笠谷幸生さんが亡くなった。高1だった冬、札幌五輪70㍍級で笠谷さんのジャンプに飛翔感を味わった。90㍍級では1回目で2位につけ、連続金メダル確信した刹那、失速して7位に終わる。あの時覚えた墜落感が、その後の人生の主音になった。〝鳥人〟の死を心から悼みたい。前稿で紹介した映画「キエフ裁判」では、東部戦線におけるドイツ軍の蛮行が裁かれていた。パルチザンとの連携ありとの理由で、幾つかの村で数千人単位が銃殺され、ユダヤ人だけでなく、人種の異なる両親から生まれた子供もターゲットだった。人種とはロマを指すケースも多かったことが想定される。ロマはドイツ国内でもユダヤ人とともに弾圧の対象だった。ナチスが第一党になる2年前(1930年)のベルリンを舞台に描かれた「エデとウンク」(アレクス・ウェディング著、金子マーティン訳/...「エデとウンク」~ロマの苦難の歴史に射す光芒