家が、負債に苦しんでいた。そこで、所持する名画を処分して、借金を返済しようとした。しかし、その女主人が、暗殺され、一番の名画が借金を一手に引き受けている銀行に移動されようとする。さて、それからが、大変だ。何しろ、米国の9.11事件の貿易センタービルにその会社があり、飛行機が突入して、ビルが崩れるシーンが描かれるのだ。何とか、旧家の持つ名画を取り戻し、処分して、借金を返済しようとする女主人公と、女殺し屋を使って、自分の欲しい名画を得ようとする悪玉との対決になるのだ。その中では、いろいろな名画が出てきたり、殺し屋との対決もあり、息も付かせず、面白く読めた。FALSEIMPRESSION(JEFFREYARCHER)
辻堂魁の「雷神」を読んだ。これは、風の市兵衛シリーズの第二弾だ。最後の広告で、何と、既に22巻まで続編が出ていることに驚いた。さすがに、テレビドラマ化しているだけのことはある。テレビドラマのキャストを頭に描いて読むと、頭には入りやすい。主だったキャストについては、うまいこと選んだものだと思う。さて、2巻目だが、内藤新宿で、不当に立ち退きを迫られた老舗に主人公がやとわれ、陰謀に立ち向かうのだ。悪役も、なかなか、怪しく、手ごわく、面白く読めた。機会があれば、また、第3巻も読んでみたいと思う。雷神(辻堂魁)
ときどき松本清張が読みたくなる。正直言って、がっつりは、読んだことがない。最近、テレビで、松本清張の作品をドラマ化したものを見た。「ガラス...」とかの題名だったが、結構、面白かったので、読んでみたくなった。この短編集には、初期作品8作品からなる。一作品、「張り込み」は、読んだことがあると思った。その他の作品は、若干、トリックというか、ネタにこっている感じがした。その辺が、文体などは、総合的には好きなのだが、がっつりはまらない理由かも知れない。「顔」とか「声」とか、なかなか面白い作品だった。ときどき、電話が一家に一台なくて、近くのお店に借りたり、古さを感じるが、それ以外は、ちっとも古さを感じないのがさすがだと思った。電話も一家に一台を通り過ぎて、ひとり一台の携帯電話になっているなど時代の流れを感じた。なぜ「星図」が開いていたか(松本清張)