あっしの足が・・・。
中年男性が電車事故で死んだ。自殺ではなく、事故らしい。検死も済んで遺体は自宅に戻ってきていて、出血がひどくて特殊清掃の依頼が入った。遺体はまだ部屋に安置されていたのだが、汚れた部屋に安置しておくのは遺族も偲びなかったのだろう。遺体の取扱いは一応手馴れているので、作業ついでに葬儀社が用意した柩に故人を納めてあげることにした。「ヨイショ!」と持ち上げてみたら以外と軽い。身体を柩に納めたら、遺族から「あのぉ・・・足が・・・」と。故人が安置されていた場所を見ると、片脚が敷布団の上に残っている。「ゲッ!片脚がとれてたのかよ!」「先に言っといてくれよ!」と内心動揺。場が場なだけに、笑ってごまかす訳にもいかず、平静を装って、再び残った片足だけうやうやしく手にとって、柩へ納めた。特殊清掃で部屋をきれいにするのが仕事の私が...あっしの足が・・・。
2024/04/30 06:20